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欅坂46MV撮影地が大変貌 渋谷「B面」地区に新たな流れ

「100年に一度」とも言われる再開発ラッシュの渋谷駅周辺では、現在4つの大規模な再開発プロジェクトが進行している。先がけて今秋、旧東急東横線渋谷駅地上ホーム跡地、欅坂46「サイレントマジョリティー」のミュージックビデオ撮影地でもある場所に、地上35階建て、高さ約180メートルの「渋谷ストリーム」が開業する。これまで街のにぎわいから分断されていた渋谷川沿いの「渋谷B面」エリアが大変貌を遂げ、新たなヒト・モノ・コトの“流れ”が生まれる。
 「渋谷を世界一のエンタテイメントシティにする」との目標を掲げる東急グループは、2012年の渋谷ヒカリエ開業ののち、現在4つの街区の再開発を進めている。19年度には、新たなランドマークとなる地上47階、高さ約230メートルの「渋谷スクランブルスクエア」東棟が完成予定。道玄坂一丁目駅前地区(東急プラザ渋谷跡地周辺)には地上18階、高さ約103メートルのビルが建つ。そのなかでも最も早く今秋開業するのが旧渋谷駅南街区の「渋谷ストリーム」だ。

 13年3月、東急東横線と東京メトロ副都心線の相互直通運転開始に伴い、東横線渋谷駅が地上2階から地下5階へ移設されたことによって、旧ホームと線路跡地に開発スペースが生まれた。14年8月から高架線の解体などの工事を進め、15年8月に本格着工。ちなみに16年3月に公開された欅坂46「サイレントマジョリティー」のMVは、当時地下工事中だったこの場所から渋谷ヒカリエを背にして撮影された。

知る人ぞ知る「渋谷B面」エリア

 「このエリアは長らく、首都高速3号渋谷線と並行する国道246号、明治通りによる歩行者動線の分断が課題でした。また、都市空間の貴重な水辺であるはずの渋谷川が地表に顔を出す地点でありながら、この地域資源を活かせていない状況でした。この機会に地域の課題を一気に解決するとともに、渋谷駅南側の本来持つポテンシャルを最大限活かした魅力ある街に変貌させたいと考えました」(東急電鉄 都市創造本部 開発事業部 渋谷開発二部 渋谷駅南街区プロジェクト事業計画担当の松本久美課長補佐=以下同)。

 一般的に渋谷といえば、スクランブル交差点やセンター街、SHIBUYA109などがある駅北西のハチ公広場側が思い浮かぶ。一方、渋谷ストリームが立地する駅南側、特に山手線と渋谷川に挟まれた渋谷3丁目は、「渋谷の裏」「渋谷のB面」とも言われるほど、独特のアングラ感が漂うエリアだった。渋谷ストリームはこうしたユニークな背景を持つ場所に誕生しようとしており、場所の特性を活かしながら、施設名そのままに新たな次代の“流れ”を生み続ける施設を目指して開発が進められている。

渋谷駅直結 雨の心配いらずの「渋谷ストリームホール」

 地上35階建ての「渋谷ストリーム」は、12年に開業した渋谷ヒカリエと同等の高さ約180メートル。17年夏、縦長のホワイトパネルをランダムに配置した個性的な外観のビルが上棟し、現在は内装工事が行われている。施設の用途構成は「街に足りていないものがベース」になっているという。

 大規模オフィスが圧倒的に不足している渋谷は、グーグル、アマゾン、LINEといった大手IT企業の移転が相次いだ。渋谷の街を特徴づけているこうしたクリエイティブコンテンツ産業の流出に危機感を抱いた東急電鉄は、渋谷ストリームを「クリエイティブワーカーの聖地」とすべく、14〜35階(22フロア)に渋谷エリア最大級となる1万4000坪(1フロア約640坪)を用意。この大規模かつハイスペックなオフィスを主な用途としながら、ホテルや商業施設のほか、複数のイベントスペースやサイクルカフェなど、遊び心に満ちた用途を配置した。この方針が奏功し、2010年にセルリアンタワーのオフィスが手狭になって六本木ヒルズへ移転したグーグルが22フロアを一括賃貸し、19年度に9年ぶりに渋谷へ戻ることを決めた。

 ライブ会場が不足している昨今、音楽業界関係者が熱視線を注ぐのは、渋谷駅と直結、国道246号に面した一等地に建設されている別棟の「渋谷ストリームホール」(以下ホール棟)だ。
 JR渋谷駅とホール棟の2階は「国道246号横断デッキ(正式名称未定)」で直結する。開業と同時に利用可能となるデッキは、かつて地上2階にあった旧東横線渋谷駅ホームの高架橋を再利用。デッキの上には旧駅舎のアイコンだった「かまぼこ屋根」を再現し、新しくするだけではなく、歴史も継承する。渋谷ストリームへも2階部分でつながり、貫通通路を通じて代官山、恵比寿方面へダイレクトに通り抜けできる。
 ホール棟はガラス張りの外観で、ロゴマークにも使用されている「ストリームイエロー」なる青緑がかった黄色でカラーリングされたエスカレーターが目を引く。ホールの広さは約250平米で、スタンディングで最大700人を収容する。1階は搬入口、2〜3階は貫通通路、4階はロビー、5階はホワイエ、6〜7階がホール(6階一部はホワイエ)。クローク・ロッカールームや物販スペース、バーカウンターなども備える。

 東急電鉄は、平日は商品発表会や展示会、セミナーなどのビジネス用途、週末はライブを中心としたエンタメ用途を想定している。既に10月1日以降の利用の予約が開始されているが、「ビジネス利用、エンタメ利用についても、かなり引き合いをいただいている状況」という。

 東急グループは、渋谷ではBunkamuraオーチャードホール、ヒカリエ内でイベント向けのヒカリエホール、劇場の東急シアターオーブを運営しているが、スタンディングのライブに対応するホールは初めて。これまでのノウハウを活かしつつも「今までアプローチできていなかった新たな層を引き込めれば」と期待を寄せる。

“渋谷ダンジョン”からのルートも改善

 渋谷ストリーム開業に先がけ、地下から地上を貫くエレベーターやエスカレーターを内包した空間「アーバン・コア」が一部供用開始され、地下からの歩行者動線が大幅に改善された。渋谷駅は道玄坂、宮益坂、桜丘といった地名に囲まれているように谷底にあり、四方八方に向かって坂を上っていく地形となっている。「渋谷ダンジョン」とも表現される地下の迷宮から地上への出口は1〜16a・bまであり、渋谷ストリーム横に通じる既存の16b出口は87段の長い1本階段を上らなければならなかった。
 しかし昨年12月2日、16b出口は新設された「アーバン・コア」に付けかわり、便利で洗練された空間となった。供用開始となったのは地下2階から地上1階までで、渋谷ストリーム開業時には地上1階から2階の供用も始まり、地下からも雨に濡れずに館内へアクセスできるようになる。

復活する渋谷川の流れ

 人の流れの創出のみならず、官民連携で川の流れの再生にも着手している。前出のとおり、渋谷ストリーム付近は暗渠(あんきょ)として流れてくる渋谷川が顔を出す地点。ここで撮影された欅坂46の「サイレントマジョリティー」のジャケット写真を見てもわかるように、降雨時を除いては、水の流れはほとんどない状態となっている。

 そこで、下水を高度処理した清流復活水を活用した水景施設「壁泉」によって、都市空間の中では希少な憩いの水辺を創出する。「コンクリート護岸の端部に清流復活水の管を通し、そこから護岸を伝ってさらさらと滝のように流れ落ちる」仕組みで、これによって水深10センチほどではあるが、ささやかな川の流れが生まれるという。
 渋谷川に沿って約600メートルにわたる遊歩道も整備し、代官山・恵比寿方面への歩行者ネットワークを形成。川の上には2つの広場(約350平米、約250平米)が設けられ、さまざまなイベントも行われる。

 将来的には渋谷ストリーム3階部分が、新設予定の東西自由通路やJR渋谷駅南改札(仮称)とつながる計画。渋谷ストリーム開業、復活する渋谷川の流れを起爆剤に、駅南側の人の流れも一変しそうだ。

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