ORICON NEWS
アナログ全開の“童心回帰”系のテレビ番組が人気の理由は?
『池の水ぜんぶ抜く』のMCロンドンブーツ1号2号・田村淳 (C)ORICON NewS inc.
ネット技術の躍進により多様化するコンテンツ 光る“アナログ”系番組
では、娯楽を取り巻く環境が目まぐるしく進化していった今、敢えてアナログ的な『池の水〜』を見る楽しさとは何なのか。メディア研究家の衣輪晋一氏は「環境問題や人間の無責任さなどの社会問題に人々が共感していることも挙げられますが、今年6月に放送された『池の水〜』に立候補して出演した伊集院光さんの言葉が、その楽しみを端的に表わしていると思われます」と解説する。
人気のポイントは童心に返って子ども心を刺激してくれる“ドキドキやワクワク”
何が出てくるか、何が起こるか分からないドキドキやワクワクが楽しめる番組と言えばほかに、『世界の果てまでイッテQ!』(日テレ系)、『陸海空 こんな時間に世界征服するなんて』(テレビ朝日系)、『クレイジージャーニー』(TBS系)、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)などが挙げられるが、ネットなどを含め、どれも話題になっている。「視聴者層の高齢化が叫ばれ、低視聴率も叫ばれる昨今ですが、子どもが楽しむようなワクワクドキドキの番組に人気が集まっているこの傾向から、視聴者の心に届く番組とは何か、その鍵が見つかるかもしれない」(衣輪氏)
確かに『〜イッテQ!』『陸海空〜』『クレイジー〜』は、冒険や探検、さらに怖いもの見たさといった子ども心を刺激してくれる。さらに『池の水〜』『〜DASH!!』『水曜日の〜』も入れれば、やってみたかった(好奇心)けれど、自分ではできなかったことを、テレビの企画力と資金力で実際に実行してしまう部分にも面白さが見つけられる。前出の衣輪氏は「これは、スポーツ中継にも似た面白さではないか」と持論を展開する。
“やってみたかった”ことを“やってみた”、単純で普遍的な内容の強さ
普遍的な面白さとは純粋で単純、かつ馴染み深いため、見ていてほっとする。老若男女の“共通言語”ともなり得るため、お茶の間で番組から流される内容を共通の話題として盛り上がっていた、かつてのテレビの姿も彷彿とさせる。さらに言えば『池の水〜』は企画のアプローチ的に「データから見て、今視聴者に求められるものは何か」という大人の判断だけがスタートではなく、「こういうこと興味ある、やってみたい!」という純粋な想いが始まりだったと聞く。制作側も、企画を通す側も、”童心に返った”…あの頃自分が楽しんでいたものに対する興味をもっと重視することで、より”普遍”的で、爆発力のある番組が生み出せるのかもしれない。
(文:西島享)