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吉岡里帆インタビュー『女優として燃費がすごく悪い(笑)』

陰湿な変人の役が多くていつも困っています(笑)

――演技力の高い満島さんたちと渡り合うのも、圧を感じませんでした?
吉岡里帆毎日、胃が痛かったです(笑)。他の仕事もあって、雑誌撮影でニコッと笑ったりもしないといけないのに、どうしても目が笑わなくて。「もう少し可愛く」と言われたりしました(笑)。それだけ役に入り込めていたのかもしれませんけど、まだ気持ちをコントロールできるほど経験値がないので。

――『カルテット』でご自分が好きなシーンはどの辺ですか?
吉岡里帆満島さんに恋のレクチャーをするところとかですね。

――「告白は子どもがするもの。大人は誘惑してください」からのくだりですね。
吉岡里帆そこもすごく胃が痛かったんです。「なんでこんなことをするんだろう?」と奇妙に思えて、理解するのに時間がかかりました。ただ見せるだけのシーンになるのはイヤじゃないですか。ちゃんと意味がないとダメだし、何かの伏線になっているはず。その伏線を回収する今後の台本も想像して、それも踏まえて挑みました。
――吉岡さんは有朱に限らず、はっきりした悪女とかより、タチの悪い感じの役が多いですよね。
吉岡里帆陰湿で(笑)。本当に変人の役が多くて、いつも困っています。彼女たちがどういう人間なのかをちゃんと理解しないと、台詞が頭に入らないんです。入れようとしても、ただの言葉の羅列にしか見えない。彼女たちの言動が理解できて、初めて台詞が入り出す。私、燃費がすごく悪いんです(笑)。

――でも、役者さんとして真っ当なアプローチかと。吉岡さんの演技には、ビジュアルの印象と違い、舞台出身の役者さんのような練り方を感じます。実際、舞台をやっていらっしゃったそうですが。
吉岡里帆最初は小劇場でした。それがお芝居を好きになるきっかけで、3年で6本くらい出演しました。自分ではあまり意識していませんけど、舞台は観るのも好きで、役へのアプローチの仕方とか、間の取り方とか、影響はされていると思います。私はお芝居はまず真似から始まると思っていて、映画も含め、いつかの誰かのお芝居の真似からはじめています。メモを見て「これ使えるな」って。

仕事が増えるほど苦しいけど、それゆえの嬉しさも噛みしめている

――女優として出演作品を重ねてきて、意識が変わったとか自信がついたとか、そういうきっかけになった作品はありますか?
吉岡里帆朝ドラ『あさが来た』は大きな転機でした。お芝居は自分の主張ではないんだと気づくことができて。たくさんの人のなかの一部として生きる価値を、初めて体感できました。宜(のぶ)が宜であるだけで、みんながあんなに愛してくれて。「宜がいたからあそこで笑えた」とか、嬉しい言葉をたくさんもらえました。役として作品のなかで生きることは、こんなに充実感があるんだとわかりました。
――その『あさが来た』から連ドラ出演も4期続いて、「人生チョロかった」とも感じます(笑)?
吉岡里帆いやいやいや、本気でそう聴かれたら悪意を感じます(笑)。でも、その台詞のことで言うと、『カルテット』の打ち上げのときに脚本の坂元(裕二)さんに「有朱の一番好きな台詞は何ですか?」と聴いたら、「『人生チョロかった』が書けたときは“勝った”と思った」とおっしゃっていました。作家さんがそんなに気に入った台詞を言えたのは本当に嬉しいです。でも、私の「人生チョロかった」とは全然思っていません(笑)。これからも山あり谷ありでしょうから。

――客観的に売れっ子になって、身の周りの変化はないですか?
吉岡里帆ビックリするくらい、ないですね(笑)。喜んだとたんに、なくなることもある仕事なので、それこそ「悲しいことより悲しいことは、ぬか喜び」というのがすごくわかります。仕事が増えるほど苦しいし、責任感が重くなります。初めてオーディションに受かった頃のほうが無邪気に喜べました。今は台詞の量も昔と全然違って、それだけ喋れば良くも悪くも作品に影響します。そう思うと怖いし、それゆえの嬉しさも噛みしめています。
――お話をうかがっていると、吉岡さんは本当に考え方がロジカルですよね。
吉岡里帆すごく人に興味があって。どんな人がいて、どんな生き方があるのか……という好奇心が集めたデータが、たぶんお芝居と直結しているんです。感覚でドーンと出すことも大事ですけど、やっぱり一定の客観視できる力が要ると思っていて。そのために、この思考回路を使っている気がします。

――これから芸能界でサバイバルしていくために、必要だと思うことは何ですか?
吉岡里帆目的を持つことが大事だと思います。どういう作品を作りたいのか? どんな人に必要とされたいのか? そこをシンプルに明確にしていくことかな。私はまだあやふやですけど、悪役をやってみて「人間くさい役はいいな」と思いました。誰にも認められない、どこかの誰かの胸にグサッと刺さる役を演じたいです。万人に受け入れられなくてもいいので。「あの登場人物は大嫌い。でも、あの気持ちはわかっちゃう」とか、ちょっと鬱屈した心にちゃんと刺さるようなお芝居ができる役者になりたいです。
(文:斉藤貴志/撮り下ろし写真:逢坂 聡)

名探偵コナン から紅の恋歌

 大阪のシンボル・日売テレビで突如、爆破事件が発生! そのとき局内では、日本の百人一首会を牽引する「皐月会」が開催する皐月杯の会見収録が行われており、突如の事態に大パニックに! ビルが崩壊していくなか、西の名探偵・服部平次とその幼なじみ・遠山和葉のふたりだけが取り残されてしまうが、間一髪の所で駆け付けたコナンにより無事救出される。そんな騒動のなか、コナンたちは平次の婚約者だと言い張る女性と出会う。その名は、大岡紅葉。
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監督:静野孔文
声の出演:高山みなみ 山崎和佳奈 小山力也 堀川りょう 宮村優子 吉岡里帆
2017年4月15日より全国東宝系にてロードショー
【公式サイト】(外部サイト)
(C)2017 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

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