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ORICON NEWS
増加する海外ドラマの日本向けリメイク “大化け”はあるのか?
かつて海外で大ブームを巻き起こした日本独自のコンテンツ
ところが、近年はそれとは逆に海外で大ヒットした作品を日本人キャスト、ストーリー―で日本向けにリメイクする事例が増えているのだ。これまでにも有名な作品として、長瀬智也主演で韓国映画をリメイクしたドラマ『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』(日本テレビ系)、チャン・グンソクが日本で人気を集めるきっかけとなったドラマのリメイク『美男ですね』(TBS系)といった作品が挙げられるが、例えば、7月期ドラマでは中島裕翔主演のフジテレビ系日9ドラマ『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』は、韓国で大ヒットしたドラマ『ミセン-未生-』のリメイク。囲碁棋士の夢に挫折した若者(中島裕翔)が、総合商社でインターンから正社員採用を目指して奮闘するという物語となっている。
その他、10月より放送されるNHK土曜ドラマ『スニッファー 嗅覚捜査官』は、常人の数倍の嗅覚を持つ捜査官に阿部寛、その相棒に香川照之という豪華な顔ぶれだが、原作はウクライナで制作された大ヒットドラマ『THE SNIFFER』。ロシアでは過去5年の中でNo.1の視聴率を叩きだしたという作品だ。また、吉田羊主演でドラマ化されるWOWOWの『連続ドラマW コールドケース〜真実の扉〜』は、アメリカの同名人気ドラマ『コールドケース』のリメイク。日本のドラマでもよくありそうな刑事ドラマではあるが、こうしたアメリカの人気連続ドラマをはじめ韓国、さらにはウクライナ制作のドラマをリメイクするなど、作品の範囲も拡大しているのだ。
安易なリメイクは良質なオリジナル・コンテンツを生む“足かせ”になる?
「ここまで増えてくると、大ヒットした海外ドラマの日本リメイク版が原作以上のヒットを収める、ということは、なくはないとは思いますが、ちょっと考えにくいのではないでしょうか。もちろん原作のファンの取り込みも期待できるし、ヒットした実績があるわけですから、大きくコケることははないでしょう。でも大化けもせず、無難なところに落ち着くでしょう。もともとヒット作品は、その国の文化・環境に根差したものが多いので、特に日本のような特異な文化のもとでリメイクすることは、逆にリスクがともなう気もします。それに“原作を海外から買う”流れが続けば、ドラマばかりではなく、日本のお家芸である“コンテンツ作成能力”の弱体化にもつながりかねません」(前出・スタッフ)
確かに、最近の日本のヒットドラマを振り返ると、『半沢直樹』(TBS系)や『下町ロケット』(同)など、日本人独特のメンタリティを基調にした、言ってみれば“日本人マター”のドラマが多い。とはいえ、海外ドラマのリメイクだってもともと人気がある原作なのだから、コンテンツ自体が悪いわけではない。今後も海外ドラマリメイクの流れが続くのであれば、うまくローカライズしていくことが重要になっていくだろう。安易にリメイクするのではなく、オリジナルドラマ同様、制作側の意気込みを感じる良質な作品を送り出していってほしい。