• ORICON MUSIC(オリコンミュージック)
  • ドラマ&映画(by オリコンニュース)
  • アニメ&ゲーム(by オリコンニュース)
  • eltha(エルザ by オリコンニュース)
ORICON NEWS

役柄に左右されない山田孝之の“素顔の魅力” 秀でた自己プロデュース力とは?

 もはや自他ともに認めるハマり役であり、代表作ともなった『闇金ウシジマくんSeason3』(TBS系)に出演している俳優・山田孝之。そんな山田が7月9日、突然Instagramを開設。早くも50万人のフォロワーを抱える人気アカウントになり話題となった。ドラマや映画では悪を演じる演技派・個性派の印象が強い一方、CMではコミカルな顔も見せる“カメレオン俳優”であり、ユーモアのある面白い人物として親しまれている。そんな自身のイメージ・価値観をどうやって保ってきたのだろうか?

“好青年”イメージ振り切る“不良役”で自ら演技幅を広げる

 今では、凶悪犯やヤクザという“濃厚”な役を演じる印象が強い山田だが、かつてはドラマ『WATER BOYS』(フジテレビ系)や『世界の中心で、愛を叫ぶ』(TBS系)、映画『電車男』などに出演し、“さわやか”“好青年”““純朴”といったイメージがついていた。それが一変するのは、かねてより本人も熱望していたという“不良役”を演じた映画『クローズZERO』(2007年)からであろう。

 「当初の山田さんは、男子高校生の“王道”なんだけどどこかアカ抜けず…といった役柄のイメージが強くありました。それがいきなり『クローズZERO』で、バリバリの不良という真逆の役どころを演じ、多くの人が“どうした山田くん!?”と度肝を抜かれたわけです。ですが、キャラ的にも魅力的なヤンキーを見事に演じ切り、主演の小栗旬さん以上のインパクトを与え、役者としての幅を広げました」(ドラマ制作会社スタッフ)

SNSで見せる“山田ワールド” 役どころとのギャップで作る素顔との境界線

 さらに2011年から始まる『勇者ヨシヒコシリーズ』(テレビ東京系)でコメディセンスと変人ぶりを見せつけ、映画『のぼうの城』(2012年)では“ヒゲぼうぼうの武将”を演じて強烈なインパクトを残すなど、役者としてのイメージは濃くなるばかり。一方CMでは、缶コーヒー「ジョージア」で様々な労働者の姿で出演、視聴者をほっこりとさせたり、男性化粧品「MARO」ではスーツ姿のままシャワーを浴びて恍惚とする…という男臭さも見せる。

 さらにインスタグラムや公式フェイスブックでは、「60万円かけて手術したのに失敗して尖らせすぎた鼻」と自身の画像を張りつけて投稿したり、自著『実録山田』を出版した際には、「今更ですが、この本信じられないくらい、くだらないです コンセプトは『投げつけたくなる本』です ※(篠田)麻里子さんに渡したのは本と下心だけです」と投稿するなど、どこまで本気かわからない独特なユーモアを披露。そんな自己プロデュースが功を奏し、バラエティ番組などの出演はほとんどないのに、山田は親しみやすい俳優として世間に広く認知されるようになったのだ。

 「2012年に“山田孝之”を名乗るツイッターが現れ、紹介文に“ハードコアパンク俳優、あくまで偽物です。”とありますが、いまだに本物かどうかはわからないまま。でも、その面白さに惹かれて、フォロワーは今や70万人を超えています。“ちょっとトゲのある言葉や下ネタ=山田ワールド”と認知する人が、本物だと信じてフォローしているようです。これも山田さんのキャラの濃さ、親しみやすさを示しているのでしょう」(前出・スタッフ)

新たに提示した“俳優のあり方” 後続の若手俳優にもたらす影響力

 以前、山田の盟友とも言える小栗旬が、映画『信長協奏曲』に主演した際、ORICON STYLEのインタビュー(16年1月12日掲載)で「周りにも、制作に興味を持ち始めた俳優もいるので、何かしら俳優たちで立ち上げていけるような準備はしていきたい、なにか、新しい発信の形みたいなものが提示できればいいな」と、俳優が作品プロデュースに関わる可能性について語っていた。

 俳優のプライベートな素顔のイメージは、ときに役を演じるときの足かせになることがあると言われる。また演じた役柄によっては“さわやか”“純朴”、“悪人”“怖い”といったイメージがついてしまい、それはそれで演じる役の幅を狭めることにもなる。そういった意味では、山田孝之が演じる役の振り幅の広さや人気の高さは、役柄と山田孝之自体を別の存在として印象づける自己プロデュース力の賜物と言えるだろう。どのような役柄でも役に影響を与えない自己発信ができ、しかも“素”の自分としてもぶれることがない。山田は役柄と素の自分との関係を絶妙なバランス感覚でコントロールすることができるのである。

 今は昔と違って役者がSNSなどで自己発信できる時代。俳優のみならず、アイドル歌手やアーティスト、タレントたちは“ぶれることのないセルフイメージを保ちながら自己プロデュースしていく”という、山田孝之的な生き方が重要な指標になってくるのかもしれない。

あなたにおすすめの記事

 を検索