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千鳥“クセの強さ”生かしたフレーズ売りでいよいよ全国区へ

  • 岡山弁と「クセがすごい」のフレーズで人気の千鳥 (C)ORICON NewS inc.

    岡山弁と「クセがすごい」のフレーズで人気の千鳥 (C)ORICON NewS inc.

 最近になって“ようやく”全国区のお笑いコンビとなったのが、大悟とノブによる千鳥。かねてより『M‐1グランプリ』(テレビ朝日系)や『THE MANZAI』(フジテレビ系)の決勝進出の常連で、その実力は高く評価されてきたのだが、ここにきて各バラエティ番組でも活躍するようになり、7月18日からはテレビ東京で『NEO決戦バラエティ キングちゃん』という千鳥がメインMCを務める深夜番組がスタートするという。千鳥の魅力とは何か? そして、なぜ今まで“東京進出に失敗したお笑いコンビ”の代表格だったのだろうか?

ビートたけしも太鼓判 千鳥の漫才で生きる“クセの強さ”

 千鳥のウリと言えば、そのふたりの岡山弁の強烈さ。「○○なんじゃ」「○○がい」「もんげー」(岡山弁でものすごいの意)といったクセの強い方言は、拠点にしている大阪より広島弁に近い。そして博多弁を話す博多華丸・大吉と同じように、彼ら独特の“間”で、観客を自分たちの世界へとグイグイと引き込んでくる。

 ネタ自体も、大悟の放つクセのあるイントネーションの言葉やフレーズ、シチュエーションを駆使した強烈なボケに、ノブが「クセがすごい!」と突っ込む独自のスタイルである。大悟が童謡の「サッちゃん」の“サ”が言えず、“ヘネ”とか“モゲ”になってしまうネタや、寿司屋のオヤジが「どうぞ」を「どぅぉぞ」みたいに言うあたりは、着眼点込みでクセが強すぎ、ある種シュールとすら言える。

 実際、ふたりの漫才の評価は高く、M‐1グランプリでは4回決勝戦へ進出し、THE MANZAIでも3回進出しており、優勝こそしていないものの、THE MANZAI審査員のビートたけしをして「毎回(千鳥が)優勝だと思っている」「実力は申し分ない」とまで言わしめ、同大会に出場していたナイツやハマカーンは、「千鳥とは同じグループに入りたくなかった」と後に当時の心境を語っているほどであり、大阪ではすでに冠番組を多く持つ人気を誇っている。

東京進出失敗? 自身の魅力“強すぎるクセ”に苦悩

 「それでも、なかなか東京進出には成功しませんでした。クセが強すぎるんですね(笑)。あの岡山弁にしても、関東の人間にとってはちょっとキツい。大悟さんなんかは、普通にしていてもムッとしてるように見えるし、“尖ってる感”があります。特に小藪(千豊)さんとの“マジギレ”の絡みはホントに怖いですから。東京の人間には敬遠されていたと思いますよ」(バラエティ番組制作会社スタッフ)

 M‐1やTHE MANZAIで実力を認められつつも、なかなか結果につながらず、東京進出にも苦労していた千鳥に転機が訪れたのは、“東京進出失敗?”自体を周囲の芸人仲間にいじられるようになってから。『アメトーーク』(テレビ朝日系)では、「帰ろか…千鳥」という回さえ放送されたが、“見た目が怖い”大悟に絡む緊張感がよく出ていて、番組としてもうまく成立していた。そして何より千鳥ブレイクのきっかけとなったのは、『笑神様は突然に…』(日本テレビ系)での現地レポートだろう。スタジオ収録のバラエティ番組では埋没しかねない千鳥の魅力が、この企画では特にノブの“クセが強い”を連発するレポートが光り、千鳥独特の世界観を上手く引き出すことになったのだ。

バラエティで際立つ“フレーズ売り”の確立

 「そして今では、バラエティ番組での千鳥、特に大悟さんイジリも定着しています。強面でチンピラ口調の大悟さんですが、絡むと意外と優しそうな一面が出てくるという“ギャップ”も視聴者にウケています。また、“ひな壇”では、短い時間と短い言葉でどれだけ笑いを取れるかが求められますが、千鳥のワンフレーズには、忘れられないインパクトとマネをしたくなるような面白さが備わっているんですね。千鳥の漫才ネタを生かした“フレーズ売り”が功を奏したとも言えそうです」(前出・スタッフ)

 そうしたバラエティ番組でのブレイクが、千鳥本来の漫才の面白さの再評価につながっているようである。日常にあるささいなことを笑いに変えていく表現力の高さや、「流行語大賞」的なワンフレーズのギャグではなく、汎用性の高い、マネをしたくなるような独特のフレーズ。こういった“ファンの間ではとうに知られていた千鳥の魅力”が、ようやく全国区で認知されてきたということなのである。“クセの強い”ものほど一度ハマると抜けられないというだけに、今後の千鳥の“東京”での活躍の場はますます広がっていくことであろう。

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