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ORICON NEWS
男性アイドルシーンに異変 「地方」「2.5次元」「アニメ」の異色出自アイドルたち
新たな道筋を切り開いた「地方」男性アイドル
ボイメンの結成は2010年だが、東海地域のローカル局でのテレビ出演やイベント出演などで知名度をあげ、現在では同テレビ、ラジオで多くのレギュラー番組を持つ。2015年5月のメジャーデビューシングル「ARC of Smile!」は週間ランキング6位。今年発売した2ndシングル「BOYMEN NINJA」は10.2万枚を売上げ、週間ランキング1位を獲得したほか、民放キー局の情報番組への出演など、メジャーシーンへ活動の幅を広げている。
これまでにも、いわゆる「2.5次元」といわれるゲームやアニメからミュージカル化、舞台化されるプロジェクトは数多くあったが、今回のように、その出演メンバーでグループが結成され、CDデビューするなどアイドル活動を行うケースは珍しい。刀剣男子のこの結果を受けて、「2.5次元」ジャンルからの同様の動きは今後も増えていきそうだ。2次元の新人5人組男性アイドル・DearDreamと、実際のキャスト(全員アミューズに所属する俳優)で結成されたDearDreamとが連動した2.5次元プロジェクトからも、シングルが3月16日にリリースされる。近いようで重なってはいなかった「2.5次元」シーンと男性アイドルシーンの境界が薄れてきているのかもしれない。
これまでのアイドルシーンにあいていた3つの“穴”
『おそ松さん』関連では、アニメ大好き女子の7人組グループ・A応Pが歌うオープニングテーマ「はなまるぴっぴはよいこだけ」も昨年11月に発売されているが、週間ランキング17位と伸び悩んだ。その後に『おそ松さん』の認知度が高まったこともあるが、アニメの6つ子のアイドル的人気と、その声を担当する声優の人気の相乗効果が生まれ、6つ子とイヤミのシングルのほうはブレイクを果した。一般層も含むアニメファンとコアな声優ファンという異なる層を取り込んで、彼らの人気をより大きなものにしているのだ。
これらの3つの事例に共通しているのは、どれもアイドルシーンにぽっかりあいた“穴”に波及したということだ。BOYS AND MENは、エンタメの中心地である東京でも、お笑いタレントが活躍する大阪でもなく、地域や場としての“穴”であった東海地域から地盤を固めて人気を徐々に高めていった。
刀剣男子は、2.5次元ミュージカルというコンテンツと、俳優たちのそれぞれの人気が高まっているにも関わらず、実際にグループを結成してシングルリリースをしたり、そのシングル特典と舞台チケット販売をリンクさせることが少なかったという組み合わせの“穴”から登場した。
そして、社会現象ともいわれている『おそ松さん』は、2次元のコンテンツであるが、従来のアニメ人気と、声優たちの人気、そして6人のキャラクターや関係性がリアルで活き活きと描かれていることから、3次元アイドルファンをも取り込んだ。しかし、『おそ松さん』の制作が始まった頃は、明確なターゲットが見えていなかったという。明確なターゲットがないということは、新たなターゲットを模索しながら作品を制作できる。ターゲットの設定が固定されておらず、良い意味での“穴”があったからこそ、従来の2次元ファンを超えて人気が拡大したとも考えられる。
これらの異色出自の男性アイドルたちは、従来のアイドルとは異なるファン層を抱えており、いわゆる“アイドルファン”層に留まらない一般層をも含めた新たな広がりを見せた。彼らを“純粋”な男性アイドルグループと同じ括りで見ていいのかという議論はあるかもしれないが、CDをリリースし、アイドル的な人気を得てファンを拡大しているのは事実であり、シーンは活性化している。こうしたグループの登場と新たなファン層へのアプローチにより、2016年の男性アイドルシーンがますます盛り上がりを見せていくことは間違いないだろう。