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ラジオドラマが続々復活 高まる需要の背景は?
『宇宙戦艦ヤマト』『銀河鉄道999』、数々の名作を放送してきたラジオドラマ
40代の後半以上の方なら、夜の11時台に放送されていたニッポン放送の『夜の図書館』という番組を覚えているかもしれない。『宇宙戦艦ヤマト』『サイボーグ009』『銀河鉄道999』などのストーリーは、すべてその番組で覚えたという方もいるだろう。さらには、TBSラジオ『夜のミステリー』のスリラードラマで震え上がった経験もお持ちかもしれない。遠藤周作原作の怪奇小説などは、今でも鮮烈に覚えていることだろう。1970年代後半〜80年前半はFM・AM放送ともに、こうしたラジオドラマを毎日のように放送していたのである。
鮮明に記憶に刻まれる、音だけで生まれる世界観
さらに当時はまだVHSビデオも発売されていないので、初期のアニメ声優ブームとも重なって、人気声優が音だけのドラマを吹き込んだLPレコードを購入して楽しむ若者も多かった。現在のドラマCDという概念は、すでに80年代を迎える以前に確立していたのである。
現代でも脈々と受け継がれるラジオドラマの魅力
実際のラジオドラマにおいても、NHK-FMはAKB48による『私たちの物語』を放送して人気を博している。TOKYO FMの『NISSAN あ、安部札司〜BEYOND THE AVERAGE』は、今年で10シーズンを迎える人気ラジオドラマだ。この10月には、開局45周年記念企画として、『NISSANあ、安部礼司 史上最大のワクワク大作戦 ABE-GIG in 日本武道館〜10年に一度の大家族会議』を開催し、千葉雄大や乃木坂46の橋本奈々未、歌手の平原綾香など、豪華な顔ぶれを揃えて、ラジオドラマを生歌、生演奏で放送するという盛況ぶり。ニッポン放送でも、人気俳優を起用して、10代〜20代をターゲットにしたラジオドラマを計画中だというから、声優ブームの煽りを受けてか、今やラジオドラマは人気歌手や俳優を巻き込んでの一大コンテンツとなりつつあるのだ。
さらに、今回復活するニッポン放送のラジオドラマのように、ラジオリスナーと現在のネットユーザーの両方をターゲットにするような新企画を打ち出していくことができれば、もはや声優ファンやアイドルファンなどのオタク向けのコンテンツにはとどまらず、多くの人に受け入れられるのではないだろうか。今後のラジオドラマは、ラジオに興味を持たなかった層やアナログを知らない世代をも取り込んだ新しいコンテンツとして、ワクワクする展開を広げていくことも可能であろう。関係者の意気込みに期待したいものだ。
(文/五目舎)