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改めて迫る“策士”指原莉乃の裏方力

 今年の「第7回 AKB48選抜総選挙」で期待のエース・宮脇咲良が“神7”入りを果たすなど、大躍進を遂げたHKT48。その躍進を支えたのは、他でもない、HKT48劇場の支配人を務める指原莉乃だ。来年公開予定のHKT48ドキュメンタリー映画では、何と監督を務めることが発表されたが、指原の“裏方力”に改めて迫ってみたい。

アイドルオタクならではのプロデュース能力の高さ

  • 指原莉乃 (C)ORICON NewS inc.

    指原莉乃 (C)ORICON NewS inc.

 もともと指原はモーニング娘。への憧れからアイドルを目指すなど、AKB48加入前からハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)所属アイドルのファン、いわゆる“ハロヲタ”だったことを公言。AKB48のメンバーとして知名度を獲得してからも、ハロプロ関連のライブに度々出向いているだけでなく、Twitterではプロデューサーのつんく♂とTwitterでハロプロの楽曲について熱く語ったこともある。アイドル、ファン、双方の立場になれることで、“アイドル・指原莉乃”を自己プロデュースしてきたのだ。

 それはこれまでの指原の躍進ぶりを見れば一目瞭然だろう。2007年、「AKB48 第二回研究生(5期生)オーディション」で合格し、AKB48に加入。同期にはNGT48に移籍した北原里英、昨年の「第5回じゃんけん大会」で過去4回の初戦敗退からの8強入りで話題となった宮崎美穂、焼き肉店オーナーとしての顔を持ち、7日にAKB48卒業を発表した内田眞由美らがいる。オーディション合格からわずか1年後の「大声ダイヤモンド」で初の選抜入りを果たすも、当初は北原や宮崎の陰に隠れて目立たない存在だった。そんな指原がのし上がってこれたのも、自己プロデュース能力の高さで“へたれキャラ”“HKT48への移籍”といった逆境をプラスに変えることができたからだろう。

 その指原の才能は、HKT48に移籍したことで、さらに花開くこととなる。指原の移籍は、2012年、「第4回 AKB48選抜総選挙」で篠田麻里子や高橋みなみらを一気に抜き、4位に輝いたことで一気に知名度をあげた直後の出来事。一方で、HKT48は活動スタートからまだ1年にも満たない時期で、指原は強豪ひしめく福岡アイドルシーンで一歩抜きん出る起爆剤として、さらに小中学生が多い若いグループの“教育係”としても期待されていた。最初こそメンバー、ファンには戸惑いが見られたものの、初期の頃からメンバーが指原のことを慕っている様子は度々見てとることができた。そして2013年にはHKT48劇場の支配人に就任した

他のグループにはない魅力を引き出す力

 指原とHKT48を支える“裏方力”には、“アイドルプロデューサー”としての能力、時には炎上も辞さないネットを意識した振る舞い、さらにピンチのときこそファンや周囲を味方につける強かさの主に3点があると思う。“教育係”としての側面はもちろん、全体では一極集中型にならない基盤固めのため、コンサートなどではバランスよくメンバーにスポットが当たる企画を実施する。コンサートでは様々なアトラクションを用意し、 “神公演”とも言われている昨年のさいたまスーパーアリーナでの春コンサートでは、他のグループではなかったスティックライトが入場者全員に配布された(ゲーム『HKT48 栄光のラビリンス』のロゴ入り)。また、バラエティタレントとしての人気をうまく活用して、『今夜くらべてみました』にHKT48の次世代エース・矢吹奈子が出演。明治座での公演など、他グループの“二番煎じ”にならない視点での企画も多い。

 また、自身の著書『逆転力〜ピンチを待て〜』(講談社)では過去に巨大掲示板に頻繁に出入りしていたことを明かしていたが、自分がどう動き発言すればネットで高い反響を得ることができるか、ということも熟知している。HKT48としても“いかに幅広いメディアに取り上げてもらえるか”を常に考えており、コンサートではモーニング娘。の楽曲のカバー歌唱や指原が“ブルマ”“水着”を着用して登場するなど、話題には事欠かない。選挙の公約だった“水着”着用で登場した横浜アリーナ公演は、その話題をフックにTBS系『音楽の日』でかなり長い尺が割かれていたのが印象的だった。SNSも有効活用しており、時には炎上も辞さない姿勢で、今年7月にニホンモニターが発表した2015年上半期の「最もネットニュースに登場した人」では、マツコ・デラックスを抑えて1位に輝いている。

 指原のプロデュース能力に関してはAKB48総合プロデューサーの秋元康氏も認めているが、それ故、一部のファンからは“特別扱いされているのでは?”という声もある。しかし、今年の総選挙スピーチで指原がHKT48のメンバーに対して「私の大事な宝物です」と感謝を述べ、それを聞いたメンバーが号泣している様子から、アイドルプロデューサーとしての力を改めて実感させられた気がする

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