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真野恵里菜、不遇時代乗り越え女優として評価高まる ハロプロ出身としては異例

 ハロー!プロジェクト出身の真野恵里菜が、ハロプロ出身アイドルとしては異例とも言える映画、ドラマなどでの“女優業”で注目を集めている。主演した『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』に続き、現在はトリプルヒロインの『リアル鬼ごっこ』が上映中。9月からは人気を呼んだドラマの劇場版『みんな!エスパーだよ!』も控えている。さらにドラマでも、準主役の『るみちゃんの事象』(MBS・TBS系)がスタート。アイドルとして不遇な時代を過ごしてきた彼女の軌跡を改めて振り返ってみよう。

グループアイドル全盛の波にのまれ思うような結果を残せず

  • 女優として評価高まる真野恵里菜 (C)ORICON NewS inc.

    女優として評価高まる真野恵里菜 (C)ORICON NewS inc.

 真野は現在、24歳。中学生のときに松浦亜弥に憧れてハロプロの研修生となり、ソロ歌手としてインディーズデビュー。2009年3月に17歳でメジャーデビューした。モーニング娘。、Berryz工房、℃-uteらを輩出しているハロプロだが、ソロデビューは藤本美貴以来7年ぶりだった。正統派美少女のルックス、清楚なたたずまいとアイドルとしての資質は申し分なく、研修生時代から将来を期待されていた。デビューシングル「乙女の祈り」は初登場5位と、順調なスタート。だが、この2009年は「RIVER」で初の1位を獲得するなどAKB48がブレイクし、グループアイドルのブームが起こった頃。そのなかで、当然、ソロアイドルは陰が薄くなる。孤軍奮闘した真野も、コンスタントにTOP10入りはしていたものの、ズバ抜けた資質に見合う結果は残せずじまいだった。

 一方でソロの身軽さを活かし、歌手活動と並行して女優業にも積極的に取り組んでいた。BSのアイドルドラマやハロプロの舞台から始まり、いち早く彼女の演技センスに目を付けたのが『ケイゾク』『TRICK』などで知られる堤幸彦監督だった。自身が演出を手掛ける演劇ユニットの舞台『キバコの会』の第2回公演に出演した真野を「カンがいい。こちらが求めるものを察知して的確に動いてくれる」と絶賛。以来『キバコの会』に真野が毎年出演しているほか、真野のシングル「元気者で行こう!」のMV監督を務めた。さらに、真野は堤監督の『SPEC』(TBS系)で地上波ドラマ初出演を果たす。人の心を読むSPECホルダー・サトリ役で、アイドルの物腰を活かした可愛らしい演技で人気キャラクターとなった。

園子温監督作品で脱“清純派”

 女優活動をメインにするため、2013年2月にハロプロを卒業すると、さっそくドラマ『みんな!エスパーだよ!』(テレビ東京系)にレギュラー出演。主人公の鴨川嘉郎(染谷将太)が憧れる東京からの転校生・浅見紗英役。清純そのものに見えて実は腹黒で、テレパシーが使えるようになった嘉郎が心の声を探ると「鴨川くんは絶対に私でオナニーしてるよな」などと言っていたり。嘉郎の妄想シーンではミニスカ制服でイスに座り、何度も脚を組み替えて太ももを見せる。本性を出して、嘉郎に「死ねクソメガネ!」と毒づいたりも。アイドルを卒業していきなり清純派イメージを覆し、アイドルなら到底はばかれる演技を思い切りよくやって見せた。劇場版の予告編でもパンチラを見せている。

 同ドラマは『ヒミズ』などで国際的評価も高い園子温監督によるもので、真野は以後も『新宿スワン』『ラブ&ピース』『リアル鬼ごっこ』と園作品に続けて出演。『リアル鬼ごっこ』の試写会イベントでは真野の演技を「そのままで良かった」と誉めるなど、満島ひかりや二階堂ふみを発掘してきた園監督の評価の高さもうかがわせる。

小泉今日子や篠原涼子にも通じるアイドル出身ならではの資質

  • 映画『リアル鬼ごっこ』イベント (C)ORICON NewS inc.

    映画『リアル鬼ごっこ』イベント (C)ORICON NewS inc.

 女優としての真野は、やはりヴィジュアル面で注目を浴びることが多い。アイドル時代を知らなかった視聴者も「あの可愛い子は誰?」と話題を集めてきた。そして、堤幸彦監督が「求めるものを察知する」と評していた通り、どの役でも劇中の空気にちょうど良くハマる。7作の短編シリーズから主演してきた『パトレイバー』の泉野明は、天然で天才的、明るく負けず嫌いという、ともすれば分裂気味になる役どころだったが、1人の人物として実際にいそうなリアルさがあった。また、役柄とは別に、ベースとして“ネアカ”も感じられる。『新宿スワン』でのリストカットを繰り返していたキャバ嬢の役などでも、どこか清々しくて気持ちよく観られる。これは小泉今日子や篠原涼子など、同じアイドル出身の女優に多い特性。真野のアイドル経験も糧になっているのだろう。

 『るみちゃんの事象』では主人公へのツッコミ役に初挑戦など、まだまだ伸びしろも多い。ハロプロは音楽中心のアイドル集団で、モーニング娘。や松浦亜弥などブームを起こす存在もいたが、卒業後にアイドル時代以上の活躍を見せた例は少なく、女優としてはまだ誰もブレイクしていない。真野はアイドルとしては時代の波に阻まれ大成に至らなかったが、ハロプロ発の女優として初めて大輪の花を咲かせそうだ。

(文/斉藤貴志)

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