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破天荒アイドルBiSのリーダーがバンドに転身!LUI FRONTiC赤羽JAPANとは
BiS解散後、路頭に迷っていた時に事務所社長の提案で結成
プールイ 私、やる音楽に対しては、あまりこだわりがないんです。バンドは、高校生のころに友だちと組んでいたことがあって、SHAKALABBITSさんやJUDY AND MARYさんのコピーをやっていたんですが、またバンドをちゃんとやってみたい気持ちもどこかにあって。それで、話をいただいたとき、楽しそうだしやってみようって感じでした。
――メンバーはどのようにして集めたのですか?
小原 just begun 僕とテンペスト竹内は、the storefrontというバンドをやっていたんですが、ちょうど活動休止中になっていたところで、声をかけてもらって。
プールイ 私もBiSの解散が決まっていたので、お互い路頭に迷っていたところを、事務所の社長が見るに見かねて「おまえらでバンド組め!」と。だから、最初は見ず知らずのメンバーとバンドを組むことになって、初めましてって顔合わせしたとき、すでにバンド名も決まっていて、この曲をやってくださいって曲も決まっていて(笑)。
小原 just begun 僕らが口を挟む隙間は一切ありませんでした。
プールイ もろビジネスバンドです(笑)。でも、他に道がなかったので、せっかく与えてもらった場所でがんばろうって。
――それが2013年末のこと。最初はそんな感じでインディーズ活動を続けながら、本腰が入っていったのはどのくらいのタイミングからですか?
プールイ やっぱり、BiSが解散してからです。解散する半年くらい前からバンド活動が始まったんですけど、BiSが実際に解散するまでは、正直バンドのことはあまり考えられなかったです。もちろんバンドの取材やライブを、おろそかにしていたわけじゃなくて真剣にやっていたんですけど……。BiSのメンバーと思い出を作りしたかったし、なるべくたくさんメンバーと一緒にいたかったし、気持ちがまだそっちにあったので。
小原 just begun BiSが解散して、やっとバンドについていろいろ話せるようになって。そこからですよね。
裸や血まみれに……BiSの経験を活かしてバンドではしない
プールイ そういうのは、このバンドではもういいかなって。BiSの経験で、それで行ける場所は、限られていることが分かったので。確かに最速で行けるところまでは行けるけど、結果として目標だった武道館には行けなかった。だからこのバンドでは、そういうことに頼らないでやっていこうというのが、テーマのひとつにあります。ただ私個人の性格として、人を楽しませたいとか、楽しみながらやっていきたいというのがあるので、そのなかではいろいろやっていくと思いますが、裸になったり血まみれになったりということは、やろうと思っていません(笑)。
――BiSは武道館を目標に掲げていましたが、このバンドでは?
小原 just begun 武道館に立てるように頑張っていきます!
――武道館には、どのくらいで行きたいですか?
プールイ 2年くらい。だって私、もう24歳ですから。このバンドがダメで次のプロジェクトをするにしても、年齢的にキビシイです。一般的にはまだまだでも、この業界で24歳はもうギリギリですから、これが最後のチャンスという気持ちです。それに、せっかくユニバーサルミュージックさんから出させていただくのだから、それくらいで結果を出さないと(苦笑)。
――どうしてそこまで武道館にこだわるのですか?
小原 just begun アーティストの憧れですよね。数々のロックバンドがライブを行った、ロックの聖地です。バンドマンである以上は、人生で一度は立ってみたいです。
プールイ 私は、リベンジの場所です。BiSのときは、冗談半分で武道館でやろうぜ!と言っていたんですが、LIQUID ROOM、赤坂BLITZ、Zepp Tokyoと会場を大きくするうちに、どんどん現実味を帯びていって。途中でBiSを脱退していったメンバーからも、みんな最後には「武道館に立ちたかった」とか「武道館で共演できるようにお互い頑張ろう」と声をかけられ、そのたびに私のなかで「絶対に立たなきゃ」という気持ちが、どんどん大きくなっていきました。
大人に翻弄された上で、どれだけ楽しむかがこのバンドのテーマ
プールイ 想いは背負っています。ファンの人たちにも「武道館に連れて行くから」と言って応援してもらっていて、その代わりに武道館を飛び越して横浜アリーナに行けたけど、でも武道館という約束は、まだ果たされていないので。なので、もはやこれは怨念ですよ。きっと武道館に立ったとき、やっといろんなものが成仏するんじゃないかと思います(笑)。
――1月11日に、活動休止かメジャーデビューかをかけたライブが、渋谷クラブクアトロであったわけですが、チケットが完売して見事メジャーデビューを勝ち取った。
プールイ 大人に翻弄されまくってます。組んだ経緯からも分かるように。だから、その上でどれだけもがくか、どれだけ楽しむかが、このバンドのテーマですね。
――結局、LUI FRONTiC赤羽JAPANって、バンドなんでしょうか?アイドルなんでしょうか?
プールイ 取材では、そればっかりと言っていいくらい聞かれます(笑)。
小原 just begun でも、今はまだしゃあないと思います。僕ら自身も、まだしっかり固まっているわけではないので。
プールイ 結局「私たちは、LUI FRONTiC赤羽JAPANです!」と言い続けていれば、いろんなものが後から自然とついて来るものだと思っています。普通は、結成してから活動していく中でバンドになっていって、それでデビューすると思うんです。私たちは、いきなりデビューで、そこからバンドになっていくストーリーを見せていく…。そういう見せ方は、アイドルのやり方に近い気がしますね。BiSのときも、「こんなのアイドルじゃない」とか、「ブスのくせに」とか最初はいろいろ言われたけど、4年かけて横浜アリーナに到達したときは、もう「アイドルじゃない」って言う人はいなかった。このバンドでも、そういう風になっていけたらと思います。そういうストーリーを一緒に楽しめるメンバーだと思っているので。だからと言って、「バンドなのにアイドル・イベントに出るな」と言われると、腹が立つんですよね(笑)。
小原 just begun プールイは、とにかく負けん気が強いんです。それが態度に出るし、すぐ中指立てるし(笑)。
立ち上がる根性だけは、人一倍ある、ゾンビみたいなやつの集まり
プールイ そこが、アイドル向きじゃないんですよ(笑)。
小原 just begun でも、それがすごくいいと思うんです。言葉を変えれば、すごく正直だということ。
――さて、メジャーデビュー曲となる「リプミー」は、スケールの大きなサウンドでとてもカッコイイ曲ですね。歌詞からは、負けず嫌いなところも含めた、プールイさんの美学やポリシーを感じました。
小原 just begun キーワードは「キラキラ感」。言い換えるとメジャーっぽさみたいなものと言うか…。自分たちの好きな楽曲テイストもありながら、メジャーという部分で、いろんな人に受け入れてもらいやすいものをと考えて曲を作っています。
――タイトルの「リプミー」という言葉は、どういう意味ですか?
プールイ 「reply to me」の略で、歌詞では、自問自答する日々の中での、「それでもがんばろうぜ」って、自分に対しての返信の意味で使っています。
小原 just begun 僕は歌詞を読んで、本当に感動して、心がブルブルブル〜って震えました。たとえば「何百回何千回間違っても夢を見る」というフレーズがあるのですが、人ってたいていは、50回くらい失敗した時点でもう夢を諦めるものなんです。でも、誰かに言ってほしいんですよ、「それでも諦めるなよ」って。そういうアツさが、この歌詞にはありますね。本当にアツいんですよ、プールイは。
プールイ これまで、失敗ばかり、負けばかりの人生だったので。BiSだって武道館を目指して立てなかったし、横浜アリーナでライブしたと言っても、コアなファンばかりで一般層にはまったくウケなかったし。タイアップも取れなかったし、メンバーもどんどん辞めていったし(笑)。ただ、逆境を楽しむことを心がけて、何度負けても諦めずに進んできました。そのことを歌ったのが、「リプミー」です。みんなも「進み続ければなんとかなるよ」って。
――このバンドでは、もう負けないぞと?
プールイ 負けてもいいんです。負けても、何回もまた立ち上がればいいだけ。だって、いかにも負けそうなメンバーばっかりだし。
小原 just begun オイ!
プールイ 私も含めてね(笑)。でも、立ち上がる根性だけは、人一倍あると思ってる。何度死んでもよみがえる、ゾンビみたいなやつの集まりです。たとえ悪あがきだと言われようとも、結局最後まで残るのは、悪あがきをしたやつなんです!
(文:榑林史章)