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アニメの聖地化を目指す埼玉
埼玉県のアニメへの取り組みのきっかけは『らき☆すた』
『クレヨンしんちゃん』『となりのトトロ』など、埼玉県がもともとアニメ作品の舞台となる機会が多かったこともあり、『らき☆すた』人気をきっかけに県もアニメやオタクカルチャーを軸にした観光振興に本腰を入れ始める。観光情報サイト『埼玉ちょ〜でぃーぷな観光協会』を立ち上げ、アニメや漫画といった視点から埼玉の魅力を紹介。“オタクの、オタクによる、オタクのためのアニメツーリズムを考える会”として、2009年には専門家らによる「埼玉県アニメツーリズム検討委員会」も設置された。さらに、県内のクリエイターを発掘する場として『アニメど埼玉』を立ち上げ、観光PRアニメを制作するなど、作品の人気に頼った“一過性”のブームで終わらせるだけでなく、継続性を意識した取り組みを図ってきた。
自治体や地元企業が一体となって“聖地”をアピール
こうしたなか、2013年より“アニメと観光”をテーマとした総合イベント『アニ玉祭(アニメ・マンガ祭り in 埼玉)』が開催されている。埼玉以外のご当地アニメも招聘した2014年10月の2回目は2日間で約6万3000人を集客し、大盛況。コアなアニメファンはもちろん、比較的ライトな層にも“埼玉県=アニメ”というイメージが浸透してきている。次の段階として、『アニ玉祭』内で実施された「アニメ・マンガの聖地サミット in 埼玉」をきっかけに、新たなプロジェクト『埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議』も発足。“埼玉=アニメの聖地”の確立に向けて、自治体や商工団体、観光事業者等がさらに連携を強めている。
2015年4月からは地域密着型アニメも放送
さいたま市(旧浦和市)出身で、同作を企画・プロデュースしたharappa合同会社の三澤友貴氏は、「様々な埼玉県の“ご当地アニメ”作品があるなかで、『自分たちの生まれ育った町を舞台にしたアニメを、自分たちで作りたい』という思いがありました。そこで同じくさいたま市出身のテレビ埼玉の高橋プロデューサーに働きかけ、実現しました」と振り返る。“地域密着”にするにあたっては、「声優さんは全員『埼玉県出身者』にすることにこだわりました。アニメでは風景はもちろん、セリフにご当地ネタを入れるなど、随所にさいたま市や埼玉県にまつわるものを出していく予定です」といい、キャラクターを使った地元企業とのコラボレーションも進行中だという。
全国には数えきれないほどのアニメの聖地があり、ファンが“巡礼”を楽しんでいる。しかし放送が終わり、ブームも下火となってしまえば、当たり前だが訪れる人は減っていく。一過性のブームではなく定着させるためには、ただ受身になるだけではなく、新しいものを積極的に発信していくことが重要だ。埼玉県はブームを定着させ、“聖地化”を成功することができるのか? 今、全国の自治体からも熱い視線が集まっている。