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(更新: ORICON NEWS

三吉彩花 SPECIAL INTERVIEW 乗り越えなきゃいけないものを感じて――

ナチュラルな笑顔のなかにときおり見せる芯の強さ――。澄んだまなざしが印象的な女優・三吉彩花の初主演作『旅立ちの島唄〜十五の春〜』は、少女の成長を家族の絆とともに丁寧に描き出す、愛にあふれた作品だ。南大東島での撮影を目を細めながら振り返る彼女に、作品へ込めた思いを聞いた。

ちょっとは成長できたのかな?

──優奈(三吉)の顔つきがどんどん大人びていく様がとても印象深かったです。お芝居なのか、それとも三吉さん自身がこの撮影期間中に実際に成長していったのか、気になりました。
【三吉】 クランクアップして東京に戻ったとき、周りから「大人になったね!」とすごく驚かれたんです。撮影中はずっと役のことで精一杯だったので、そう言われてはじめて自分で「そうなのかな?」って逆に驚きました。

──自覚はあまりなかったんですか?
【三吉】 全然!なんでみんなそんな風に言うんだろう?って不思議だったくらい(笑)。でも主演のプレッシャーと闘ったり、役作りに集中していた日々だったので、もしかしたらちょっとは成長できたのかな?(照笑)。

──撮影中は考えることも多かったんですね。
【三吉】 主演が初めてというだけじゃなくて、三線を触るのも、ひとりで民謡を唄うのも、南大東島の方言だって初めてだったので、大きなプレッシャーがありました。三線の練習は約2ヶ月前からスタートしたんですけど、弾く以前にまず楽譜読みから苦戦していました(笑)。だって音符じゃなくて漢字表記なんです!まずそこから驚きでした。楽譜が読めるようになったら、ボロジノ娘(南大東島の少女民謡グループ)のOGの方々との練習をはじめたんですけど……、みなさんそれぞれ自分たちが積み重ねてきた歴史に誇りを持っていらっしゃるので、その思いを聞かせてもらうほどに、同じように練習を積み重ねてきた役柄を演じることにプレッシャーを感じてしまって。実は途中で(自分ができないことに)悔しくて泣いたこともあったんです。

──真摯に向き合っていたからこそ、気負いもあったんですね。
【三吉】 正直、もう三線には触りたくないと思った時期もありました。だけどそういったことを乗り越えて最後には納得の行く撮影ができたので、本当にいい経験をさせていただいたと感じています。

これまでと同じ気持ちじゃいけない

──そこまで思いつめた時期もあったのに、どうやって自分を再びふるい立たせたんですか?
【三吉】 撮影が昨年の4月からだったんですけど、私はちょうど3月に親元を離れたばかりだったんです。優奈も実家を離れて本島に進学しようという役柄だったので、まさに自分の状況と重なっていたことは大きかったかも。撮影が始まった当初は頻繁に親と連絡を取り合っていたんですけど、役の気持ちに集中するために途中から一切断ち切りました。気持ちがブレちゃうな、と思って。あとは主演を務める意味を改めて考えて、今回はこれまでと同じ気持ちじゃいけないんだな、と気づいたことも大きかったかもしれないです。

──親との連絡を断つなんて、意志が強いですね。
【三吉】 そうなのかな(照笑)。主演がどういうものかわからないから、自分なりのやり方で臨んでいだだけです。小学生の頃から事務所の先輩方の主演作をたくさん観てきていたので、自分が主演をできることへの嬉しさもあったんですけど、やっぱりそれ以上に乗り越えなきゃいけないものをたくさん感じていたんです。もちろん、そんな私を温かく支えてくれた島の人やスタッフさんの存在もすごく支えでした。

──女優としてのお仕事は着実に増えていますが、お芝居をやりたい気持ちはもともと強かったんですか?
【三吉】 最初は純粋にモデルのことだけを考えていました。だけど、少しずつお芝居の楽しさも感じるようになってきて。演技レッスンには中学生くらいまで通っていたんですけど、今はすごい先輩方と共演させてもらえるチャンスが増えたので、現場でたくさん吸収することを大事にしながらお芝居と向き合っています。

──常に現場で吸収しているからなんでしょうね、今作では本当に島で生まれ育ったような空気感を見せてくれています。
【三吉】 観てくれた人に「主演の子って、本当は都会育ちの女優さんなんでしょ」って冷静に思われるのがイヤだなと思ったんです。「本当に島の子なんだ」と思われるくらい、土地に溶け込みたいと強く思っていて。いいお芝居をしようとかそういうことよりも、ちゃんと島になじんでリアリティを出す!ってずっと意識していました。だけど方言がむずかしくて!!関西弁だったら多少は雰囲気がつかめていたんですけど、今回の場合は大変(笑)。でも最終的には無意識に話せるくらいになっていたので、よかったです。

──優奈がお父さんへの思いを語るシーンは涙を誘われました。
【三吉】 あのシーンは、役としてしゃべっていますけど、どこか自分自身のお父さんへの気持ちと重なってしまって……。「私がいない間、お父さんさびしい思いをしているのかな」「早く連絡取りたいな」とか。カットがかかってもしばらく泣いていました(笑)。この役を演じられたことで、親と一緒にいられることは当たり前じゃないんだと実感することができたので、感謝の気持ちがさらに増したと思います。

──家族の大切さを素直に感じられる映画ですよね。
【三吉】 本当に、家族や周りの人とのつながりの大切さや、ぬくもりにあふれたお話です。南大東島じゃないと成り立たない、この島だからこその意味のある映画になったとも思います。ストーリーだけでなく、スクリーンに映る景色のすばらしさも一緒に感じてもらえる映画なので、多くの人に観てもらえたらうれしいですね。
(文:奥浜有冴/撮り下ろし写真:片山よしお)
(スタイリスト/加藤由紀子)
[衣装協力]
ブラウス/Black Mouton(ASCENT) パールミサンガ/(niita) リング/(Cuvee)

映画情報

旅立ちの島唄〜十五の春〜

  沖縄本島から東へ360キロにある離島、南大東島。高校がないこの島では、子供たちは15歳になると島を出て、家族と離れて暮らさなくてはならない。島の少女民謡グループ“ボロジノ娘”の新しいリーダーになった優奈も、1年後は島を離れる日を迎える。姉とともに島を離れた母に会えない寂しさ、父親をひとり島に残すことへの後ろめたさ、初めての恋、将来への不安……。15歳の旅立ちのときが迫る――。

監督:吉田康弘
出演者:三吉彩花 大竹しのぶ 小林薫
【映画予告編】 【OFFICIAL SITE】
2013年5月18日(土)(4/27〜沖縄先行公開)
シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
(C)2012「旅立ちの島唄〜十五の春〜」製作委員会

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映画予告編揺れる15歳の心と成長――
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『旅立ちの島唄〜十五の春〜』公式サイト

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