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近藤晃央『豊かな感性から紡ぎ出される詞とメロディー、ニューカマー・近藤晃央の世界観』
好きと嫌いの真ん中にこそ“真実”がある
近藤晃央昭和歌謡テイストのメロディーを、いまのポップスのフィルターを通して表現しているんですよね。特にこの曲は“思い切り、昭和歌謡っぽい感じを出してみよう”と思ってメロディーを作ったんです。それをディレクターに聴いてもらったら、「いいメロディーだから、明日デモレコーディングしよう」と言われて、その日のうちに歌詞を書いて、次の日に録音して。だから歌詞に関しては、かなり衝動的に書いているところもありますね。ファースト・インプレッションを大事にしたいという気持ちもあったし。
――<君が好きでさ、嫌いでさ、強くてさ、弱くてさ>という歌い出しがすごいインパクトだな、と。
近藤人っていうのは、極論だけでは答えに辿り着けないと思うんですよね。けっこう曖昧(あいまい)なところもあるし、矛盾していることも多い。好きな人や家族に対しても、嫌いな部分って必ずあると思うんですよ。好きという気持ちも、嫌いという気持ちも全部含めて、ホッとできるし、一緒にいたいと思う――それが本当に好きということなんじゃないかなって。好きと嫌いの真ん中にこそ、真実があるというか。
――……なるほど。さらに「フルール」には“花”というモチーフも加わっていて。
近藤儚いものって何だろう?って考えたときに、花が浮かんできたんですよね。散っていく桜を見て“美しい”って感じるじゃないですか。消えてなくなってしまう花に対して、美しいと感じることが、好きな人に対して“嫌い”と思ってしまうことにも重なるんじゃないかな、と。
――深いですよね、本当に。普段からそんなふうに物事を見ているんですか?
近藤いろんな方向から考える傾向はあると思いますね。たとえば人間関係においても、誰かに対して“この人とは合わない”と思う部分が、自分自身の本性なのかもしれないと考えたり……。あと、人と話していても聞き役に回ることが多いんですよ(笑)。一歩引いて見ているところがあるし、できるだけ客観的に見ていたいと思っているので。
必ずしも音楽は背中を押すものではない
近藤そうですね……。音楽は、必ずしも背中を押すものではないと思っているんですよね。悲しいことを歌ったとしても、それに共感してもらえれば、結果的にその人の背中を押すことになるだろうし。恋愛を歌うときも、キレイな気持ちだけを歌うのは何か違うんじゃないかなって。どちらが良いとか悪いということではないんですが、僕の歌はもっと現実的だと思います。
――カップリング曲の「無表情」はエッジの効いたサウンドのアップチューン。音楽性もかなり幅がありそうですね。
近藤シンガー・ソングライターっていうと“アコギの弾き語り”というイメージがあるかもしれないですけど、本来は“自作自演者”という意味だし、音楽的には何でもアリだと思っているんですよ。僕はロックやエレクトロも好きだし、いろんなことをやりたいと思っていて。実際、いろんなテイストの曲があるんですけど、すべてに僕が通ってきた音楽が交っているし。ひとつだけブレないのは、歌モノであるということですね。
――今後の展開も楽しみです。
近藤アルバムに向けて何枚かシングルをリリースしたいと思っているんですが、“まったく予想できない”っていう感じにしたいんですよ。「フルール」は昭和歌謡テイストですけど、次はぜんぜん違うタイプの曲になるかもしれないし。テイストはいろいろなんだけど、どこかに共通点があって、アルバムに辿りついたときに“なるほど!”って思ってもらえるような展開ができればいいですね。
(文:森朋之)
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