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(更新: ORICON NEWS

市川海老蔵『“伝統芸能”に対する自身の想いを明かす』

 歌舞伎役者・市川海老蔵が、歌舞伎、能、落語などの伝統芸能が一堂に介する『JAPAN THEATER』(10月11日〜26日)を企画立案。それぞれが独自の進化を遂げ、日本を象徴する文化となったが、同じ舞台に並ぶという事は非常に稀なこと。本公演のテーマである“和の融合”についてはもちろん、“伝統芸能”に対する自身の想いを明かしてくれた。

日本の伝統文化はそれぞれが孤立している

 常に日本の芸能を代表する存在である歌舞伎において、文字通り“花形”として輝かしい光を放ち続ける成田屋。現在の成田屋を背負って立つ海老蔵にとって、今回の『JAPAN THEATER』はひとつの悲願でもあった。

「日本の伝統文化ってそれぞれが孤立しているんですよね。歌舞伎は歌舞伎、能は能、落語は落語という具合に他を寄せ付けない……なぜだって(笑)。これは昔から疑問に感じていたことなんです」(海老蔵)

 『JAPAN THEATER』は、海老蔵自身が出演する歌舞伎舞踊はもちろん、仕舞、古典落語、さらには津軽三味線の独奏(※京都公演のみ)など、いにしえより継承されてきた伝統芸能が揃い踏みする実験的な公演。

「1つの公演として融合することで、お互いに新しい発見が生まれる可能性があるし、世界中の方々にもより日本の伝統芸能を知って貰える機会になる。だからこそ“興行”としても成立させなくちゃいけないんです」(海老蔵)。

重圧はあるけど、350年の伝統を長いと感じたことはない

 歌舞伎、能、文楽、落語、茶道、華道etc…いわゆる伝統芸能と呼ばれるものは、互いの個性と長所を極めた結果、それぞれ今日まで続き、違うからこそ共存していける側面もある。だが、あえて融合することでの化学反応や、幅広い世代や諸外国にも“日本発の芸能”をより浸透させる……伝統芸能だからこそ、常に前に進んでいく姿勢を提示しなければならない。これは、成田屋のお家芸「歌舞伎十八番」のうち、今日ではあまり上演されなくなった演目の復活上演を積極的に行っている海老蔵ならではの気概といえるだろう。

 歌舞伎界の中でも、古い歴史を持つ成田屋。初代・市川團十郎誕生から350年以上が経過。一般的に見ると、途方もない月日に感じるし、その“歳月の重み”は想像に難くない。だが、海老蔵本人は伝承されてきた歳月に引け目を感じてはいない。

「やっぱり長いんですかね? 僕自身はあまり350年以上という歳月が長いと感じたことはないですよ(笑)。重圧はもちろんあります。自分で言うのもなんですが、やはり市川團十郎家は歌舞伎界で大きな、重責のなる家柄なので。真面目に取り組んで“狭く生きる”というのも大事ですけど、正直そういう時代でもない。そういった考えのもとで、これまでにも『ABKAI―えびかい―』(※1)や『古典への誘い』(※2)をやってきたんです。さらにその延長線として今回の『JAPAN THEATER』が加わることでさらに大きな広がりになればいいと思います」(海老蔵)

※1 2013年より開催されている海老蔵による自主公演。現在劇の現在劇の演出家や脚本家を起用しているのが特徴
※2 伝統芸能をよりわかりやすく、 多角的に味わってもらうために、 海老蔵自ら企画した公演

海老蔵はある意味“絶滅危惧種”というかね(笑)

 現在公開中の主演映画『喰女-クイメ-』を例に挙げるまでもなく、これまでにも多くの映画、ドラマ、舞台など、歌舞伎とは異なるフィールドにも果敢にチャレンジしてきた。海老蔵自身は異業種に足を踏み入れることで本分である歌舞伎に、どのような形でリターンしているのだろうか?

「まず、(歌舞伎に)新しいお客さんが来るということは当然ありますよね。ドラマや映画というのは、我々歌舞伎役者にとって知って頂く場なので。そこで興味を持ってくれた方が歌舞伎を観に来てくれたら、こんなにありがたいことはないですから。歌舞伎というのは割と閉鎖的で同じようなメンバーの中で仕事をすることが多い。そうなると、やっぱりなかなか“新しい発見”って難しいんですよ。ドラマや映画って、その時に一番新鮮な俳優さん、女優さん、そして監督さんやプロデューサーさんらとお会い出来る。その出会いが、自分にとって勉強になるし更なる刺激になるんです。その刺激や得たものが歌舞伎にも絶対に返ってくる」(海老蔵)

 ドラマや映画への出演はもちろんだが、常にその一挙手一投足が注目を集め、“ニュースになる男”を体現してきた海老蔵。自身のブログで発表する発言や出来事が直ぐにニュースとなって世の中に拡散されていくことに窮屈さを感じることはあるのだろうか?

「うーん(熟考)。感じる時はもちろんありますけど……まぁ、職業ですから(笑)。この間も男の子と散歩してただけで写真週刊誌に載りますし、ちょっと自宅の駐車場がボコってへこんだだけで『ミヤネ屋』で速報になってたり(笑)。でもまぁ、いいんじゃないかな!って。ある意味“絶滅危惧種”というかね(笑)。昔の俳優さん、いわゆる“銀幕のスター”と呼ばれる方々も常に、その一挙手一投足が注目されていたじゃないですか? 今の風潮としてスターを許さない流れがあると思うんだけど、何とかへこたれずに生き残っているのが海老蔵なんじゃないかなって(笑)」(海老蔵)

市川海老蔵が紡ぐ『和の世界』 JAPAN THEATER

 10月11日(土)〜10月26日(日) 東京・日本橋三井ホール
【曲目・演目】
一、観世流仕舞「屋島」 坂口貴信/亀井広忠(12日昼・13日昼夜・15日夜・18日昼夜・19日昼・夜公演は他の出演者となります)
二、朗読「平家物語」 市川海老蔵
三、落語「江戸噺」 古今亭文菊
四、歌舞伎舞踊「藤娘」 市川男寅
五、歌舞伎舞踊「男伊達花廓」 市川海老蔵

10月29日(水)〜11月2日(日) 京都・京都四條 南座
【曲目・演目】
一、三味線「独奏」上妻宏光
二、仕舞「屋島」
 29日、30日、31日 林宗一郎
 1日昼 浦田保親
 1日夜 味方玄
 2日 橋本光史
三、朗読「平家物語」 市川海老蔵
四、落語「江戸噺」 古今亭文菊
五、歌舞伎舞踊「藤娘」 市川男寅
六、歌舞伎舞踊「男伊達花廓」 市川海老蔵
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