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井上陽水『名盤『氷の世界』を“解凍” 自身が語る制作舞台裏!!』
「帰れない二人」は清志郎と1行ずつ書いてたんじゃないかな…
井上あの曲は僕にとって初めて他のアーティストとの共作だったんじゃないかなぁ。
――そもそも、忌野さんとの出会いって覚えていますか?
井上僕が駆け出しの頃は、アンドレ・カンドレっていう名義で活動していてね。何だかよく分からない時代がありましてね(笑)。その頃、渋谷にライブ喫茶があって、僕とかRCサクセションとか泉谷しげるとか色んな人が出演していて。
――今考えると豪華なライブ喫茶ですねぇ。
井上そこで観たRCサクセションがなかなか印象的な曲を披露していてね。お互いヒマだったので、清志郎に「一緒に曲でも作らない?」って持ちかけたんですね。で、僕の中野のアパートに忌野清志郎が来て、お互いギターを持って一緒に作ることになったんですけど、「どうしようかねぇ〜」なんて言ってなかなか進まないんですよね(笑)。で、と交互に詞を作っていったんですよ。
――NHKの特番では、みうらじゅんさんらが冗談半分で「2行ずつくらいで作ってたんじゃないか!?」って話してましたけど。
井上たぶん……1行ずつ作ってたんじゃないかな(笑)。もう記憶が定かじゃなくてうろ覚えですけどね。でも、あっという間に完成しましたよ。たぶん2時間位かなぁ〜。
――あの名曲が2時間で完成したんですか(笑)。
井上うん。で、その時、もう一曲清志郎と作った合作があるんですけどね。「待ちぼうけ」という。
――『氷の世界』に収録されていますね。
井上全く覚えてないんだよね(キッパリ)。
――アハハハハ! そうなんですか(笑)。
井上僕がカレーライスを作って清志郎に振る舞ったことは覚えているんですよ。ファミレスもスターバックスもない時代ですから、2人で寂しく食べてねぇ。そんな時代ですよ(笑)。
もうちょっとオシャレな見られ方をされた可能性も(笑)
井上そうそう。でも、プロデューサーの多賀(英典)さんは「心もよう」をA面にすべきだって言ってね。
――ちなみに、井上さんは、その時は正直どちらが良かったんですか?
井上うーーん。正直、どちらでもよかったよね。まぁ両方とも僕の曲だし(笑)。でもまぁ、どちらかというと「帰れない二人」だったかなぁ。「心もよう」は歌謡曲の延長だったけど、「帰れない二人」は新しい息吹を感じていましたからね。 ただ、多賀さんは業界のベテランですから、どういう曲が多くの人が好むか一日の長があったんでしょうね。
――結果としてはアルバムに向けての序章としては最高のスタートとなりました。これは、あくまで“if”の話なんですけど、もし「帰れない二人」がA面で発売されていたらどうなっていたと思いますか? 違った見られ方していた可能性もあると思うんです。
井上うーん。どうなってたんでしょうね……。もうちょっと“オシャレ”な感じの見られ方をしてたかも知れないですね(笑)。
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