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ORICON NEWS
長澤まさみ 『女性らしさを封印!自分のことに気を遣わない』
<動画インタビュー>自分がおもしろいなって(笑)
過去のことながら自分が恥ずかしくなりました
長澤私も林業についてはなんとなくしか知らなかったので、撮影前に調べました。父親の実家がみかん農家をやっていたので、生き物を育てる仕事の大変さは多少なりともわかっていたつもりだったんですけど、木は1年や2年の話ではないですから、想像していた以上に大変なんだということがわかりました。
──林業をやっている人には実際に会いましたか?
長澤その地域の第一人者の方にお会いしたんですけど、やっぱりたくましく感じましたね。どこか達観した山の男という感じで、山そのものを相手にした神聖な仕事をされているということが伝わってきました。映画『岳-ガク-』で山に登ったとき、山には神様がいるような気がしたんですね。山のルールを守ることができない人には厳しくて、山の神様が見ているんだろうなと。天気も変わりやすいし、いろんな表情があって不思議なんですよね。山は生きているという感じがするんです。
──そんな山での撮影は大変だったんじゃないですか?
長澤天気のこともありますから、スタッフの方たちは大変だったと思います。(くしゃみをして)すみません、花粉症で。
──花粉症で山の撮影は大丈夫だったんですか?
長澤夏だったので。この時期だったらダメでしたね(笑)。目も開かなかったと思います。
──山の男を演じた染谷将太さん、伊藤英明さんたちからも苦労話は聞きましたか?
長澤お祭りのシーンは本当に大変だったと言っていましたね。「全然進まないです」って染谷くんは言っていました。彼は気にしていませんでしたけど。彼らは(ふんどし姿での撮影なので)寒い思いをしていたと思います(笑)。
──矢口史靖監督は長澤さんについて「女性らしさを封印してもらった」と言っていますが、そういう役柄を長澤さんが演じているのがすごく新鮮でした。
長澤楽でしたね。自分のことにあまり気を遣わなくてよかったので。髪型も洋服もメイクも。直紀の役作りの段階で、ふだん気を遣っているような部分を気にしないで現場で過ごせたらなぁと思っていました。私にも直紀のようなサバサバした面はあると思います。
──矢口監督は長澤さんのそういう一面を見抜いていたんですね。
長澤昔、矢口監督の作品のオーディションに落ちたことがあって、それを取材で言っていたんですよ。「落ちたことがあるんですよ」ってネタのように。落ちたことは悔しかったんですけど、それもいい経験だから、おもしろおかしく話していたら、矢口監督から「あなたは覚えていないかもしれませんけど」って話をされて。オーディションの後、たまたまお会いしたときに、私が「オーディションのときはどうも!」って矢口監督に話しかけたらしいんですよ(笑)。そのサバサバ感がよくて今回のオファーをいただけたみたいです。普通そんなこと言わないですよね。自分が恥ずかしくなりました。たぶんそのときは「矢口監督だ、挨拶しなきゃ」と思って、「この間のオーディションではありがとうございました」ということが言いたかったんだと思うんですけど、そのころ私まだ子どもだったので、気が回る言葉遣いができるわけでもなかったので……。自分の過去のことながら、おもしろいなぁって、ちょっと自分に酔いました(笑)。
自分がどう変われるかにかかっている
長澤すごくおもしろかったと言われます。純粋に楽しかったと言ってくれるのでうれしいですね。自分がよかったとかじゃなくて、作品がよかったと言われるとうれしいんですよね。
──長澤さんは完成した作品を観てどう思ったんですか?
長澤私もおもしろかったです。前評判が高かったので、ちょっと冷静に観られなかった面もあるんですけど、それでもおもしろかったですね。英明さんにはたくさん笑わせていただきました。
──伊藤英明さんは現場でもヨキのようなワイルドな感じでしたか?
長澤“みんなのアニキ”ですね。現場でずっとトレーニングをしていて、体にいいことをいろいろ教えてくれました。私が疲れているように見えたのか、酸素を吸引しながら寝る機械を貸してくれたりしました。そういうことをみんなにやっているんですよ。本当に面倒見のいい方なんだなと思いました。
──主演の染谷将太さんはどんな方でしたか?
長澤イメージ通り、ひょうひょうとした感じで。でも、たまにボソッとしゃべる言葉がおもしろくて、わりとジョークが利く人ですね。おもしろいです。
──染谷さん演じる勇気は長澤さん演じる直紀に想いを寄せますが、勇気の魅力は何でしょうか?
長澤勇気はちゃんと成長していくんですよね。人って誰かが変えようとしても変わらないと思うんです。すごくそれは難しいことで。自分がどう感じて、どう生きていくかを考えないと、人は成長できないから。周りの言葉なんて、ある意味ノイズみたいなものでしかないというか。自分がこう行動したいと思わない限り、人が変わることはないと思うんです。それができるのが勇気。自分が変わっていくことで、周りが変化していくというのがこの物語です。直紀も含めた村の全員が変わっていく。そういうたくましさとか、やさしさ、繊細さみたいなところに、直紀も惹かれたんだと思います。
──このところ、台湾ドラマに出られて、今度はジョン・ウー監督(『M-I:2』『レッドクリフ』シリーズなど)の映画にも出演されますが、海外進出について何か積極的な思いがあるんでしょうか?
長澤やっぱりそういうふうに感じますよね(笑)。海外の現場を経験してみて、人間やる気があるっていいなって思ったんです。才能があるからとか、人より秀でているとか、特別だからとか、それで仕事ができるわけじゃないと思うんです。なによりもやる気が大事。どんなに小さい作品でも大きい作品でも、質を変えるのは自分、力を制限しちゃうのも自分。台湾ドラマはオファーをいただいたんですけど、その出演がきっかけでジョン・ウーさんの作品に出ることができて、私は本当にラッキーだし、幸せだと思います。それこそこの映画の勇気じゃないですけど、自分が変わることをしないとこういうことは起きないですよね。どんなふうに生きていきたいか、どんな仕事をしたいかというのは、自分がどう変われるかにかかっているのかなぁって。自分を持つことは大事だけど、その場所に合う自分でいるということはすごく大切だなぁと思っています。
(文:岡 大/撮り下ろし写真:片山よしお)
WOOD JOB!(ウッジョブ)〜神去なあなあ日常〜
関連リンク
・<動画インタビュー>自分に酔いました(笑)
・<テキスト&フォト>女性らしさを封印!?
・『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』公式サイト