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Jホラーブーム再燃? 中田秀夫監督の新作イギリス映画がカンヌ映画祭で大好評!

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 12日より開催中の『第63回カンヌ国際映画祭・ある視点部門』にて14日(現地時間)、中田秀夫監督の最新作『チャットルーム』(原題)が公式上映された。Jホラーの金字塔である『リング』シリーズや『怪談』などで世界的にも知名度が抜群の中田監督の作品とあって、1000席を超える会場には世界中の映画関係者が詰めかけた。

中田秀夫監督最新作「チャットルーム」(原題)の場面写真 

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 同作品は中田監督初となるイギリス映画。これまで自身の『リング』シリーズをナオミ・ワッツ主演でリメイクした『ザ・リング』の続編である『ザ・リング2』をアメリカで製作した経験はあるものの、欧州での撮影は初。日頃からアメリカ出身でイギリスに亡命した映画監督ジョセフ・ロージー作品をリスペクトして、ロージーに関するドキュメンタリー作品も製作したことのある中田監督にとっては、念願のイギリス進出となった。

 同作品はインターネット上の“チャットルーム”を舞台に、ティーンエイジャーの主人公たちをめぐるサイコ・スリラー。裕福な家庭に育ちながら両親との関係に不全をきたし、孤独を抱える17歳のウィリアム。彼が主催する“チャットルーム”には、同じ年頃のそれぞれに悩みを抱えた若者たちが集っていた。家族や友人関係についてのトラウマを本音で語り合っていくうち、いつしか彼らは相談に乗ってくれるウィリアムに心を開くようになっていた。しかしウィリアム自身も大きな心の闇を抱えており、さらには彼らを恐ろしい方向へと導こうとしていた…。

 キャストはすべてイギリス人の若手俳優を起用。異性と偽って出会い目的で近づく“ネカマ”や、特定の個人に批判が集中する“炎上”などの現象、主催するホスト役のパーソナリティがチャットルームの装飾に反映されるなど、オンライン上の世界を“可視化”した世界観は独特。SNSやtwitterなどのコミュニケーション技術が進化する一方で、ささいなきっかけで爆発する負の連鎖に注目して、心理的な恐怖感をかきたてる効果を挙げているところが、恐怖映画の名手として評価の高い中田秀夫監督の面目躍如だ。派手な効果音や流血などのショッキングな映像ではなく、人間の心の弱さに次第に浸食するかのような恐怖が観客の心をつかんだ。

 今年秋公開予定の『インシテミル』(綾瀬はるか、石原さとみ出演)も控える中田監督は残念ながら映画祭を欠席したが、実力作が揃う『ある視点部門』でもひときわ異彩を放ち、強烈な存在感を示した。日本での公開は現在のところ未定だが、日本発のJホラーがイギリス、フランスといった欧州を経て逆輸入されることを期待したい。

 『チャットルーム』が公式上映された『ある視点部門』では、今年101歳を迎えた世界最高齢のマノエル・ド・オリヴェイラ監督や、生きながらにして既に伝説と化しているジャン=リュック・ゴダール監督などの巨匠の最新作、開催中の万博で盛り上がる上海の現代史を描いたジャ・ジャンクー監督のドキュメンタリーなどが上映される。

 日本からは北野武監督の『アウトレイジ』が最高賞のパルム・ドールを争うコンペティション部門にて17日夜(現地時間)に上映される予定だ。(文・岡崎 匡)

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