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AV女優として名を上げた女性の心の葛藤を赤裸々に綴った小説を映画化した『nude』(小沼雄一監督、公開中)。同作でAV女優役に体当たりで挑んだ主演の渡辺奈緒子は、今年、北野武監督の最新作『アウトレイジ』や、阪本順治監督の『行きずりの街』(11月20日公開)などにも出演し、多彩な活躍をみせる。ところが、ORICON STYLEの取材に対し渡辺は「この作品で自分のダメさ加減を思い知った」と表情を引き締めた。
渡辺が演じるひろみは高校卒業後、女優になりたいという漠然とした夢を持ちながら上京。ある日、街でスカウトされ、“みひろ”という芸名のヌードモデルになる。夢を叶える第一歩と考えていたひろみだったが、彼氏や郷里の親友には理解してもらえず、孤立していく。なおさら女優になりたいと思いを募らせるひろみに、AVの出演オファーが入る。なぜAV女優の道を選んだのか。その決断に至るまでの経緯とひろみの、そして“みひろ”の心の葛藤を描く。
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年初に同作のオファーを受け、脚本を読んだ渡辺は「半分くらい自分と重なる部分があった」と、AV撮影のシーンがあることにも躊躇することなく、出演を決めたという。「台本を渡され、最初に渡辺奈緒子と書いてあるのを見たときは涙が出た。いつかは映画で主演をしてみたいと思っていたので、こんなにも早くチャンスが巡ってきたのは、不安もありましたけど、素直にうれしかったですね」。
5月に撮影が始まると、「カメラの前で裸になることよりも、微妙な心の揺れを表現する自然な芝居のほうが難しくて…。普通にご飯を食べる演技って、どうすればいいんだろう?と考え込んでしまったり…」と、壁にぶち当たった。
そんな渡辺を救い上げたのは、小沼監督やほかの共演者たち。特に小沼監督は根気よく渡辺と向き合い、嘘のない芝居を引き出そうとした。「周りに助けてもらいながらこの役を最後まで演じきることができたと思う。田舎から上京したばかりのひろみが“みひろ”として成長していく中で、演じている渡辺奈緒子もほんのちょっとですけど一緒に成長できたかな」。
渡辺は自らオーディションに応募して女優の道へ。2006年公開の『東京大学物語』(江川達也監督)で映画デビューし、2007年にキーラ・ナイトレイ主演の『シルク』(フランソワ・ジラール監督作、日本公開は2008年)にも出演した。
「自分で決めて、やってきたことに後悔はない。映画の中のひろみもそう。自分の夢に向かって、自分で決めて前に進んでいく。周りに反対されても自分を貫く姿に共感できたし、それがこの映画のメッセージでもあると思う」と最後は力強く話した。
『nude』
田舎町で生まれ育った山瀬ひろみは高校卒業とともに上京し、恋人や親友に猛反対されながらも、夢のためにみひろという名でAV女優という道を進んでいく。そんな彼女の秘められた強い決意と、不安や葛藤が赤裸々に描きだされる真実の物語。 監督:小沼雄一 原作:みひろ『nude』(講談社刊) 出演:渡辺奈緒子 佐津川愛美 永山たかし みひろ 山本浩司 光石研 <R-15指定> 配給:アルシネテラン、ハピネット 9月18日(土)より全国ロードショー 公式サイト |
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2010/09/22