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「大勢で共有するもの」山田洋次監督、新進気鋭監督らに“映画”を伝える

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 映画監督の山田洋次が23日、埼玉・川口のSKIPシティで開幕した『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2010』のオープニングセレモニーに出席した。映画『幸福の黄色いハンカチ デジタルリマスター』上映前に舞台あいさつを行った山田監督は、オリジナル版上映時に映画初出演となった歌手で俳優・武田鉄矢を「あの頃は20代の青年でした。初めての映画で困りきっていたんじゃないかな。私も彼にてこずった記憶がある」と懐旧。コンペに集まった新進気鋭の映画監督らに対し「大勢と共有して観るために映画は110年前にできた。皆さん、それを忘れないで」と映画の存在意義を訴えた。

『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2010』のオープニングセレモニーに出席した山田洋次監督 

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 高倉健主演で登場人物4人の勇気と希望、尊い愛情を描いた同作が、1977年の公開から色鮮やかなデジタルリマスターとなって蘇った。山田監督は「30何年前、今とは違う景色の(北海道・)夕張を映しました。今、観直すとまったく違っていて、こんな短い期間でこの国はこんなにも変わってしまったのか」と寂しげ。当時の武田を「今と見比べるとずいぶん昔の映画なんだなと思う」と笑わせ、「この間(出演者の)桃井かおりに会って、『いろいろ説教をし始める前よね』と言っていた」と懐かしんだ。

 山田監督は自らがメガホンを執った同作のデジタル化の技術に「この映画が作られたときにはデジタルの“デ”の字も知らず、まるでニュープリントのように蘇るデジタルの技術にはビックリ」と目を丸くした。その一方で「簡便に映るようになった良さと同時に、欠点もあるような気がする」と語り、「大勢の人たちと観る同じ感動、興奮、悲しみを共有できるのが映画館。今は(製作者が)映画館での上映のイメージができなくて、そのことを忘れてしまうと映画がどんどん小さくなっていってしまう。それが心配でしょうがない」と昨今の映画製作の風潮を嘆き、「テレビで観るものは擬似的なものに過ぎない。映画は大勢と共有して観るためのもの。皆さん、それを忘れないで」と切に訴えかけていた。

 「デジタルシネマ」をテーマに7回目の開催を迎えた同映画祭は過去最多となる85の国と地域から作品の応募があり、全810作品から長編部門(国際コンペティション)は13作品、短編部門(国内コンペティション)は10作品がノミネートされた。

 オープニングセレモニーにはほかに長編・短編部門ノミネート監督のほか佐野史郎ら審査員が登壇。『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2010』は同所にて8月1日(日)まで開催。


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