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染谷将太&窪塚洋介 時空を超えて太宰治とコラボ「なんてロマンチック!」



 昭和日本を代表する作家・太宰治。今年生誕100年を迎えたのを記念して、数々の太宰作品が映像化されているが、中でも“一番ポップで明るい青春映画”というふれこみで異彩を放つ作品が、映画『パンドラの匣』(冨永昌敬監督、公開中)だ。主人公の青年・ひばりを演じた17歳の俳優・染谷将太と、共演の俳優・窪塚洋介に話を聞いた。


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◆気張っているうちは、“新しい男”になれない


染谷将太(C)ORICON DD inc.
  同作は、敗戦を機に「新しい男」になることを目指し、山里の“健康道場”で結核の療養生活を始めた青年・ひばり(染谷)の物語。看護婦さんたちへの甘酸っぱい気持ちや、結核による突然の仲間の死など、日々の心の揺れを、親友・つくし(窪塚)宛ての手紙に書き続ける。


【染谷】「ひばりが目指す“新しい男”って、今でいう“高校デビュー”みたいなものかな? そういう気持ち、わかる。でも、“新しい男”と気張っているうちは、“新しい男”になっていないと思うんですね。作品ごとに新しい自分がいるようにも思うし、自然に変わっていくものなのかもしれない」


 小学生の頃から映画・TVドラマなどに出演してきた染谷は17歳らしからぬことを言う。一方、窪塚は「僕は常に“新しい男”でいたい」と言う。


【窪塚】 「何かにこだわって見えてくるものもあると思うけど、その分、可能性は狭まると思う。今はそう思っている。明日は違う考えをしているかも知れないけどね。“新しい男”って、とてもキャッチーなフレーズだけど、ただの言葉だし、そういう言葉にさえ囚われないで、成長して行きたい」


 むしろ窪塚のほうが、青春のさなかにいるかのようだ。この映画は、「やっとるか」「やっとるぞ」「がんばれよ」「ようしきた」のあいさつや書簡形式で綴られた原作のユーモラスな雰囲気を活かしながら、冨永監督が独自のスタイルで、不安定でアンバランスで、希望にみちた矛盾と混沌を抱えた“青春”そのものを鮮やかに描き出す。


◆日本文学ってすごい。今、読んでも新しい。


窪塚洋介(C)ORICON DD inc.
 染谷演じるひばりは、ハマリ役と評価も高い。年長の窪塚が「ご覧の通り染谷はちょっとひねくれた、人を小馬鹿にするような冷めた目を多々する子ですけど、その感じがすごくひばり役に合っていたと思います」と一癖かましても、染谷は「僕自身はひばりほど自意識過剰ではありません(笑)」とサラリと受け応える。しかし、現代日本とまるで異なる時代背景には正直、戸惑ったそうだ。


【染谷】 「「結核は当時、死病だった。もし、僕が今、何か死病に罹って、もうすぐ死ぬかもしれない状態になったら、僕はあんなに希望的には生きられないと思う。最初はひばりのキャラクターもよく理解できなかった」


 今年は春にプライベートで来日したほか、映画『グッド・バッド・ウィアード』の日本公開やWOWOWとのコラボレーションイベント等で、例年になく東京を訪れることが多い。


【染谷】 「ひばりの性格は時代や環境がすごく影響を与えていると思ったので、戦争中はどんな暮らしをしていたのか調べたり、玉音放送を聴いた時はどんな想いだったのか祖母に話を聞いたりしました。そういう知識を得てから台本に戻ったら、ひばりの台詞が自分の中にどんどん入ってきました。撮影に入ってからは3週間ほどロケ地に滞在して、世間と隔絶された感じが物語とシンクロしてよかったと思います」


【窪塚】 「僕自身はひばりとつくしを足したような感じかな。自意識過剰なところが自分にあるのも分かっているし(笑)。つくしの詩が好きなところとか、女性に対する小ずるい感じとか、自分もそうだとは敢えて言わないけど(笑)」


 しかし、窪塚は太宰治について「思い入れのある作家ではなかった。正直言うと、読んだこともなかった」という。


【窪塚】 「今回の出演を機に初めて原作の小説を読んで衝撃を受けた。「日本文学ってすごい。今、読んでも新しい。今、このタイミングで太宰治という作家に出会えたこと、時空を超えてコラボレーションできるってことが、すごくロマンチックだと思ったし、その喜びは大きかったです」


 映画『パンドラの匣』は東京・テアトル新宿ほかで全国順次公開中。


『パンドラの匣』


(C)2009「パンドラの匣」製作委員会


【ストーリー】

 結核を患う少年・ひばり(染谷将太)は終戦を機に「健康道場」と称する風変わりな療養所に入所する。そこで出会う美人婦長の竹さん(川上未映子)と気まぐれな看護婦・マア坊(仲里依紗)、おかしな療養者たちとの日々。

 ひばりは、日々の出来事を友人のつくし(窪塚洋介)宛の手紙につづる毎日を送り、やがて生きる活力を取り戻していく。

監督・脚本:冨永昌敬
原作:太宰治出演:染谷将太 川上未映子 仲里依紗 窪塚洋介

東京・テアトル新宿ほかで全国順次公開中。

公式サイト



関連写真

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  • 染谷将太(C)ORICON DD inc. 
  • 窪塚洋介(C)ORICON DD inc. 
  • 映画『パンドラの匣』は東京・テアトル新宿ほかで全国順次公開中 (C)2009「パンドラの匣」製作委員会 
  • 映画『パンドラの匣』は東京・テアトル新宿ほかで全国順次公開中 (C)2009「パンドラの匣」製作委員会 

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