世界的な大ヒットを記録している、今世紀最大のファンタジーシリーズ『ハリー・ポッター』。いよいよ最終章に向けて動き出す、その第6章『謎のプリンス』(7月15日、日米同時公開)の公開を間近に控え、第5章『不死鳥の騎士団』から第7章『死の秘宝』までの監督を務めるデイビッド・イェーツが、ORICON STYLEのインタビューに登場。物議をかもした第6章の公開延期についての思いや、注目される最終章(第7章)でのキャスティングなど、製作秘話を語る。
◆公開延期がより完成度の高い作品に
――当初、第6章は昨年末の公開予定でしたが、今年7月に延期されました。それによる作品への影響はありましたか?
【デイビッド】 昨年末の公開に向けて作品が完成したときは、もちろん仕上がりにじゅうぶん満足していました。でも、時間ができるとどうしても気になって手を加えてしまいますね。公開が延期になったことは残念に思いますが、そのぶん余裕をもてました。そんなに追加するべきことはなかったのですが、よりすばらしい作品に仕上げることができたと信じています。
――第5章から第7章まで3作の監督を務められますが、シリーズのなかで一番多くの作品を手がけることになります。
【デイビッド】 デイビッド・ヘイマン(プロデューサー)やワーナー ブラザーズ映画が私の作品を気に入ってくれたんでしょうか。前作は、出来栄えに喜んでもらえ、興行的にも成功を収めました。その点も踏まえて認めてもらったのだと思います。
――ほとんどのキャストは第1章『賢者の石』から関わっています。第5章から参加される際に、気を使った点はありますか?
【デイビッド】 彼らは長い間、その役で育ってきたので、作品や役柄に対しての理解がとても深いのです。私の監督としての役目は、彼らのキャラクターをさらに引き出すことでした。お互いに尊重しあって、とても良い関係を築けたと思います。
◆一番難しいのは“質”を保ち続けること
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』の撮影現場での様子 |
――今作(第6章)は、クライマックスに向かって物語がシリアスな展開に突入する一方、ロマンスやコメディの要素も含んでいます。その相反する要素をまとめるのに苦労は?
【デイビッド】 前作は、思春期特有の悩みやハリーの運命を語っていて、暗い要素が強いです。それに対して今作では、ロマンスやドラマの要素を入れて、もっと軽やかな作品を作りたいと思っていました。製作において、そのバランスはデリケートな部分です。一番重要だったのは、J.K.ローリングの原作の内容がきちんと反映されていること。原作は、コメディからドラマの要素までを絶妙に取り入れています。その感情的な部分を、観客に体験させることに注力しました。だから、明るい部分と暗い部分すべてを映画のなかで語ることが重要でした。
――製作においてもっとも苦労したことは?
【デイビッド】 とくに大変だと感じたことはなかったですね。キャストもスタッフたちも、とても良い仕事をしてくれました。ただ一番難しいかったのは、『ハリー・ポッター』という大作に対して、時間もかかりますが、その質を保ちながら作り続けなければならないことです。マラソンにみたいなもので、スタミナがなければ続けられないですね(笑)。
◆大人になってもオリジナルキャストで?
――次作(最終章)のラストでは、登場人物はみんな大人になりますね。
【デイビッド】 まだ企画中ですが、CGやビジュアルエフェクトを駆使する予定です。観客の方々は、これまでのオリジナルキャストが最後まで登場することを期待しているでしょう。私としても、大人になってもその役は彼らでなければ、という思いがあります。いろいろな新しい技術をいま試しているところです。
――現在、撮影中と聞いていますが、現場の雰囲気は?
【デイビッド】 現場はとても楽しいですね。もう物語の半分を撮影し終わったところです。第7章は、ハリー、ロン、ハーマイオニーが、ホグワーツから離れて旅に出る、ロードムービーに仕上がっています。彼らは、危険から常に逃げながら成長し、ストーリーはクライマックスに向けて進んでいきます。みんな、これが最後だと深く意識しています。『ハリー・ポッター』シリーズは本当に長い作品で、10年間同じメンバーで作り上げてきましたし、キャストたちが成長する人生の期間のほとんどを占めています。この撮影が終わるころは・・・、感動的な現場になると思います。
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』 J.K.ローリング作の大人気シリーズを基にした『ハリー・ポッター』シリーズ待望の第6作。今回もダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、そしてエマ・ワトソンが若き魔法使い、ハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーとして、ヴォルデモート卿の復活によって引き起こされる新たな難問と危険に直面する。 監督:デイビッド・イェーツ 出演:ダニエル・ラドクリフ ルパート・グリント エマ・ワトソン ヘレナ・ボナム=カーター デイビッド・ブラッドリー ほか / 予告編 7月15日(水)より日米同時公開 / 公式サイト (C) 2008 Warner Bros. Ent. Harry Potter Publishing Rights (C) J.K.R. Harry Potter characters, names and related indicia are trademarks of and (C) Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. |
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2009/07/01