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『いけちゃんとぼく』恋愛を経験した女性の心に届く“声”



 漫画家・西原理恵子の絵本が原作の映画『いけちゃんとぼく』(大岡俊彦監督)で、不思議な生き物“いけちゃん”の声を担当した女優・蒼井優のインタビューが届いた。主人公の小学生・ヨシオを優しく見守り、ヨシオが成長するにつれ女の子目線へと変化していく“いけちゃん”を声だけで演じた蒼井が、女優として、女性として、感じたこととは?


映画『いけちゃんとぼく』6月20日(土)より全国公開 (C)西原理恵子、角川書店、2009「いけちゃんとぼく」製作委員会 

映画『いけちゃんとぼく』6月20日(土)より全国公開 (C)西原理恵子、角川書店、2009「いけちゃんとぼく」製作委員会 

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◆西原さんの絵と文字とストーリーという3つのどれが欠けてもいけない


CGっぽくないCGキャラクター“いけちゃん”
――“いけちゃん”の声優として出演依頼があった時は、どのように思いましたか?

蒼井:いろいろなことに驚きました。これまで、少年とか少女とか、自分と年齢は違っていても人間の役でしたが、今回は人と言えば人ですが、よくわからない物体なので「これに声をあてるのか」と思ったし、まず、“いけちゃん”のビジュアルに驚きました。西原さんの絵本の実写映画化というのも、面白い試みをされるんだなと思って。その中で、“いけちゃん”という大事な登場人物を私に任せてくださったことは、すごく光栄なことでしたし、うれしいかったので、すぐにやりたい!と思いました。


――原作を読んだ時の感想は?

蒼井:“いけちゃん”の役をやることが決まってから読んだので、「どんな声なんだろう?」「どういう風に動くのかな」「どう実写化するつもりなのかな」といろいろ考えながら読んでしまい、どうなるんだろうとワクワクしましたね。




――脚本を読んだ時はどう思いましたか?

蒼井:言葉が活字的だなと。原作の西原さんの言葉が使われていた所があったので、目で読んで楽しかったです。今の子供たちは使わないような言葉もあったので、どういう風に演じるのか、それも楽しみでした。子供たちが面白い言葉をしゃべっていることが、この作品にとってすごく面白い引っかかりを作ってくれている。

 『いけちゃんとぼく』の世界は、西原さんの絵と文字とストーリーという3つのどれが欠けてもいけないんだなって気がします。これを実写化すると、絵と文字が消えてしまって、ストーリーしか残らない。欠けた2つを何に変換させて補うのかな?と思っていたんですけど、監督は面白い言葉を子供たちにしゃべらせることで、文字の代わりにしたような気がして、すごく興味深かったですね。


◆自分の中で“いけちゃん”の声が聞こえて来るまで待った


主人公のヨシオ(9歳)を演じるのは、オーディションで選ばれた深澤嵐。1996年生まれ。『みんな昔は子供だった』(フジテレビ)などのテレビドラマ、『子ぎつねヘレン』(2007年)、『イキガミ」(2008年)、『GOEMON』(2009年)などの映画に多数出演

――“いけちゃん”の声をどんな風に作っていきましたか?

蒼井:今回はオフラインを何回も見て、自分の中で“いけちゃん”の声が聞こえて来るまで待ったんです。脚本を読んで、“いけちゃん”の声ってこんな感じかなと思って、私もいろいろ考えて、このトーンかな?というのを監督の前でやってみたら、監督も「そんな感じで」ということだったので。


――聞こえてきた“いけちゃん”の声は、どんな感じだったんですか?

蒼井:やわらかい声でした。でも、自分が実際にその声を出せているかわからないから不安でした。声の変化にはとても気をつけました。


――“いけちゃん”を演じて、一番難しかった点は?

蒼井:“いけちゃん”は主人公のヨシオ(小学生の男子)にしか見えない存在だから、“いけちゃん”とヨシオが直に会話をする時と、距離は離れているんだけど心の中でつながって会話をしている時と、声の大きさのバランスをとるのが難しかったですね。それは私が今までに経験したことがなかったことです。どのシーンも難しかったので、特にあのシーンが難しかったということではないけれど、やっぱり最後の言葉に“いけちゃん”の全部の思いが入らなきゃ!と思ったので、ほかのどの台詞よりも大事に扱った感覚はあります。


――“いけちゃん”とヨシオの関係をどんな風に思いますか?

蒼井:目に見えても見えなくても、他の人が入れない関係の2人はすごくいいなって思います。やっぱり力をくれると思うから。原作の絵本はラブストーリーなんですよね。恋愛ものが苦手で、ファンタジーものも苦手な私にとっては、こういう見せ方があったんだ!と、素直にすてきな話だと思いました。夢もあるし、子供にも見ていただきたいけど、女性に一番見てほしいです。恋愛を経験した女性の心に届くと思います。本当にすてきな恋愛。すごく深い愛を描いた作品だと思います。


――最後に、完成した映画を観た感想をお願いします。

蒼井:この映画を観ると、自分の隣にいてくれる人のことをより深く見えるようになるのかなって、私は思います。その人の過去を知りたいというだけじゃなくて、昔があって今の彼がいるんだっていうことが見えてきて、その人の今をより深く感じられるのではないでしょうか。それと、ヨシオの友達の京ちゃんをよく見てもらいたいですね。“いけちゃん”並みに得体が知れない感じがお気に入りです。


蒼井優

【PROFILE】
1985年生まれ。福岡県出身。小学生の頃からモデルとして活動をはじめ、1999年に約1万人の中からミュージカル『アニー』のポリー役に選ばれ女優としてデビュー。2001年に、岩井俊二監督の『リリイ・シュシュのすべて』で映画初出演。その後、2002年、三井のリハウス10代目リハウスガールに選ばれ、活躍の場を広げていった。2006年には、映画『フラガール』の好演で国内の映画賞を総なめに。若手女優の中でもトップクラスの実力派として高い評価を得ており、映画界からの出演依頼は後を絶たない。今後の作品、山田洋次監督、吉永小百合主演の『おとうと』(2010年公開予定)などがある。
『いけちゃんとぼく』

【ストーリー】
“いけちゃん”(声・蒼井優)とは9歳の少年・ヨシオ(深澤嵐)にしか見えない不思議ないきもの。いつの頃からか、いつもヨシオのそばにいて見守っていてくれた。しかし、ヨシオが成長するにつれ、その姿はだんだん見えなくなっていく。そしてとうとう“いけちゃん”が現れる最後の日、「私がほんとは誰なのか、言いたい」と“いけちゃん”はヨシオに正体を打ち明ける。それはあまりにも切ない告白だった・・・。原作の絵本はバラエティー番組『ザ・ベストハウス123』(フジテレビ系)で<絶対泣ける本第1位>に選出された、珠玉のラブストーリー。恋した経験のある大人なら号泣せずにはいられないクライマックスが待っている。

脚本・監督:大岡俊彦
原作:西原理恵子『いけちゃんとぼく』(角川書店刊)
出演:蒼井優(声) 深澤嵐 ともさかりえ 萩原聖人 モト冬樹 岡村隆史 吉行和子
6月20日(土)より全国ロードショー
(C)西原理恵子、角川書店、2009「いけちゃんとぼく」製作委員会
公式サイト:http://www.ikeboku.jp/

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