ドラマ&映画 カテゴリ
ORICON NEWS

死の尊厳を描く『おくりびと』が老若男女に感動を与える理由

『おくりびと』世代別評価






 納棺師という職を通じて死と生の意味、仕事への誇りや夫婦の再生を描きだす映画『おくりびと』(9月13日公開)。モントリオール世界映画祭での最高賞(グランプリ)受賞も話題のなか、オリコンの試写会に参加した映画ファンからは、世代を超えて高い評価の声が聞かれた。

 納棺師の仕事を初めて知ったという多くの10代からは「暗い映画だと思っていたら、笑いあり涙ありで、最後は清々しいさわやかな感動を覚えました」(女性)などさまざまな声が寄せられた。

 モントリオール映画祭の朗報が届いたその週末6日(土)に行われたオリコンの試写会には、その話題性もあり、学生風の10代の男女から年配者まで幅広い層の映画ファンがつめかけた。上映後に回収されたアンケートの世代別の結果をみると、総じて評価が高いなかでも、10〜20代の若年層は音楽と出演者の演技に惹きつけられている様子がわかる。

 そして、20〜30代では、主演の本木雅弘広末涼子山崎努笹野高史らの好演と深いセリフに心を打たれたという声が多く寄せられ、50代以上の層では、ストーリーや演出などすべての項目で、ほかの世代を上回る高い評価となった。劇中のシーンのなかでは、笹野演じる銭湯の常連客の火葬場での言葉、主人公と父親との石文の下りと映画の最後の2人のシーンに特に多くの反響が寄せられている。

 上映中の会場は時折、笑い声が漏れ、涙を拭う人の姿もみられた。そして、エンドロールが流れても席を立つ人はみられず、そこで映し出される納棺師の本木の所作が観客を魅了。上映後は大きな拍手が沸き起こった。今回の参加者の多くが、映画のメッセージを自身の経験と重ね合わせて共感し、新たな考えを呼び起こされ、大きく感情を揺さぶられた本作へのさまざまな思いをアンケートに綴った。世代別の声は以下の通り。

【10代】
「こういう仕事があるのを知りませんでした。死と向き合うのは悲しいけれど、とても美しい話でした」(女性)
「自分の仕事にやりがいを持つってすばらしいなと感動した」(女性)
「親は死なないものと思っていたが、いつか死が来ることを考えさせられた」(男性)
「死を別の視点で考えることができた」(男性)
「納棺師を主人公にした話は、今まで経験したことのない、考えたことのない内容で、とても考えさせられるものでした」(女性)
「AIさんのイメージソングがエンディングにも流れて欲しかった」(女性)

【20代】
「死を通じて生を考えさせられる映画。職業への偏見もつまらないことと考えさせられた」(女性)
「余計な説明のセリフのシーンがなくてよかった」(男性)
「主人公の父親に対する最後の接し方に感動を覚えた」(男性)
「仕事に誇りをもつことはすばらしい」(女性)
「いつかくる死について考えました。人にやさしくしようと思った」(女性)

【30代】
「日本らしい美を感じました」(女性)
「職業には卑しいも尊いもない。プロの仕事はどの世界でも美しい」(男性)
「納棺師という仕事は人を愛することができる人にしかできない仕事」(女性)
「死というテーマを扱いながら、重くならずにしっとりと温かいストーリー」(女性)
「こんなに涙を流した映画はひさしぶり」(男性)
「ふぐの白子を食べるシーンと、(本木と山崎の)会話がすごく印象的だった」(男性)

【40代】
「何かひとつ覚悟ができた気がする」(男性)
「死の尊厳がいかに忘れられている時代かということを強く感じました。『死は次への門』という言葉は、どんな人でもどんな生き方であっても最大の賛辞で送り出す源泉だと思った」(女性)
「故人に対する家族の優しさの奥に死が特別なことではないことが感じられる」(女性)
「納棺師の所作の手のやさしさが心に痛い。ぐっときました」(女性)
「久石譲の音楽が物語を深め、心の奥底まで響いてくる」(男性)

【50代以上】
「日本にはこんな秀作がある。日本にしか作れない作品」(男性)
「子供は持たないという娘(35歳)にも見せたい」(女性)
「これから父母を送っていく年齢なので、しみじみと考えさせられました」(女性)
「死が尊厳のあるものであることを伝えるすばらしい作品」(男性)
「職に真摯に打ち込む姿は、人に感動を与える力がある」(男性)
「山形の美しい風景とチェロの音色が心に響きました」(女性)

※オリコン独占試写会は9月6日(土)の昼に都内で開催。アンケートの有効回答数は473人。

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索