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人気コミック『家栽の人』原作者、裁判員制度に反対する裁判官に辛らつ発言

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 裁判の審議における陪審員たちの2転3転していく様子を描く『12人の怒れる男』(8月23日公開)のトークショー付き試写会が30日(水)に都内の劇場で行われ、人気コミック『家栽の人』(小学館)原作者の毛利甚八、弁護士の酒井幸と河津博史が登壇。来年5月よりスタートする裁判員制度について、映画で描かれる陪審員の姿に触れながら説明し、来場者からの質問に答えた。毛利は「市民が裁判に入ることは大きな心の負担になる。しかし、それが凝り固まった(裁判官の)常識に新しい風を入れることになり、国民のための裁判になる」と熱くメッセージを送った。一方、制度に反対する裁判官には“市民をバカだと思っている”との辛らつな発言も飛び出した。

『家栽の人』(小学館)原作者の毛利甚八と酒井幸弁護士 

『家栽の人』(小学館)原作者の毛利甚八と酒井幸弁護士 

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 『12人の怒れる男』は、映画史に残る名作であるシドニー・ルメット監督のオリジナル版(1957年)を、ロシアの巨匠ニキータ・ミハルコフが現代版にリメイク。社会体制が変わって生じる矛盾や、個人が抱える問題などを12人の陪審員の姿を通して描きだし、2008年アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるなど、これまでに高い評価を受けている。

 この日、試写会の後で行われたトークショーでは、毛利、酒井、河津の3人が2009年5月21日より導入される裁判員制度について解説し、来場者からの活発な質問に答えた。日弁連発行の裁判漫画を描く毛利は、同制度の導入までの経緯を説明。さらに、制度導入に反対する裁判官や検察官を“市民をバカだと思っている”“自分たちのしてきた仕事に間違いは決してないと信じている”人たちと、穏やかな口調ながら辛らつに断じ、「どうしても裁判員制度を成功させたい」と熱く語った。

 その一方、市民が裁判に参加することは精神的な面で大きな負担になることを認めるが、「裁判に参加することで、社会やメディアに対する見方が変わり、今まで見えなかったものがみえるようになります。そういう人が少しでも増えていくことで、日本の社会が変わっていきます」と力強くアピール。「社会として引き受けなければならない負担」として裁判員に選ばれた際の参加を呼びかけた。

 また、酒井弁護士は「市民が法律をまったく知らない状態で参加することが大前提。法廷側で、わかりやすい審議を進めるための取り組みが行われています」と制度の受け側の対応を説明。身構えずに参加できることをアピールし、「検察の証拠が信用できるかできないか、そこから有罪、無罪を判断してもらいます。普段、私たちが日常的に身の回りでやっていることと同じです」と裁判員の役目をわかりやすく解説した。

 トークショーで多くの質問を受け、来場者がいろいろな不安を抱えていることを察した毛利は、最後に「裁判員制度を怖がらない方法は、裁判の傍聴に行くことです。(裁判は皆さんが想像しているより)大したことないですから」と肩の力を抜いて笑顔をみせた。

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  • 『家栽の人』(小学館)原作者の毛利甚八と酒井幸弁護士 
  • 『12人の怒れる男』8月23日よりシャンテ シネほか全国順次ロードショー 
  • 左から河津博史弁護士、『家栽の人』(小学館)原作者の毛利甚八、酒井幸弁護士 
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