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ドラマ『ROOKIES』はなぜ受けるのか

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熱血教師役を“熱演”する佐藤隆太

 『8時だョ!全員集合』が放送されたTBS土曜夜8時という“伝説の枠”に38年6か月ぶりのドラマとしてスタートした『ROOKIES』の評価がうなぎのぼりだ。二子玉川学園高校に赴任してきた新人教師・川藤幸一(佐藤隆太)が、活動停止で不良だらけになっていた野球部の再建に乗り出し、甲子園を目指す感動作。気恥ずかしいまでの熱血教師と不良学生の魂の交流を描いているドラマ『ROOKIES』人気急上昇の秘密に迫ってみたい。

熱血教師役を“熱演”する佐藤隆太 

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 原作は、マンガ『ろくでなしBLUES』で知られる漫画家・森田まさのり氏が『週刊少年ジャンプ』(集英社)誌上で98年〜03年まで連載していた同名漫画をドラマ化したもの。『ROOKIES』の魅力を語る上で欠かせない要素は、熱血教師・川藤と野球部員たちとの泥臭いまでの“男の友情”であろう。今クール、同じ学園ドラマとして高視聴率を記録するのは仲間由紀恵主演の『ごくせん』(日テレ系)だが、仲間演じる“ヤンクミ”は、女教師ということもあり、派手な啖呵は切るものの女性ならではの包み込むような包容力で生徒たちと接していく。これに対し、川藤は夢を失くし自暴自棄になっていた野球部の不良たちの悩みを自ら傷つくこともいとわず、親身になって話を聞き、一人ずつ心を解きほぐし、野球に気持ちを向かわせていく。“かっこ悪いことは、なんてかっこいいんだろう”と思わず叫びたくなるその泥臭いまでの姿が、見るものの心を打つ。

 昨今、ここまで愚直で人間臭い教師像は、ドラマ制作サイドから「熱すぎる」と敬遠されてきたが、互いの生活にはなるべく踏み込まない、人間同士の関係が希薄になったといわれる現代の風潮、特に将来に希望を抱けず、自分が何をしたいのかも分からない今の若者たちには「この世は希望だらけだ」と情熱的に語る教師が、逆に新鮮に映るのだろう。84年に放送された弱小ラグビーと教師を描いた『スクール・ウォーズ』や、79年から続く『3年B組金八先生』シリーズなど、教師と生徒の“絆”を描くことには定評があるTBSイズムを継承したドラマ作りが時代とマッチングしたようだ。

 また、豪華イケメン・キャストたちの競演も同作の見逃すことができない魅力だ。川藤役の佐藤は、漫画版『ROOKIES』を自身の母校に全巻を寄贈するほどの大ファンを公言しており、17歳で読んでからドラマ化したいと思い続け「川藤をやれるならそこで役者を引退してもいい」とまで公言している。さらに、原作者の森田氏も佐藤と対談した際にこの話を聞き、佐藤が川藤を演じられる年齢に達するまでドラマ化のオファーを断り続けたというエピソードがある。さらに落ちこぼれ野球部のエース兼4番の安仁屋役にはイケメンの登竜門である『WATER BOYS2』主役の市原隼人、暴力的だが実は仲間思いの新庄役には『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』(フジ系)で知名度を上げた城田優、ドレッドヘアがインパクトのある岡田には『仮面ライダー電王』(テレ朝系)で主演を務めた佐藤健など、演技力も確かなイケメンたちが勢ぞろい。傷つきやすい純粋さゆえに、不良になりながらも、川藤に鼓舞され白球に夢をかける球児たちを力強く演じている。

 “ルーキー”は単なる“新人”ではなく、人生はその気になればいつでも再スタートが切れる、ルーキーとして再出発できるという意味が、今作には込められている。「夢にときめけ、明日にきらめけ!」を座右の銘とする川藤と野球部の夢を追う姿は、教師と生徒、立場を越えた両者の信頼が生んだ深い“絆”、夢を追うことの大切さ、尊さを教えてくれる。同作の主題歌であるGReeeenのニューシングル「キセキ」が発売から2週連続でオリコンの首位を獲得するなど音楽面も援護射撃。土曜夜8時のドラマという新たな“黄金枠”の定着を願うTBSの夢を乗せ、終盤に向けてどこまで視聴率を伸ばすか注目が高まる。


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