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『秘密』、のaikoちゃん!!

“過去最高の切なさ”(個人比)をまとった、aiko渾身の一枚


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aiko『秘密』初回限定盤


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aiko『秘密』通常盤

 4月2日にリリースされたaikoの1年8ヶ月ぶり、8枚目のオリジナルアルバム『秘密』がいい。いい意味で濃密で、どこまでも味わい深い13の作品たちが輝いている。この味わい深さはデビュー10周年というキャリアも関係するのだろうか。もちろんキャリア、そして人間として、ひとりの女性としての成長も関係しているのかもしれないが、シンガーとして、ソングライターとして、本当に今イイ時なのかもしれない。深みとともにさらに新鮮さを増した楽曲達。ここにきて過去最高の“切なさ”(個人比)をまとったこんなアルバムを放つことができる、アーティスト・aikoの凄みを感じた。

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 この“切なさ”は一体どこからくるのだろうか…。今回はいつもにも増して、彼女のココロの奥に潜んでいる、ココロの裏側にある、“陰”の部分を見せてくれているように感じる。“陰”と聞くと、暗いイメージがあるかもしれないが、他人には決して見えない、わからないところにある想いがあるからこそ、誰か好きな人がいる場合は、そこで自問自答し、悩み、迷いが交錯して、苦しくなったり、哀しい気持ちになったりする。そんな想いが募る“場所”でもある。結果、その人に対しての想いがより深くなると思うし、どこまでも深い気持ちが、その恋愛を素晴らしい、ステキなものにしてくれるのではないだろうか。でもそこは普段絶対に人には見せない、話さない部分――――そんなココロの裏側、陰を、今回aikoは言葉にしているのではないだろうか。

 哀しくも切ない、そんな感じがいい。“悲しい”、ではなく“哀しい”、だから切ないのだ。誰かのことを哀しいくらい好きになった経験は誰にもあると思うし、その時の気持ちは決して忘れないし、その時のことを思い出すと切なくなると思う。aikoの作品の切なさは“そこ”だ。その切なさは一曲目「You&Me both」から全開で、男目線で失恋を歌う「キョウモハレ」は斬新、「星電話」も「恋道」も切ないシーンの連続だ。シングル曲「シアワセ」「二人」は思わず口ずさんでしまう肌触りの良さが◎、もちろん「学校」のようなポップな曲もあるが、そんな曲でさえも切ない。M6の「秘密」は、13曲中最も深い想い……詞を読んでいるだけで涙が出そうになる。

ドラマティックな“aikoワールド”

 それにしてもaikoの書く詞は、下手な短編小説よりもよっぽどドラマティックで、彼女の声とメロディがそこに乗ると、一瞬にして映像が頭の中に流れてくる。つまり、余韻がいつまでも続き、聴く人の耳と心により鮮明に残る、ということだ。

 “aikoワールド”の素晴しさは“ウソがない”ところだ。彼女の書く詞、そしてメディアを通じて発信する言葉、ライブ―――全てが一本の線でつながっている。彼女のライブでは泣いているファンをよく見かける。もちろんエネルギッシュで、パワフルなライブでもあるのだが、やはり全てが終わったあとには切なさが残る。それはaikoが放つメッセージ、パフォーマンスにウソがなく、ファンに対して彼女がどこまでも誠実だからだ。まだ生で“aiko体験”していない人は、5月1日の埼玉・川口でスタートするライブツアー『Love Like Pop vol.11』に是非足を運んでみては?

 今回のこの『秘密』という作品、いつまでも聴き継がれる名作だと思うし、aikoの作品はどれも印象深いのだが、中でもこの作品はより印象深い仕上がりになっていると思う。aikoの『秘密』ではなく、アーティストより先に名前がくるくらい、つまり「aiko?あ〜あの『秘密』のaikoね!」と言われるくらい聴く人に愛されて欲しい、という願いを込めて、この原稿のタイトルは“『秘密』、のaikoちゃん”にした。決して昔のアニメ「ひみつのアッコちゃん」(赤塚不二夫)にひっかけているわけではないので……。

aiko『聴く者を魅了する秘密に満ちたアルバム』(08年04月02日)

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