| タイアップ、お笑い芸人、アキバ系…etc 新人ブレイクにみるヒット・トレンド 音楽業界活性化のために欠かせない、新人アーティストの活躍。昨年から今年にかけても多くの個性豊かな新人がデビューし、ドラマ主題歌やCMソングタイアップ起用をきっかけにブレイクしていった。音楽アーティストだけでなく、お笑い芸人や、TVドラマや映画で人気を得た女優のデビューも目立つ。いくつかのジャンルに分けて、最近の新人ヒットの傾向を見てみよう。 楽曲との相性がポイント、ドラマ、映画、CMタイアップ 昨年から今年にかけてブレイク、あるいは注目を集めた新人アーティストに焦点を合わせてみると、まず目につくのは、ドラマやCMとのタイアップがポイントになった例であろう。 前段階として、既にデビュー前の時点で彼女が挿入歌を担当することが告知されており、1月発売の2ndシングル「心の戦士」初回特典のDVDに「Kiss Me〜」が流れるFFの予告プロモーション映像を収録。さらにカップリングには『FF VIII』のテーマソングだった「Eyes On Me」のカバーを収録するなど、FFとの強いつながりをアピールし期待感を高めていたことも下地になっている。また、音楽番組で見せる、その感情の高まりに合わせ、時には立ち上がってピアノを弾きながら身体全体で想いを伝えようとするステージパフォーマンスや、親しみやすいキャラクターも彼女の評価を高めた。 その後、6月に発売されたアンジェラ・アキのアルバム『Home』は初登場2位を記録。 デビュー前から関係者の間で高い評価を受けていた絢香は、2月発売のデビュー曲「I believe」が、TBS系ドラマ『輪舞曲』の主題歌という強力タイアップを起爆剤にブレイク。韓国の人気女優チェ・ジウ主演ということで否が応でも注目を集めるドラマの主題歌に、新人が(しかも弱冠18歳・現役高校生の)抜擢されたことで話題を呼び、初登場3位を記録。何より、期待を裏切らないその高い歌唱力で、同世代を中心に若い層の人気を得た。「I believe」は着うたの配信開始から42日で100万DL達成という最短記録を達成している。 他にもドラマタイアップからブレイクした新人として、フジテレビ系ドラマ『西遊記』の主題歌「Around The World」をヒットさせたMONKEY MAJIK。そのバンド名は、メンバーが78年放映開始の堺正章主演によるドラマ『西遊記』のファンで、同番組の主題歌から取られたもの。 また映画でも、6月公開の『タイヨウのうた』で主役の雨音薫を演じたYUIが、“YUI for 雨音薫”名義で主題歌「Good-bye days」を歌い、自己最高となる初登場3位を記録。もともと豊かな魅力を備えていたアーティストが、その音楽性と相性のよい作品の主題歌に起用されたことで、ユーザーの中でストーリーや登場人物と楽曲が強力に結び付けられ、ヒットにつながっている。 ちなみに、『タイヨウのうた』は7月からTBS系でTV版が放映されているが、ヒロイン・雨音薫を演じる女優の沢尻エリカが、“Kaoru Amane”名義で主題歌「タイヨウのうた」をリリースしており、こちらも好調だ。 |
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| TVCMソング起用をきっかけに注目を集めたのは、いきものがかりの「SAKURA」。「DENPO115 東日本エリア」CMソングとなったこの曲は初登場こそ40位だったが、同CMがワールド・ベース・ボールクラシック(WBC)で日本代表チームが勝ち進んだ準決勝(3月18日)および決勝戦(3月20日)の中継で頻繁に流れたこともあって、3月末から4月にかけてチャートを浮上、17位にまで上昇した。 山田タマルは、資生堂の新ブランド「マキアージュ」のCMに、デビュー曲「My Brand New Eden」が流れた。CMに使用されたのは主にこの楽曲のイントロ部分のみであったにもかかわらず、春の季節にピッタリの印象的なサウンドによって発売前から話題を集め、初登場15位という好初動につながった。 期間限定ユニットではあったが、仲間由紀恵withダウンローズの「恋のダウンロード」は、KDDIの「au家族割」CMソングとして配信限定でリリース。その後3月にCDも発売され、最高8位を記録している。 新人ブレイクの着実な手法、アニメタイアップ さて、タイアップの対象として忘れてはならないのがアニメ作品だ。昨年は『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』関連作品に新人アーティストが投入されてチャートを席巻したが、今年もアニメ主題歌に新人が起用され、ブレイクのきっかけとなったケースが目立つ。 SunSet Swishは「マイペース」がTX系アニメ『BLEACH』、樹海は「あなたがいた森」がTVアニメ『Fate/stay night』、手嶌葵は「テルーの唄」が映画『ゲド戦記』と、それぞれ主題歌や挿入歌に起用されて好セールスを収めている。これらの楽曲はクオリティも非常に高く、ラジオや有線放送で耳にした際に、アニメ作品の主題歌であることを意識せずに興味を持つユーザーも多かったことだろう。 人気ライトノベルをアニメ化、従来のアニメでは考えられないほど作り込まれた映像と、視聴者の興味を刺激する凝った演出で大ブームを巻き起こした『涼宮ハルヒの憂鬱』では、弱冠18歳ながら卓越した演技力・歌唱力でヒロインを演じた平野綾が一気にブレイク。OPテーマ「冒険でしょでしょ?」は10位、茅原実里・後藤邑子と共に歌ったEDテーマ「ハレ晴レユカイ」は5位、さらに劇中歌集シングル「涼宮ハルヒの詰合」も5位を記録。音楽も劇中における重要な構成要素であったことから、こういった関連アイテムが好セールスを記録した。 アニメタイアップは、新人をブレイクへ導く手堅いプロモーション手法の一つである。しかし数多くのアニメ作品が放映され、新人の楽曲が主題歌に起用されている中、コンスタントに中ヒットにはなっているものの、その後さらなる大ヒット、継続的なヒットを出せているアーティストの例はまだまだ少ない。タイアップで上昇した知名度を足がかりに、次作をいかに展開していくかが問われるだろう。 | |||
「Kiss Me Good-Bye」売上枚数(緑 棒グラフ)、順位(赤 折れ線)
2006/09/27