松本若菜と佐野勇斗が出演、TBS系火曜ドラマ『君の好きは無敵』が話題を集めている。“お仕事ラブコメディ”として、キャラクタービジネスを舞台に描く本作。そのリアリティを支えているのが、サンリオによる異例の取材協力だ。「かわいい」が生まれるまでのシビアなアレコレにも迫る内容に、協力した理由とは? クリエイティブとビジネスの間にはドラマ同様の葛藤はある? 岩崎愛奈プロデューサーとサンリオのブランド管理本部・柳宏明さんが、それぞれの思いを語る。
■単なるグッズ“貸し出し”ではなく…なぜサンリオが“異例”の協力?
完全オリジナルストーリーで展開している、TBS系火曜ドラマ『君の好きは無敵』(毎週火曜 後10:00)。元コンサルタントの草壁杏奈(松本若菜)と、偏屈で個性的なキャラクターデザイナー・瀬尾深月(佐野勇斗)が、大ヒットキャラクターの誕生を目指して奮闘する姿を描く。明るく前向きな内容には、SNSなどでも「元気をもらえる!」「火曜日が楽しみ」といった反響が寄せられている。
特筆すべきは、やはり株式会社サンリオが“取材協力”をしていること。これまでの映像作品でも、サンリオキャラクターやグッズが登場することはあったが、今回は単なる“貸し出し”ではない。キャラクターをゼロから生み出す過程、ビジネスの舞台裏にまで深く入り込むべく、サンリオのキャラクター開発・育成部門へのインタビューを実施して制作されたのだという。
■“ブームだから”でなく“原点”を描く、サンリオを動かしたPの「暑苦しい」熱量
――明るい内容が多い火曜ドラマ枠で、キャラクタービジネスの世界を取り上げようと思ったのはなぜなのでしょうか?
【岩崎P】1つのキャラクターが生まれる過程に、どんな人たちがどんな思いで関わっているのかを描いてみたかったんです。ここ最近、年齢や性別を問わず、バッグにキャラクターをつけた人が増えていますよね。それだけで街が明るく楽しく見えて、「キャラクターとはなんなのか?」「このポジティブなパワーはどうやって生まれているんだろう?」と興味を持ち始めました。
――サンリオさんが取材協力をすることになった経緯とは?
【岩崎P】やはり、世界中で愛されるキャラクターを生み出すというのはものすごいことで、それを長年実現してきたサンリオさんから、どうしてもお話を聞きたいと思いました。ドラマはフィクションの世界ですが、どうやってキャラクターを産み育てているのか、そのリアルをサンリオさんから学び、ドラマの中で描く登場人物たちがキャラクターを作り出す過程や難しさに説得力とリアリティを持たせたい。企画段階からそう考えていて、粘り強くアプローチさせていただきました。
【サンリオ】「キャラクタービジネスを描きたい」と思ってくださって、かつサンリオをご指名してくださるならば、ぜひともお応えしたいと。本当にありがたいお話だと思いました。でも、具体的に調整を進める上で決め手となったのは、岩崎さんが「なぜキャラクターがこんなに人を魅了したり、元気づけたりするのか」という原点的なパワーを描きたいとおっしゃっていた点です。ブームだから取り上げるのではなく、もっと本質的な部分を描きたいという熱量に心を動かされました。
【岩崎P】そう言っていただけて嬉しいです。私自身「ちょっと暑苦しすぎるかな」「無茶を言っているな」と反省することも多いのですが、それを受け止めてくださったことに本当にありがたくて。
【サンリオ】いえいえ。「最後は熱量が人を動かすんだな」と感じる場面が多々ありました。サンリオ側が少し慎重になってしまう瞬間にも、壁を突破してくる岩崎さんの情熱に突き動かされる人が増えていくのを目の当たりにしましたから。
【岩崎P】ありがとうございます。今回の取材を通して、作ったものを世に届ける中で忘れてはいけない大切なことをたくさん教えていただきました。ドラマを作る人間として背筋を正す機会をいただき、改めて無茶なお願いを聞いてくださったことに感謝しています。
――ドラマではただ「かわいい」ことだけでなく、著作権を取り扱ったり、ライバルとの競争があったり、「キャラクタービジネスは“いばらの道”」という発言もあったりします。なかなかシビアな面も見せていますが、サンリオ社内で「ここまで描いていいのか」と議論になったことは?
【サンリオ】そこは包み隠さず自然体でお答えしました。ただ、登場人物に近いお仕事をされている方が傷つくような表現は避けたいという議論はありました。あらかじめ「キャラクターが持つパワー」を描くというテーマを共有していただいていたので、そこまで頭を悩ませることはなかったというのが正直なところです。
【岩崎P】今回描きたかったのは、キャラクターに込められた「みんなを元気に幸せにしたい」という思いや、どれだけ大切に作られているかという点。だからこそ困難が立ちはだかることもある、という事実にはちゃんと向き合いたかったんです。とはいえ、あまりにも深く掘り下げて視聴者が重い気持ちになってしまうのは違うので、バランスは慎重に考えました。
――取材を通して、岩崎さんが得た気づきはありましたか?
【岩崎P】キャラクターに限らず、世の中にあるすべてのものは、きっとどこかで誰かがすごく頑張って、誰かの暮らしを良くしたり、誰かが喜んだり幸せになれるようにという想いを込めて作られているのだと感じるようになりました。そう思えば、世界がなんだか素敵に見えるようになりました。そんな大切なことをサンリオさんから教えてもらいました。
■夢や憧れだけではない仕事、意外に「クリエイター=直感的」ではない
――ドラマの中では、クリエイティブとビジネスの視点の違いも描かれます。現実でも「確実な売上を求めるマーケティングデータ」と「数値化できないクリエイターの直感や熱量」がぶつかることも?
【サンリオ】最後は直感と熱量がものを言うと思っていますが、そこに至るまでにデータや数値、仮説などを検討することが必要です。意外とクリエイター=直感的というわけではなく、直感や熱量が大事になるからこそ、検討の過程でデータや数値に真摯に向き合っている方が多いと感じますね。
【岩崎P】ドラマ制作でも重なる部分はあり、自分が信じるものに従うために理屈や段取りを整える場面は多いです。夢や憧れを語るだけではたどり着けないのが仕事の世界。登場人物たちにも同じように考えてもらおうと思いを込めました。
――序盤の瀬尾は「自分がいいと思うものを作れれば売れる」と信じている一方で、現実はそう甘くなく…。4話では、草壁に影響されて瀬尾が冷静になる一幕もありましたね。
【岩崎P】ビジネスとしてキャラクターを世界に届け、守っていく視点が必要だと。お互いを理解し合うのは簡単ではありませんが、目的は同じ。そこが通じ合った時にすごいパワーを発揮する、ということを伝えたかった部分です。
――サンリオさんの視点で、リアルだと感じた点はありますか?
【サンリオ】ドラマの取材に同席した際、キャラクターのデザインや育成に関わる担当者の話から、デザイナー同士がそれぞれの個性や発想を大切にしながら制作していることを知りました。組織でありながら、一人ひとりのクリエイティビティや感性が色濃く反映されている。そんな実態がドラマにも生かされていると思いました。それから、キャラクターは子ども向けというイメージが根強くある一方で、最近少しずつ社会が変化している…というのもリアルでした。
【岩崎P】そうなんです。6話で、2人が作り上げたキャラクター・チュチュチュエラのターゲットを「会社のおじさん」にしたのも、実は制作現場で行った“実験”が元になっていて…。
【サンリオ】そうなんですか?
【岩崎P】はい(笑)。ドラマの企画が決まった時、監督陣は男性が揃っていたこともあり「俺おじさんだし、『かわいい』がよくわからないけど大丈夫かな」とこぼしていたことがあって。そこで実験的に、「みんな、仕事中にぬいぐるみをそばに置いてみよう」と考えました。結果、社内が少しざわついたんですが(笑)、「監督、めちゃかわいいです!」と会話が生まれて。本人もふわふわしたかわいいぬいぐるみが近くにいてくれるとつい手を伸ばしたくなるし、撫でると心が落ち着くという発見もありました。だんだんと愛着が湧いて、ぬいぐるみを打ち合わせに同席させる監督もいました(笑)。かわいいものと触れ合う監督陣の様子を見ると、こちらも和むんですよね。素敵な循環を感じました。実際にキャラクターが持つ特別な力を実感した出来事でもあったので、それをドラマにも反映しました。
【サンリオ】そうだったんですね! あれを見て、今以上に「かわいい」の輪が広がっていけばいいなと思っていたのですが、実際に現場でそんなことが起きていたなんて嬉しいです。
――キャラクターとドラマ、どちらも長く愛されるものを作ることが目標かと思います。そのために不可欠な要素とは何だと考えていますか?
【サンリオ】キャラクターが持つ個性や原点、固有の良さを守ることが大切です。15年、20年以上続いているキャラクターにとって、世間の注目を多く集める時もあれば、そうではない時期もあります。例えばシナモロールやポムポムプリンも例外ではありません。そういう時こそ原点に立ち返る。そして、支え続けてくださる根強いファンの方々の存在が大きな力になります。同時に、時代に対して柔軟であることも欠かせません。守るべきものを守りながらも、時代の変化やお客様の価値観の変化に合わせて進化していかなければ、長く愛されるチャンスを逸してしまうので、この2つのバランスが非常に大事だと思っています。
【岩崎P】今まさに模索している最中ですが、作った人の愛情や思いが込められたものは受け手にも伝播していくのではないかと思っています。だからこそ、情熱を持って大切に作ることは不可欠です。そして目まぐるしく変わっていく時代の中で、価値観や考え方を決して押し付けがましく描かないこと、そしてその先にいるドラマを観てくださる人のことを想うことは、いつも自分に課していることです。
――ドラマは、回を追うごとに出演陣にも愛着が増していきます。岩崎さんから見た、草壁杏奈と瀬尾深月の魅力を教えてください。
【岩崎P】松本若菜さんとは以前『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)でご一緒し、お人柄もお芝居も大好きで「またご一緒したい」と願っていました。ありがたいことに、オファーを引き受けていただき、若菜さんからも役作りのアイデアをたくさんいただきました。そして、一緒に組み立てていったのが草壁杏奈です。おもしろくてかわいくて前向きで、でもちょっと変で時に「そこまで?」というくらいにどん底まで落ち込む…そんな人間味のある愛おしい主人公を、抜群のお芝居の力と、ご自身のチャーミングな魅力で素敵に作り上げてくれました。
――瀬尾はいかがですか?
【岩崎P】だいぶ変な人ですよね(笑)。それも含めて憎めなくて愛おしくなる男性にしたいと、佐野さんにお話ししました。それを巧みにキャッチしてアレンジしてくださり、想像以上に物語を振り回して、この世界に引き込む男性になりました。瀬尾の軸をぶらさずに、吸収したものを栄養にして自分を広げていく形を、佐野さんが見事に表現してくださっています。
――最終回を楽しみにしている視聴者へメッセージをお願いします。
【岩崎P】「好き」と「かわいい」の力を原動力に、みんなが邁進していく物語であることを最後まで貫きたいと思っています。「好き」という気持ちは、ものすごく強いパワーを発揮します。もちろん足踏みしてしまうのも人間ですが、「好き」を糧にどう困難を突破していくのか。そしてタイトルに込めた想いを受け取って頂けたらとても嬉しいです。最後まで抜かりなく、パワフルにかわいく作り上げますので、ぜひ最終回までお付き合いいただきたいです!
(文:於ありさ)
【写真】まさかの“実話”? おじさんたちを魅了したチュチュチュエラ
■単なるグッズ“貸し出し”ではなく…なぜサンリオが“異例”の協力?
完全オリジナルストーリーで展開している、TBS系火曜ドラマ『君の好きは無敵』(毎週火曜 後10:00)。元コンサルタントの草壁杏奈(松本若菜)と、偏屈で個性的なキャラクターデザイナー・瀬尾深月(佐野勇斗)が、大ヒットキャラクターの誕生を目指して奮闘する姿を描く。明るく前向きな内容には、SNSなどでも「元気をもらえる!」「火曜日が楽しみ」といった反響が寄せられている。
特筆すべきは、やはり株式会社サンリオが“取材協力”をしていること。これまでの映像作品でも、サンリオキャラクターやグッズが登場することはあったが、今回は単なる“貸し出し”ではない。キャラクターをゼロから生み出す過程、ビジネスの舞台裏にまで深く入り込むべく、サンリオのキャラクター開発・育成部門へのインタビューを実施して制作されたのだという。
■“ブームだから”でなく“原点”を描く、サンリオを動かしたPの「暑苦しい」熱量
――明るい内容が多い火曜ドラマ枠で、キャラクタービジネスの世界を取り上げようと思ったのはなぜなのでしょうか?
【岩崎P】1つのキャラクターが生まれる過程に、どんな人たちがどんな思いで関わっているのかを描いてみたかったんです。ここ最近、年齢や性別を問わず、バッグにキャラクターをつけた人が増えていますよね。それだけで街が明るく楽しく見えて、「キャラクターとはなんなのか?」「このポジティブなパワーはどうやって生まれているんだろう?」と興味を持ち始めました。
――サンリオさんが取材協力をすることになった経緯とは?
【岩崎P】やはり、世界中で愛されるキャラクターを生み出すというのはものすごいことで、それを長年実現してきたサンリオさんから、どうしてもお話を聞きたいと思いました。ドラマはフィクションの世界ですが、どうやってキャラクターを産み育てているのか、そのリアルをサンリオさんから学び、ドラマの中で描く登場人物たちがキャラクターを作り出す過程や難しさに説得力とリアリティを持たせたい。企画段階からそう考えていて、粘り強くアプローチさせていただきました。
【サンリオ】「キャラクタービジネスを描きたい」と思ってくださって、かつサンリオをご指名してくださるならば、ぜひともお応えしたいと。本当にありがたいお話だと思いました。でも、具体的に調整を進める上で決め手となったのは、岩崎さんが「なぜキャラクターがこんなに人を魅了したり、元気づけたりするのか」という原点的なパワーを描きたいとおっしゃっていた点です。ブームだから取り上げるのではなく、もっと本質的な部分を描きたいという熱量に心を動かされました。
【岩崎P】そう言っていただけて嬉しいです。私自身「ちょっと暑苦しすぎるかな」「無茶を言っているな」と反省することも多いのですが、それを受け止めてくださったことに本当にありがたくて。
【サンリオ】いえいえ。「最後は熱量が人を動かすんだな」と感じる場面が多々ありました。サンリオ側が少し慎重になってしまう瞬間にも、壁を突破してくる岩崎さんの情熱に突き動かされる人が増えていくのを目の当たりにしましたから。
【岩崎P】ありがとうございます。今回の取材を通して、作ったものを世に届ける中で忘れてはいけない大切なことをたくさん教えていただきました。ドラマを作る人間として背筋を正す機会をいただき、改めて無茶なお願いを聞いてくださったことに感謝しています。
【サンリオ】そこは包み隠さず自然体でお答えしました。ただ、登場人物に近いお仕事をされている方が傷つくような表現は避けたいという議論はありました。あらかじめ「キャラクターが持つパワー」を描くというテーマを共有していただいていたので、そこまで頭を悩ませることはなかったというのが正直なところです。
【岩崎P】今回描きたかったのは、キャラクターに込められた「みんなを元気に幸せにしたい」という思いや、どれだけ大切に作られているかという点。だからこそ困難が立ちはだかることもある、という事実にはちゃんと向き合いたかったんです。とはいえ、あまりにも深く掘り下げて視聴者が重い気持ちになってしまうのは違うので、バランスは慎重に考えました。
――取材を通して、岩崎さんが得た気づきはありましたか?
【岩崎P】キャラクターに限らず、世の中にあるすべてのものは、きっとどこかで誰かがすごく頑張って、誰かの暮らしを良くしたり、誰かが喜んだり幸せになれるようにという想いを込めて作られているのだと感じるようになりました。そう思えば、世界がなんだか素敵に見えるようになりました。そんな大切なことをサンリオさんから教えてもらいました。
■夢や憧れだけではない仕事、意外に「クリエイター=直感的」ではない
――ドラマの中では、クリエイティブとビジネスの視点の違いも描かれます。現実でも「確実な売上を求めるマーケティングデータ」と「数値化できないクリエイターの直感や熱量」がぶつかることも?
【サンリオ】最後は直感と熱量がものを言うと思っていますが、そこに至るまでにデータや数値、仮説などを検討することが必要です。意外とクリエイター=直感的というわけではなく、直感や熱量が大事になるからこそ、検討の過程でデータや数値に真摯に向き合っている方が多いと感じますね。
【岩崎P】ドラマ制作でも重なる部分はあり、自分が信じるものに従うために理屈や段取りを整える場面は多いです。夢や憧れを語るだけではたどり着けないのが仕事の世界。登場人物たちにも同じように考えてもらおうと思いを込めました。
――序盤の瀬尾は「自分がいいと思うものを作れれば売れる」と信じている一方で、現実はそう甘くなく…。4話では、草壁に影響されて瀬尾が冷静になる一幕もありましたね。
【岩崎P】ビジネスとしてキャラクターを世界に届け、守っていく視点が必要だと。お互いを理解し合うのは簡単ではありませんが、目的は同じ。そこが通じ合った時にすごいパワーを発揮する、ということを伝えたかった部分です。
――サンリオさんの視点で、リアルだと感じた点はありますか?
【サンリオ】ドラマの取材に同席した際、キャラクターのデザインや育成に関わる担当者の話から、デザイナー同士がそれぞれの個性や発想を大切にしながら制作していることを知りました。組織でありながら、一人ひとりのクリエイティビティや感性が色濃く反映されている。そんな実態がドラマにも生かされていると思いました。それから、キャラクターは子ども向けというイメージが根強くある一方で、最近少しずつ社会が変化している…というのもリアルでした。
【岩崎P】そうなんです。6話で、2人が作り上げたキャラクター・チュチュチュエラのターゲットを「会社のおじさん」にしたのも、実は制作現場で行った“実験”が元になっていて…。
【サンリオ】そうなんですか?
【岩崎P】はい(笑)。ドラマの企画が決まった時、監督陣は男性が揃っていたこともあり「俺おじさんだし、『かわいい』がよくわからないけど大丈夫かな」とこぼしていたことがあって。そこで実験的に、「みんな、仕事中にぬいぐるみをそばに置いてみよう」と考えました。結果、社内が少しざわついたんですが(笑)、「監督、めちゃかわいいです!」と会話が生まれて。本人もふわふわしたかわいいぬいぐるみが近くにいてくれるとつい手を伸ばしたくなるし、撫でると心が落ち着くという発見もありました。だんだんと愛着が湧いて、ぬいぐるみを打ち合わせに同席させる監督もいました(笑)。かわいいものと触れ合う監督陣の様子を見ると、こちらも和むんですよね。素敵な循環を感じました。実際にキャラクターが持つ特別な力を実感した出来事でもあったので、それをドラマにも反映しました。
【サンリオ】そうだったんですね! あれを見て、今以上に「かわいい」の輪が広がっていけばいいなと思っていたのですが、実際に現場でそんなことが起きていたなんて嬉しいです。
――キャラクターとドラマ、どちらも長く愛されるものを作ることが目標かと思います。そのために不可欠な要素とは何だと考えていますか?
【サンリオ】キャラクターが持つ個性や原点、固有の良さを守ることが大切です。15年、20年以上続いているキャラクターにとって、世間の注目を多く集める時もあれば、そうではない時期もあります。例えばシナモロールやポムポムプリンも例外ではありません。そういう時こそ原点に立ち返る。そして、支え続けてくださる根強いファンの方々の存在が大きな力になります。同時に、時代に対して柔軟であることも欠かせません。守るべきものを守りながらも、時代の変化やお客様の価値観の変化に合わせて進化していかなければ、長く愛されるチャンスを逸してしまうので、この2つのバランスが非常に大事だと思っています。
【岩崎P】今まさに模索している最中ですが、作った人の愛情や思いが込められたものは受け手にも伝播していくのではないかと思っています。だからこそ、情熱を持って大切に作ることは不可欠です。そして目まぐるしく変わっていく時代の中で、価値観や考え方を決して押し付けがましく描かないこと、そしてその先にいるドラマを観てくださる人のことを想うことは、いつも自分に課していることです。
――ドラマは、回を追うごとに出演陣にも愛着が増していきます。岩崎さんから見た、草壁杏奈と瀬尾深月の魅力を教えてください。
【岩崎P】松本若菜さんとは以前『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)でご一緒し、お人柄もお芝居も大好きで「またご一緒したい」と願っていました。ありがたいことに、オファーを引き受けていただき、若菜さんからも役作りのアイデアをたくさんいただきました。そして、一緒に組み立てていったのが草壁杏奈です。おもしろくてかわいくて前向きで、でもちょっと変で時に「そこまで?」というくらいにどん底まで落ち込む…そんな人間味のある愛おしい主人公を、抜群のお芝居の力と、ご自身のチャーミングな魅力で素敵に作り上げてくれました。
――瀬尾はいかがですか?
【岩崎P】だいぶ変な人ですよね(笑)。それも含めて憎めなくて愛おしくなる男性にしたいと、佐野さんにお話ししました。それを巧みにキャッチしてアレンジしてくださり、想像以上に物語を振り回して、この世界に引き込む男性になりました。瀬尾の軸をぶらさずに、吸収したものを栄養にして自分を広げていく形を、佐野さんが見事に表現してくださっています。
――最終回を楽しみにしている視聴者へメッセージをお願いします。
【岩崎P】「好き」と「かわいい」の力を原動力に、みんなが邁進していく物語であることを最後まで貫きたいと思っています。「好き」という気持ちは、ものすごく強いパワーを発揮します。もちろん足踏みしてしまうのも人間ですが、「好き」を糧にどう困難を突破していくのか。そしてタイトルに込めた想いを受け取って頂けたらとても嬉しいです。最後まで抜かりなく、パワフルにかわいく作り上げますので、ぜひ最終回までお付き合いいただきたいです!
(文:於ありさ)
2026/09/15