細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』(公開中)で、現代から《死者の国》へ迷い込む看護師・聖(ひじり)を演じた岡田将生。声優初挑戦となった本作を通して、「未来を生きる子どもたちのために大人が何を考え、どう動くべきか」というテーマに強く共感したと語る。声だけで感情を伝える難しさ、そして細田監督との対話から得た深い気づきとは──。
■「聖そのものより、スカーレットを思う“目線”を大切に」
本作のプレスコ収録は2年前。さらにその1年後にアフレコを行い、ようやく公開を迎えられたという。
「最初に声を録ってから2年経っていますが、この作品への想いは自分の中で薄れることがなかったんです。常にどこかに聖がいる、共存している感覚があって、1年後の再収録時も聖というキャラクターが自分の中に残っていましたし、今も残っています」
長編声優の仕事は今回が初めて。声だけでキャラクターの感情を伝える難しさには何度も直面した。
「一度全部録り終えた後、自分の声を聞いて“伝えたい気持ちが伝わっていない”と感じる瞬間がありました。どうすればもっとスカーレットに響く声になるのか、何度も悩みながら試行錯誤していました。初めての挑戦だったので、無我夢中でしたし、監督から“OK”をもらえるたびに、ようやく少し安心できるような感覚でした。それでも初めてのことに挑戦するのは純粋に楽しかったです」
細田監督から伝えられたのは、“理想主義者としての聖”という方向性。
「理想を語ることは素晴らしいんですけど、間違うと鼻につくキャラクターにもなり得る。そう聞こえないよう、聖の芯にある誠実さを声に込めることを意識しました」
さらに収録中は、聖という人物単体よりも「スカーレットの気持ち」を監督とよく話し合っていたという。
「最初の出会いは看護師としての聖ですが、旅を通してスカーレットを見る目が変わっていく。彼女の心が揺れ動く瞬間、その気持ちをどう受け止め、どう寄り添うかについて監督と話しました」
岡田は、ドラマで看護師役を演じた自身の経験が思わぬ形で役立ったと語る。
「以前ドラマで看護師役を演じたのですが、その時に培った“相手の状態を察し、寄り添おうとする姿勢”が、今回の聖を演じる上で自分の中に自然と残っていた気がします。声だけで寄り添いを表現するのは難しかったけれど、その経験が役づくりの軸になってくれました」
また、舞台で『ハムレット』を演じた経験も重なる部分があった。
「ハムレットを演じた時は周りの共演者の方々の支えが本当に救いになっていました。目の前が真っ暗になるほど重い復讐心を抱える役のメンタルはすごくハードだったんです。そうした“心の重さ”についての話を、細田監督と何度も重ねました。スカーレットの“前が見えないほどの苦しみ”、その気持ちに寄り添う聖の視点を自然に持つことができた気がします」
最も印象に残っているは、スカーレットと聖が焚き火の前で話すシーンだという。
「彼女の心が少しずつ変わっていく、二人が交わり始める瞬間。聖の誠実さや、スカーレットの弱さが見えて、とても好きな場面です」
劇中では、短い歌唱(歌を口ずさむ)にも挑戦している。
「歌は基本的にNGなのですが(笑)、やってみたら新鮮で楽しかったです」
■ベネチアでも作業を続ける細田監督に「一緒に仕事できて幸せだと思った」
本作は、世界三大映画祭の一つ、イタリアで開催された「第82回ベネチア国際映画祭」でワールドプレミアを飾った。上映では10分を超えるスタンディングオベーションが巻き起こり、大反響を呼んだ。スカーレット役の芦田愛菜、細田監督とともに現地に赴いた岡田は、監督が空き時間に作業を続けていたことを目撃していた。
「監督がベネチアでもずっと作業していたのをそばで見ていて、監督が高みを目指して作られている姿にものすごく感銘を受けましたし、一緒にお仕事できて本当に幸せでした。完成したと聞いた時は自分のことのようにうれしかったです。“やっとだ”という気持ちになりました」
本作は、シェイクスピアの『ハムレット』という古典を物語のベースにしている。主人公は16世紀のデンマークの王女という設定だ。
「最初にシェイクスピアの『ハムレット』を題材にすると聞いた時、本当に驚きました。細田監督が新たな挑戦をされるのだと思いましたし、今までの作品とは毛色が違う部分があると感じました」
一方、中世を生きるスカーレットが現代の日本の医師・聖と出会う構造は『時をかける少女』と通じるところがある。
「根底にあるものは変わらない。どの作品にも、人への優しさ、つながり、愛が必ずある。今回もそこは変わってなくて、その上でプレスコや新しい世界観など、挑戦を楽しむ監督が本当にすごいと思いました」
■作品から受け取った“未来への問いかけ”
そんな本作を通して岡田が受け取ったテーマは「未来」だと語る。
「これから生まれてくる子どもたちが、どんな世界で生きていくのか。大人の僕たちがどう動くかで未来は変わる。他人事ではなく、自分も考えなければいけない──そんな思いを託された気がしました」
その気づきは、岡田自身の中にも深く刻まれたという。
「ほぼ初めての声優で、これだけ大きなプロジェクトに参加できた。その事実だけで忘れられない作品ですし、未来でも“『果てしなきスカーレット』という映画にかかわった”と胸を張って言える作品になると思います」
最後に、これから映画を観る観客へのメッセージを語った。
「今起きている世界のこと、これからの未来のこと。考えなければいけないテーマが込められています。未来が明るくなるための“希望”を感じられる映画だと思うので、ぜひ映画館で観ていただけたらうれしいです」
■『果てしなきスカーレット』あらすじ
父の敵への復讐に失敗した王女・スカーレットは、《死者の国》で目を覚ます。ここは、人々が略奪と暴力に明け暮れ、力のない者や傷ついた者は〈虚無〉となり、その存在が消えてしまうという狂気の世界。敵である、父を殺して王位を奪った叔父・クローディアスもまたこの世界にいることを知り、スカーレットは改めて復讐を強く胸に誓う。そんな中、彼女は現代の日本からやってきた看護師・聖と出会う。時を超えて出会った二人は、最初は衝突しながらも、《死者の国》を共に旅することになる。
【動画】芦田愛菜が歌うエンディングテーマ「果てしなき」特別PV
■「聖そのものより、スカーレットを思う“目線”を大切に」
本作のプレスコ収録は2年前。さらにその1年後にアフレコを行い、ようやく公開を迎えられたという。
「最初に声を録ってから2年経っていますが、この作品への想いは自分の中で薄れることがなかったんです。常にどこかに聖がいる、共存している感覚があって、1年後の再収録時も聖というキャラクターが自分の中に残っていましたし、今も残っています」
長編声優の仕事は今回が初めて。声だけでキャラクターの感情を伝える難しさには何度も直面した。
「一度全部録り終えた後、自分の声を聞いて“伝えたい気持ちが伝わっていない”と感じる瞬間がありました。どうすればもっとスカーレットに響く声になるのか、何度も悩みながら試行錯誤していました。初めての挑戦だったので、無我夢中でしたし、監督から“OK”をもらえるたびに、ようやく少し安心できるような感覚でした。それでも初めてのことに挑戦するのは純粋に楽しかったです」
細田監督から伝えられたのは、“理想主義者としての聖”という方向性。
「理想を語ることは素晴らしいんですけど、間違うと鼻につくキャラクターにもなり得る。そう聞こえないよう、聖の芯にある誠実さを声に込めることを意識しました」
さらに収録中は、聖という人物単体よりも「スカーレットの気持ち」を監督とよく話し合っていたという。
「最初の出会いは看護師としての聖ですが、旅を通してスカーレットを見る目が変わっていく。彼女の心が揺れ動く瞬間、その気持ちをどう受け止め、どう寄り添うかについて監督と話しました」
岡田は、ドラマで看護師役を演じた自身の経験が思わぬ形で役立ったと語る。
「以前ドラマで看護師役を演じたのですが、その時に培った“相手の状態を察し、寄り添おうとする姿勢”が、今回の聖を演じる上で自分の中に自然と残っていた気がします。声だけで寄り添いを表現するのは難しかったけれど、その経験が役づくりの軸になってくれました」
また、舞台で『ハムレット』を演じた経験も重なる部分があった。
「ハムレットを演じた時は周りの共演者の方々の支えが本当に救いになっていました。目の前が真っ暗になるほど重い復讐心を抱える役のメンタルはすごくハードだったんです。そうした“心の重さ”についての話を、細田監督と何度も重ねました。スカーレットの“前が見えないほどの苦しみ”、その気持ちに寄り添う聖の視点を自然に持つことができた気がします」
最も印象に残っているは、スカーレットと聖が焚き火の前で話すシーンだという。
「彼女の心が少しずつ変わっていく、二人が交わり始める瞬間。聖の誠実さや、スカーレットの弱さが見えて、とても好きな場面です」
劇中では、短い歌唱(歌を口ずさむ)にも挑戦している。
「歌は基本的にNGなのですが(笑)、やってみたら新鮮で楽しかったです」
本作は、世界三大映画祭の一つ、イタリアで開催された「第82回ベネチア国際映画祭」でワールドプレミアを飾った。上映では10分を超えるスタンディングオベーションが巻き起こり、大反響を呼んだ。スカーレット役の芦田愛菜、細田監督とともに現地に赴いた岡田は、監督が空き時間に作業を続けていたことを目撃していた。
「監督がベネチアでもずっと作業していたのをそばで見ていて、監督が高みを目指して作られている姿にものすごく感銘を受けましたし、一緒にお仕事できて本当に幸せでした。完成したと聞いた時は自分のことのようにうれしかったです。“やっとだ”という気持ちになりました」
本作は、シェイクスピアの『ハムレット』という古典を物語のベースにしている。主人公は16世紀のデンマークの王女という設定だ。
「最初にシェイクスピアの『ハムレット』を題材にすると聞いた時、本当に驚きました。細田監督が新たな挑戦をされるのだと思いましたし、今までの作品とは毛色が違う部分があると感じました」
一方、中世を生きるスカーレットが現代の日本の医師・聖と出会う構造は『時をかける少女』と通じるところがある。
「根底にあるものは変わらない。どの作品にも、人への優しさ、つながり、愛が必ずある。今回もそこは変わってなくて、その上でプレスコや新しい世界観など、挑戦を楽しむ監督が本当にすごいと思いました」
■作品から受け取った“未来への問いかけ”
そんな本作を通して岡田が受け取ったテーマは「未来」だと語る。
「これから生まれてくる子どもたちが、どんな世界で生きていくのか。大人の僕たちがどう動くかで未来は変わる。他人事ではなく、自分も考えなければいけない──そんな思いを託された気がしました」
その気づきは、岡田自身の中にも深く刻まれたという。
「ほぼ初めての声優で、これだけ大きなプロジェクトに参加できた。その事実だけで忘れられない作品ですし、未来でも“『果てしなきスカーレット』という映画にかかわった”と胸を張って言える作品になると思います」
最後に、これから映画を観る観客へのメッセージを語った。
「今起きている世界のこと、これからの未来のこと。考えなければいけないテーマが込められています。未来が明るくなるための“希望”を感じられる映画だと思うので、ぜひ映画館で観ていただけたらうれしいです」
■『果てしなきスカーレット』あらすじ
父の敵への復讐に失敗した王女・スカーレットは、《死者の国》で目を覚ます。ここは、人々が略奪と暴力に明け暮れ、力のない者や傷ついた者は〈虚無〉となり、その存在が消えてしまうという狂気の世界。敵である、父を殺して王位を奪った叔父・クローディアスもまたこの世界にいることを知り、スカーレットは改めて復讐を強く胸に誓う。そんな中、彼女は現代の日本からやってきた看護師・聖と出会う。時を超えて出会った二人は、最初は衝突しながらも、《死者の国》を共に旅することになる。
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2025/11/29