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不器用な父娘の交流と成長を描く、映画『SCRAPPER/スクラッパー』 社会福祉の脆弱性もテーマに

 母を亡くし、一人で生きる12歳の少女のもとに音信不通だった父親が突如現れたことから始まる、映画『SCRAPPER/スクラッパー』が、7月5日より新宿武蔵野館ほか全国で公開される。タイトルには“閉ざした心を<解体>しながら、<闘う>人”という思いが込められている。

映画『SCRAPPER/スクラッパー』(7月5日公開) (C)Scrapper Films Limited, British Broadcasting Corporation and the The British Film Institute 2022

映画『SCRAPPER/スクラッパー』(7月5日公開) (C)Scrapper Films Limited, British Broadcasting Corporation and the The British Film Institute 2022

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 本作は、カラフルなビジュアルセンスと優しくもエモーショナルな親子のドラマが評判を呼び、「サンダンス映画祭2023」ワールドシネマドラマ部門で審査員大賞を受賞、「英国アカデミー賞」では『関心領域』『哀れなるものたち』『ナポレオン』とともに英国作品賞にノミネートを果たし、米アカデミー賞の前哨戦の一つである「ナショナル・ボード・オブ・レビュー」ではインディペンデント映画トップ10に選出された。

 手がけたのは、マイケル・ファスベンダーの制作会社DMCフィルムズに才能を見出され、本作が長編デビューとなる1994年生まれの新鋭シャーロット・リーガン。10代の頃からミュージックビデオ(MV)の監督を務め、これまでに200本以上を手掛けてきた若き逸材だ。

 『フロリダ・プロジェクト/真夏の魔法』を彷彿とさせるポップな色遣い、社会福祉の脆弱性を見つめたテーマ性、『aftersun/アフターサン』『カモン カモン』にも通じるどこか機能不全な“親子”のぎこちなくて愛おしい交流と成長の物語、何より、本作でスクリーンデビューを果たしたローラ・キャンベル(ジョージー役)のたくましさと可憐さが共存した絶妙な演技が、多くの映画人の心をつかんだ。

 さらに、一人娘ジョージーと親子関係を構築しようとする不器用な父親ジェイソンを、『逆転のトライアングル』『アイアンクロー』などの話題作への出演が続く英国俳優ハリス・ディキンソンが演じ、新境地を開いた。

 母を亡くし、ひとりぼっちになった12歳の少女ジョージー。ロンドン郊外のアパートで独り暮らしをするジョージーは、親友のアリ(アリ・ウズン)と自転車を盗んでは転売して日銭を稼ぎながらたくましく生きていた。その一方で、母が遺したホームビデオを再生して孤独と哀しみを耐え忍ぶ日々。そんなジョージーのもとに突然、行方知れずだった父親、ジェイソンが現れる。「母親を亡くしたお前に会いに来た」と言うジェイソンだが、「12年間一度も会いに来なかったくせに」と複雑な気持ちのジョージー。お互い別々に過ごした年月を埋めるように、ぎこちないながらもともに時間を紡いでいく愛おしいふたりの姿が映し出されている。

 予告編のナレーションは、俳優の小川未祐が担当。「色彩に満ちたスクリーンのなか、大人と子供の狭間にいるようなふたり。その横顔はいつもどこか儚く、強い瞳の奥には優しさと揺らぎが映る。その姿はあまりに美しく、親子そのものでした。きっと彼らは最高のパートナーとして、生きていくのでしょう」とコメントを寄せている。

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