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松本まりか、サイパンロケで人生を変える出会い「本当に幸せだと心から思えた」

 俳優・松本まりか(39)が24日、3月2日、9日放送のテレビ大阪・BSテレ東の真夜中ドラマ『地球の歩き方』(毎週土曜 深夜)に出演する。1979年の創刊以来、160以上の国・地域を網羅し、海外旅行のバイブルとなっている『地球の歩き方』とコラボレーションした今作で、約20年ぶりにサイパンへ。現地で「本当に幸せだと心から思えた」と言えるほどの宝物のような経験をしたという。

ドラマ『地球の歩き方』より(C)ドラマ「地球の歩き方」製作委員会

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 「サイパン『七色の海と精霊特集 サイパン島〜マニャガハ島〜テニアン島』と題した今回、20年以上前写真集の撮影で6回サイパンに訪れていた松本がこの地を再訪する。編集部から、特集ページを作ってほしいと依頼を受け、芸能人ライターが現地スポットをめぐる…という設定のもと、サイパンに降り立つ…。

 実は松本は、10代で何度も訪れた際の苦い経験もあり、その胸中は複雑だったそう。「少し後ろめたいような気持ちのある唯一の国が、サイパン。でも多分今行かなければ一生、私はサイパンに行かずに死ぬだろう。そんな心残りを残したくないなと思いました」と振り返る。

 撮影チームからの強い後押しもあり「自分の意思じゃなくても、みんなが言ってくれるなら、そこになにかあるのかなと、賭けたいと思ってワクワクしたんです。自分のやりたいことだけを通す人生なら自分の枠から外れない。自分は乗り気でなくても、みんなが面白いとか面白そうと言っていることに乗っかるって、ちょっとワクワクする」と決定。視聴者に楽しんでもらうためにも「なにかを見つけなければ」という思いがモチベーションにもなった。

 実際にロケを通して「ここで見つけたこと、感じたこと、体験したことは、この先生きる上で、マストで必要なものでした。これを知るか知らないかでは、これからの生き方、仕事の仕方が全然違う。本当に運命だった。20年以上サイパンに行っておらず、自分の人生も今すごく変わっているこのタイミングでのお仕事がサイパン行き…スタートとして、これ以外ないでしょ、と思うくらいとても大事なものを持って帰ってきた。こんなことが見つかるとは…思ってもみなかった結末だったかな」と大切な経験を得たという。

■特殊な撮影方法で解き放たれた“表現”「演技なら大胆になれる」

 今作はモキュメンタリーというジャンル。ドキュメンタリーとドラマが合わさったような構成で、どこからどこまでが物語なのか、素の松本なのか…その境界はあいまいだ。信頼する竹村武司氏の構成だからこそ、作品に入る上で、脚本はほとんど読まなかったという。撮影場所の中心に立ち、そこで起きることを受け止め、どう動くか…。周囲のスタッフに支えられ、新たな発見もあった。

 「今回の撮影は、先の見えない、先に言葉が用意されているわけじゃない。この感覚を持って芝居をするんだっていうことを改めて感じることができました。お芝居をするってこういう感覚だよな。これがすべて用意されていたとしても、このくらいの驚きで、このくらい感動があって、心揺さぶられて…自分の言葉が出てくるのだよな。演技の基本、根本っていうものをこういった“モキュメンタリー”をやることで、更新されました。改めてこのワクワク感と、何が起きるのかわからない、その後の物語がわからないっていう状態で演技をしたいなと思いました」

 「ドキュメンタリーならあくまで“自分”だから、やっぱり嘘をつけない。過剰な表現ができない。自分の感じたままの表現しかできない。でも今回は、もしかしたらドラマティックになったら面白いのかも…と浮かんで『今のシーン、もう1回ここお芝居を入れてやっていいですか』とお願いしてお芝居を入れてみたんです」と100%“自分”としてではなく、多少の“芝居”を入れることでより、作品に厚みを出すことができたという。

 例えば「精霊の木の前に立つシーンで『精霊を感じますか』と聞かれて、正直感じることができなくて…。でも、ちょっと待って。これはドラマだよな。ここでお芝居を入れたら面白くなるなって。精霊を感じようとした人としての表現を俳優としてやってみたら、自分の表現がぱっと広がった。素の自分ではできないような、もっと自由になる感じ。演技なら大胆になれるし、大胆な表現ができる。だから、自分とは別のフィルターを入れることで、生きた表現ができることにサイパンの旅を通して確信できた。それはすごく面白い発見でした」と満足そうな笑顔をみせた。

■サイパンの人々との交流で感じたこと「本当の意味で幸せを感じることができる」

 また現地で出会った人からも心を動かされた。「私が感じたのはサイパンの方々が、ものすごく幸せそうな顔をしているということ。ものすごく美しい表情をしているんです。目がキラキラしていて、幸福感に満ちて彼らの表情と人に対しての接し方、私たちに対してのリスペクトというか『来てくれてうれしい』という気持ちが、来るものの心を動かす。彼らの顔を見て、なんでこの人たちこんな幸せそうなのだろうって、その意味を知りたい。それが、この旅でサイパンに興味を持ち始めたきっかけです」と言葉に熱がこもる。

 「なぜ彼らはこんなにも幸福なのか。私たちの日本はもう技術進歩もして、物質的には豊かになっているのに、自分自身、心が生きているのか、死んでいるのかよくわからないっていう時期もあった。でも…彼らは生きているんですよね。すごく幸福そうに生きている。その幸福感とか、充実感とは、すべてのものに対してのリスペクトからきているというのが、私はすごく琴線を動かされる部分だった。その意味を探るような旅になりました」

 そんな出会いを経て「彼らは私にとってすごく必要な人たちでした。日本の皆さんにもすごく大事なものを教えてくれるんじゃないか。街や文化はすぐに飛びつきたくなるようなきらびやかさはないかもしれないけど、本当の意味で幸せを感じることができる、そのヒントをサイパンの旅では、垣間みることができるんじゃないか。日本の人たちの心に触れられるものがあるんじゃないかな、あったらうれしいな」と呼びかけた。

■スタッフ一丸となって臨んだ撮影に達成感「絶対にいいものになるような気がする」

 インタビュー中、何度も松本が口にしたのは撮影チームへの感謝と団結力の強さ。「なにより私はこのスタッフたちとロケに行けたことが幸せでした。寝る時間以外すべてこのロケに注いだ。自分たちのそれぞれのセクションで、自分たちのできる限りのことをしようという思いがものすごく強かった。お仕事として…ではなくいかに今その瞬間を生きるか、これを100パーセントやり切るか、ということを、スタッフ全員一丸となってこのロケに臨めたんです」と達成感をのぞかせる。

 「今いかに、この瞬間を全力でできるのか。その積み重ねが幸福感や充実感になる。この作品がどうなっていくかわからないけど、やりきるということがいかに美しいものか、自分にとって欲しかったものなのかを味わった。このとても濃いこの数日間を過ごして、結果として絶対にいいものになるような気がするんです」と手応えは十分だ。

 スタッフとは毎晩、打ち合わせを重ね、最後の夜はビーチで星空をながめていたという。「なんの思いもなくやった仕事は、もし評価されたとしても、私たちの心には残らない。でも、今回は夢中になれる作品だったんです。仕事ってやりたくなかったりすることもあるけど、夢中になると楽しいんです。そのことを気づかせてくれた」と目には、じんわりの涙も浮かんだ。

 「自分の意見だけなく『みんなの意見をください』といえば、カメラマンさん、ディレクターさん、音声さん、プロデューサーさん、メイクさん…みんながいろんな言葉を言ってくれる。みんなの生きてきた人生の、人生経験の言葉をもらって、気づけた物語の結末。自分だけの感覚で見つけた最後ならきっとあんまり面白くない。みんなの意見をもらって自分の枠から広がって化学反応が起きて見つけることができた。こういう仕事の仕方をこれからもしていきたい。理想の仕事の仕方だったんです。人とこうやって関わることがこんなにも幸せなことなのか。本当に幸せだと心から思えた。この感覚を忘れずに、仕事をしていきたい。お互いをリスペクトしながら、自分だけの思いにならないで、いろんな意見を聞きながらやっていくっていうことが、制作者としてすごく大事なことなんじゃないかな」。俳優として、人として大きなものを得た旅となった。

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