2023年のヒット書籍をランキング化した『第16回オリコン年間“本”ランキング2023』で20位。「1番売れてるマネジメント書」として注目の『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)。シリーズ122万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』、待望の続編で、著者の安藤広大氏が、「人の上に立ち続けるための思考法」というテーマのもと、優秀なビジネスパーソンになるためのポイントをわかりやすく解説している。同書から、仕組みを作るための“ルール設定”について語った内容を、一部抜粋して紹介する。
■「個人」を責めるな、「仕組み」を責めよう
仕事で目標に未達だったときに、上司から「頑張れ」と言われたところで、何も解決しません。それは誰もが知っていることです。しかし、自分が上司の立場になった瞬間「もっと頑張れよ」と言ってしまったり、心の中で思ってしまったりするのが人間の常です。
人は弱い。だからこそ、それを前提に、仕組みをつくっておく必要があります。
「なるべく早くメールを返信してほしい」という要望があるとします。経営者をしていると、意思決定のためのスピードが求められます。そのため、部下への確認でメールを送った際、できるだけ早い返信がほしいのです。
とはいえ、「なるべく早く」では、1人1人によって認識の違いが生まれます。「なるべく早くだから10分以内だ」という人もいます。「その日中に返せば、なるべく早いほうでしょう」という人もいます。
そのため、仕組みで解決して、もっと解像度を高く、ルールを設定すべきです。
「メールが届いたら、3時間以内に返信してください」というように私は設定しました。なぜなら、3時間以内であれば、どんな状況でも1回はメールチェックができるからです。長い会議に入ったり、研修講義を受けていたりしていても、3時間以上、休憩がないシーンは考えられません。そこまで考えて、「3時間以内の返信」というルールを設定しました。これが、仕組みで問題を解決する発想です。
他者からの明確な指示があって初めて仕組みは機能します。自分だけの努力ではなく、他者の評価が絡むことで、動かざるをえなくなります。
■人間は放っておくと「自然」に返る
「やればできる」という便利な言葉があります。誰しもが同じことを考えています。しかし、放っておくと、人はラクを求めます。
「なるべく早く」を「今日までに」と解釈します。「手が空いたら」を「完全にヒマになったら」と解釈します。そうやって、自分にとって都合のいいように考えてしまいがちです。
勉強をしない。仕事をしない。そのほうが「自然な状態」だからです。勉強や仕事をするように人間の脳や体はつくられていません。それを、「計画」や「習慣」によって変えていき、社会を形成してきたのが人類の歴史です。自然を変え、不自然を当たり前にしてきたのです。
なぜ、私たちは集団で活動しているのでしょうか。別に、1人1人が個人として生きていけるのであれば、組織などつくらなくてもいいはずです。
たとえば、100人いれば、そのうち10人くらいは、放っておいても頑張ります。その人たちは、精神論だけで動くことができるのです。では、それを基準に組織を運営すべきでしょうか。「あの10人を見習って頑張らないと」と、個人を責めたほうがいいのでしょうか。
違います。圧倒的多数である「できない人」に合わせて、仕組みを作り、全員を活かしたほうがいいのです。そのためには、「頑張らない理由」が何なのか。人間の本質を見抜き、それを前提にした「仕組み化」が必要なのです。
■プロフィール
安藤広大/株式会社識学 代表取締役社長。1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、衝撃を受け、2013年に独立。識学講師として多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年あまりで上場を果たし、これまでの8年間で約4000社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ122万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』(ともにダイヤモンド社)がある。
(本文拡張)■「人」は責めるな、「ルール」を責めろ。トップに駆け上がる人に必要な「考え方のすべて」。
『とにかく仕組み化 人の上に立ち続けるための思考法』(ダイヤモンド社)?
■「個人」を責めるな、「仕組み」を責めよう
仕事で目標に未達だったときに、上司から「頑張れ」と言われたところで、何も解決しません。それは誰もが知っていることです。しかし、自分が上司の立場になった瞬間「もっと頑張れよ」と言ってしまったり、心の中で思ってしまったりするのが人間の常です。
人は弱い。だからこそ、それを前提に、仕組みをつくっておく必要があります。
「なるべく早くメールを返信してほしい」という要望があるとします。経営者をしていると、意思決定のためのスピードが求められます。そのため、部下への確認でメールを送った際、できるだけ早い返信がほしいのです。
とはいえ、「なるべく早く」では、1人1人によって認識の違いが生まれます。「なるべく早くだから10分以内だ」という人もいます。「その日中に返せば、なるべく早いほうでしょう」という人もいます。
そのため、仕組みで解決して、もっと解像度を高く、ルールを設定すべきです。
「メールが届いたら、3時間以内に返信してください」というように私は設定しました。なぜなら、3時間以内であれば、どんな状況でも1回はメールチェックができるからです。長い会議に入ったり、研修講義を受けていたりしていても、3時間以上、休憩がないシーンは考えられません。そこまで考えて、「3時間以内の返信」というルールを設定しました。これが、仕組みで問題を解決する発想です。
他者からの明確な指示があって初めて仕組みは機能します。自分だけの努力ではなく、他者の評価が絡むことで、動かざるをえなくなります。
■人間は放っておくと「自然」に返る
「やればできる」という便利な言葉があります。誰しもが同じことを考えています。しかし、放っておくと、人はラクを求めます。
「なるべく早く」を「今日までに」と解釈します。「手が空いたら」を「完全にヒマになったら」と解釈します。そうやって、自分にとって都合のいいように考えてしまいがちです。
勉強をしない。仕事をしない。そのほうが「自然な状態」だからです。勉強や仕事をするように人間の脳や体はつくられていません。それを、「計画」や「習慣」によって変えていき、社会を形成してきたのが人類の歴史です。自然を変え、不自然を当たり前にしてきたのです。
なぜ、私たちは集団で活動しているのでしょうか。別に、1人1人が個人として生きていけるのであれば、組織などつくらなくてもいいはずです。
たとえば、100人いれば、そのうち10人くらいは、放っておいても頑張ります。その人たちは、精神論だけで動くことができるのです。では、それを基準に組織を運営すべきでしょうか。「あの10人を見習って頑張らないと」と、個人を責めたほうがいいのでしょうか。
違います。圧倒的多数である「できない人」に合わせて、仕組みを作り、全員を活かしたほうがいいのです。そのためには、「頑張らない理由」が何なのか。人間の本質を見抜き、それを前提にした「仕組み化」が必要なのです。
■プロフィール
安藤広大/株式会社識学 代表取締役社長。1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、衝撃を受け、2013年に独立。識学講師として多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年あまりで上場を果たし、これまでの8年間で約4000社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ122万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』(ともにダイヤモンド社)がある。
(本文拡張)■「人」は責めるな、「ルール」を責めろ。トップに駆け上がる人に必要な「考え方のすべて」。
『とにかく仕組み化 人の上に立ち続けるための思考法』(ダイヤモンド社)?
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2024/02/02