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納品した商品にキズ…激怒する客を“スッキリ”笑顔にさせた方法 クレーム処理にみる“仕事ができる人”の特徴

 2023年のヒット書籍をランキング化した『第16回オリコン年間“本”ランキング2023』で、TOP10入り(10位)し、ビジネス関連の書籍で“今いちばん売れている”と話題の『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)。「IQ・学歴に関係なく、誰でも“頭のいい人”になれる」をテーマに、口下手だったというコンサル歴22年の著者・安達裕哉氏が、伝え方や話し方にポイントを当てて解説する。同書から、「クレーム対応で仕事ができるかどうかわかる」実際のエピソードを語った内容を、一部抜粋して紹介する。

激怒する客を“スッキリ”笑顔にさせた方法

激怒する客を“スッキリ”笑顔にさせた方法

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■テレビに影響を受けて 論破しようとする人

 近年、“論破”という言葉が多用されるようになりました。論破ショーなるものが、テレビやネットの番組で数多く放送され、「はい、論破」などというフレーズが流行っていることの影響もあるでしょう。

 しかし、論破しようとする人は決して、頭がいいとはいえません。仮に論破できたとしても、信頼されるどころか恨まれかねませんし、論理的に説得できたからといって人が動くわけではありません。

 テレビ番組は、講論して、良い解決策を見つけることが目的なのではなく、あくまでショーとして、視聴者にプロレス的なもみ合いを見せることを目的としています。そのショーに影響を受けて、人と議論するたびに相手を論破しようとするのは、プロレスに影響を受けて、プライベートでいきなりプロレス技をかけようとするようなものです。仲のいい友達ならじゃれ合いとして成立するかもしれませんが、ビジネス現場では、軽蔑されるだけです。

 頭のいい人は、決して論破しようとしません。議論はしても、勝ち負けにこだわらず、議論を前に進め、仕事を進捗させることを意識します。コンサルタントとしても、このように叩き込まれました。

 人と闘うな、課題と闘え。

■クレーム対応がうまい人の特徴

 “クレーム対応で仕事ができるかどうかがわかる”と唱える人がいますが、私の知人もそのひとりです。

 彼は、家具店で正社員として働いていましたが、クレーム対応は直接売上につながるわけではないので、避ける人も多かったといいます。だからこそクレーム対応のうまい人がアルバイトからも、上司からも信頼が厚く、出世していくのだそうです。

 ある日、閉店間際に電話がかかってきました。

 「食器棚がさっき届いたが、引き出しの底に小さな傷がついている、今すぐ交換しにこい!」

 相当お怒りのようです。聞くところによると、配送員の態度も悪かったそうです。しかし、食器棚の在庫を調べてみると今すぐ用意できるものがなく、取り寄せるのに4日ほどかかってしまいます。その旨をお客さんに伝えると「ふざけるな!今すぐもってこい!」と激影しました。とはいっても、商品がないので持っていきようがありません。

 ここで、クレーム対応が苦手な人は“できないものはできない”と相手を説得しようとします。すると、相手と対立することになり、話がこじれてしまいます。

 でも彼は説得するのではなく、お客さんの話を丁寧に聞きました。するとこんな話になりました。

「明日はお仕事でしょうか?」
「いや、明日から3連休だ。家族で旅行に行くんだ。子どもたちも楽しみにしてる。だから早くもってこい“」
「なるほど、それで今日…」
「古い食器棚から家族5人分すべての食器を出して待ってたんだ」

 お客さんが、なぜこれほど怒っていたのか、彼はやっと理解しました。食器棚に傷がついたことに怒っていたのではなく、配送員の態度に怒っていたのでもなく、食器棚を新しくして、スッキリした気持ちで明日から家族で旅行に行こうと思っていた、その気持ちを削がれたことに怒っていたのです。これが、お客さんの抱える本質的な課題でした。

 でも、食器棚の在庫がないことは事実です。そこで彼は、隣の店舗で、できるだけ状態のいい展示品の引き出しを確保してもらい、その状態のいい引き出しと、あるものを買ってお客さんの家に向かいました。

 では、ここで問題です。彼が怒っているお客さんの家に、引き出しとともに持っていったものとは?

 さあ、みなさんならどうしますか?正解は、子どもが好きなキャラクターのお菓子やゼリーのセットでした。そして、こう言いました。

 「できるだけ状態のいい引き出しを他店舗から持ってきました。展示品ではありますが、新品も最短で取り寄せる手配をしております。こちら、もしよろしければ、道中の車の中で召し上がってください。

 彼は、スッキリした気持ちで旅行に行きたかった、というお客さんの気持ちを汲み取り、より楽しい旅行ができるように、お菓子を渡したのです。するとお客さんは、ケロッとして、ありがとうと言い、結局、後日新品の引き出しと交換することなく、展示品のままで納得してくれたそうです。

■勝ち負けは気にしない

 彼がそこで、今すぐ商品をお持ちできない理由を論理的に説明していたら、どうなっていたでしょう。お客さんは納得するどころか、より怒っていたでしょう。

 頭のいい人は、議論の勝ち負けではなく、議論の奥にある、本質的な課題を見極めようとします。議論になるのは、その人の根底に何か想いがあるからです。

 彼は、食器棚の傷に怒るお客さんの根底にある、“スッキリとした気持ちで旅行に行きたい”という気持ちに気づき、その課題を解決するために、奔走しました。結果的に、新品を取り寄せずにすんだのですから、お菓子代はかかったものの、コストは安くすみました。

 対応を誤り、お客さんを激昂させていたら、そのお客さんは一生お店に来てくれない可能性もあるので、長期的に考えると、お菓子代だけで会社に利益をもたらしたことになります。

 ちゃんと考えて話すというのは、“相手の言っていることから、その奥に潜む想いを想像して話す”ということでもあります。そしてそれは、学校的知性ではなく社会的知性がもたらすものなのです。

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■安達裕哉氏/ティネクト株式会社代表取締役
1975年生まれ。筑波大学大学院環境科学研究科修了後、理系研究職の道を諦め、給料が少し高いという理由でデロイト トーマッコンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社。品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事し、その後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのちに独立。現在はマーケティング会社「ティネクト株式会社」の経営者として、コンサルティング、webメディアの運営支援、記事執筆などを行う。また、個人ブログとして始めた「Books&Apps」が“本質的でためになる”と話題になり、今では累計1億2000万PVを誇る知る人ぞ知るビジネスメディアに。

(本文拡張)■すべては話す前に決まっている
『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)?

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