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乱立するハウスクリーニング業者どう選ぶ? エアコンや洗濯機の故障につながることも「安すぎるのは危険」

 年末、大掃除の季節がやってきた。1年間、溜まり切った汚れを自分で掃除するのはなかなか手間。「いっそのことプロの手を借りたい」と考える人も多いのでは? 最近では、ハウスクリーニング業者が増え、アプリやSNSなどでも探すことができる。価格も手ごろなことから、かつてのように「富裕層が利用するもの」から気軽に利用できる存在へと変わってきた。ただ、ハードルは下がったといえ、安さだけで選んでいいものか? 乱立するハウスクリーニング業者の上手な選び方を探った。

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■人気のエアコンクリーニング、分解しても戻せない、故障させてしまうことも

 小学生時代から学校教育で校内の掃除を行ってきたことから、日本人は「掃除は自分で行うのが当たり前」と考える人が多いという。しかし近年、専門業者によるハウスクリーニングを利用する人が増加。需要の高まりを受けて、参入する業者も増えた。現在は、ダスキンほか大手チェーンのほか、個人事業者に至るまで数多く揃い、ネットやアプリで簡単に依頼できるようにもなっている。その一方で、「どこを選んでいいかわからない」「すごく安い値段を謳っているけど大丈夫なの?」と、疑問や不安の声も。そんな中、「安すぎるのは危険」と警鐘を鳴らすのは、ハウスクリーニング大手・おそうじ本舗を運営するHITOWAライフパートナーの企画部部長、尾崎真氏だ。

 「たとえば、お年寄りから一人暮らしの学生まで、幅広い世代からもっとも需要が高いのがエアコンクリーニング。ですが、安い業者の中には知識や経験が不足していて、分解すべき箇所をしっかり分解していなくて洗浄が不十分だったり、故障させてしまっても保険に入っていなかったりして対応が悪いなどのリスクもあります」(尾崎氏/以下同)

 なぜ、分解しない業者がいるのか。その理由のひとつには、近年、エアコンの構造が非常に複雑になっているという現状がある。

 「今から10年ほど前、『エアコンにカビが生える』ということが情報として出始め、メディアでも盛んに取り上げられるようになりました。そのため各家電メーカーは、なるべくカビが生えないようにするためのフィルター掃除機能など、さまざまな技術を搭載するように。その結果、エアコンが複雑化して分解するのが大変になり、分解しても元通りに戻せなかったり、故障させてしまったりということが起こりやすくなってしまいました」

プロの分解・高圧洗浄で落ちたホコリ、カビなどの汚れ(写真提供:おそうじ本舗)

プロの分解・高圧洗浄で落ちたホコリ、カビなどの汚れ(写真提供:おそうじ本舗)

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 分解するためには専門的な知識が必要になるというわけだが、加えて、分解して掃除して組み立てるとなると、時間もかかってしまう。低価格クリーニングを実現するためには、短時間で効率的に行わなければ割に合わないのは言うまでもない。

 「時間短縮のために、素材に影響があるほど強めの洗剤を使ったり、分解すべき箇所を分解しないで作業したり、汚れが8割くらい取れたところでやめてしまうなどしている業者もあります。値段の差には理由があるということです」

 ハウスクリーニング業界には国家資格があるが、取得していなくても開業は可能。事務所や店舗を構える必要もなく一人でもできることから、手軽に始められる。もちろん、低価格で請け負う個人や小規模事業者のサービスがすべて悪いというわけではない。尾崎氏も、「安いことで、これまでハウスクリーニングなど無縁だと思っていた人たちが利用しやすくなるのは業界にとっても良いこと」と語る。ただし、それは頼む箇所によるということ。先のエアコンのように、専門的な知識が必要な場合は利用者の“見極める目”が必要ということだ。

 「個人でやっている方の中にも、高い技術力を持つ方も当然たくさんいらっしゃいますが、そうではない方がいるのも事実です。専門的な知識が必要な物や箇所のクリーニングは、安さだけを基準で考えないほうがいいでしょう」

 もちろん、そうした知識と高い技術力を保つためには、かなりの労力や資金力が必要であり、小規模事業者にはなかなか難しいことかもしれない。

 「毎年何十という新機種が発売されますが、すべて作りが違い、分解の仕方も異なります。おそうじ本舗では全製品を購入し、技術者が完全分解する方法を分析しているので、研究所はまるで家電量販店のような様相です(笑)。また、スタッフ全員がそれを共有しないと意味がないので、店舗共有アプリに掲載して全員が把握できるようにしています。素材を傷めないための洗剤や掃除道具の独自開発も大切ですね」

洗濯槽クリーナーだけではあまり落ちない洗濯槽の汚れ(写真提供:おそうじ本舗)

洗濯槽クリーナーだけではあまり落ちない洗濯槽の汚れ(写真提供:おそうじ本舗)

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 ハウスクリーニングのメニューには、キッチン、浴室、トイレ、部屋など、各社さまざま揃うが、エアコン以外で専門的な知識が必要とされるクリーニングとしては、洗濯機も挙げられるという。

 「洗濯機は湿気があることに加え、カビの餌となる汚れをずっと与えている状態なので、実はエアコンよりもカビが生えやすいんです」

 ところが、洗濯機もエアコン同様に進化を続けているため、素人では分解できないレベルに。業者でも難しいという。

 「実は私たちも、数年前までは分解せずに洗浄だけを行っていました。しかし、研究所で調査をしたところ、分解して洗った洗濯機のカビの落ちを100%としたとき、分解せずに洗浄剤とブラシで落ちたのは50%、洗浄剤のみでは汚れがほとんど落ちきれないという結果に。以来、洗濯機も全商品を買ってきて、技術者が完全分解する方法をアプリで伝授しています」

 自分で洗濯槽クリーナーを使って掃除する人も多いだろうが、落ちる汚れは限定的だとすると、やらないよりは当然良いが根本的な解決にはなっていないように思える。とくに人気のドラム式は、乾燥ダクトの中の掃除も重要になるという。

 「衣類の糸や綿ボコリなどが溜まり、次第に乾燥時間が長くなる、設定した通りふわっと乾かないという症状が出てきます。これは洗濯物から出る繊維のくずが、乾燥ダクトの中に蓄積されて空気の流れが弱くなるのが原因で、分解しないと取り除くことはできません」

 では、どのくらいの頻度でプロのクリーニングを頼んだらいいものか。尾崎氏は「洗濯機もエアコンも、本当は1年に1度がいいのですが、最低でも2年に1度は分解洗浄を行ったほうがいいでしょう」とアドバイスする。

■プロにリセットしてもらうことで健康被害も回避、では適正価格は?

 プロの手でしっかりキレイにしてもらうとなると、やはりある程度のお金はかかるもの。しかし、値段相応のメリットがあることは間違いない。

 「普段の掃除で、自分で落とせる汚れはせいぜい6割か7割程度。残った汚れは蓄積する一方となってしまいます。しかし、1度プロの手でキレイにしてもらい、新品に近い状態にリセットしてもらえば、本体が長持ちすることにつながりますし、何より、健康被害が避けられます」

 価格については、「大手はブランド名がある分、高い」「CMを流しているから高い」という声も聞かれる。しかし、価格設定の基準を尾崎氏はこう解説する。

 「まず、お客様にご納得いただけるサービスをしっかり提供することを基本に、そのサービスを行う人がきちんと暮らしていけるかどうかで金額を算出しています。ブランドというより、それがビジネスとしての適正価格ですね。もちろん、その分人材育成には力を入れています。チェーン規模が大きければそれだけ技術教育に投資できますので、日本最先端の技術をアプリで知識を共有するだけでなく、1ヵ月間みっちり技術的な研修をし、マナーも含めたサービス面も学びます」

 安値の業者が増える中、価格競争に加わるのではなく、価格に見合うサービスを提供するための努力を重ねているということだ。さらに、価格に含まれる価値として挙げられるのが「ハウスクリーニングはオーダーメイドサービスである」こと。

 「お客様にわかりやすく、ウエブからもオーダーしやすいよう、価格をパッケージで提示していますが、もともとハウスクリーニングはオーダーメイドサービス。お家にうかがった際にお客様の悩みを聞き、解決するためのご相談に乗るということもしています」

 自分が頼みたいのは、プロの知識と技術が必要な場所なのか、家事代行レベルのお掃除なのか。見極めたうえで、賢く利用して、役立てたいものだ。

(文:河上いつ子)

関連写真

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  • 【6】本体は乾拭き(写真提供:おそうじ本舗)
  • これ以上はプロに任せたほうが安全(写真提供:おそうじ本舗)
  • プロの分解・高圧洗浄で落ちたホコリ、カビなどの汚れ(写真提供:おそうじ本舗)
  • 洗濯槽クリーナーだけではあまり落ちない洗濯槽の汚れ(写真提供:おそうじ本舗)

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