俳優の役所広司が「第76回カンヌ国際映画祭」で最優秀男優賞を受賞した映画『PERFECT DAYS』が今月22日より劇場公開される。本作を監督したのは、『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』など、数々の傑作を世に送り出し続けてきたドイツの映画監督ヴィム・ヴェンダース。このたび、監督のロングインタビューの一部が先行公開された。
インタビューは、映画の制作直後にベルリンのヴィム・ヴェンダースのオフィス「ROAD MOVIES」にて収録された。当初15分程度を予定していたが、徐々に熱を帯び、映画がどのように生まれたか、シナリオづくりのときに何をイメージしていたか、一緒に制作していたチームにも、演じる役所広司にも伝えなかった思いを、ヴェンダースはゆっくりと告白するように語り、あっという間に1時間半が過ぎていた。
長編映画並みのボリュームになったインタビュー映像を、共同脚本の高崎卓馬がテーマを設けて6本の短尺動画に編集。本記事で紹介するのはそのうちの1本、「どう撮ればいいのかわからない それが理想」というテーマでまとめられたインタビュー動画。映画監督を志したきっかけ、思い、そしてその情熱が一本の道となり『PERFECT DAYS』に辿り着くまでを、自らの言葉で語っている。
■本当は画家になりたかった!?
インタビューでヴェンダースは、子どもの頃から将来、何の仕事につくか、いろいろ興味が湧く中で、「人生のうちだいぶ長いこと、画家以外の何者にもなりたくないと考えていました」と明かす一方、「50年代や60年代のドイツでは、映画監督になるなんて、考えとして問題外でした。まったく検討対象ではなかった。学校もなかったし、映画のカルチャーもなかった。映画監督になるというのは、選択肢として手札になかったし、頭をよぎりすらしなかった」と告白する。
しかし、フランス・パリで絵の勉強をするうちに、映画と出会うことになる。そのきっかけというのが、「暮らしていた部屋があまりにも寒くて、暖房もなく、どこか暖かいところに行く必要があった」と、毎晩シネマテークに通うようになり、季節が変わっても通い続けた。「一年間、毎日、午後と深夜にシネマテークに通い、映画を千本くらい観てから気がついたんです、これも仕事になり得るんだと」。結果、映画監督になったことで、「それまでなりたいと思っていたものすべてになった」と語る。
■映画づくりは「常に、ゼロから」
そして、タイムレスな名作を何本も生み出している今となっても、「映画を撮るときはいつも初めての作品のようにやっています。映画を作りたいと思えるのは、その作り方がいまいち分からないからです。『PERFECT DAYS』なんて、特にそうです。日本でどうやって映画を撮ったらいいのか、わかりませんでした。私にとって、それは映画を撮り始めるにあたって理想的なことです」と、モチベーションの源泉を明かす。
映画づくりは「常に、ゼロから始めないといけない」と言うヴェンダースは、その理由を「映画が既製品になってしまったら、観客がそういう風に受け止めてもがっかりする資格はありません。それは、商品だから。私は、映画を商品とみなしてはいません。映画は、経験とプロセスなんです。プロセスというのは、受け渡すことができます。映画は、プロセスを見せます。プロセスを見せることで、観客はその内へ入っていき、その一部になることができるんです」と説明。
■『PERFECT DAYS』への思い
その考え方に当てはめると、『PERFECT DAYS』は東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所)の経験とプロセスを描いたものであり、まさに映画そのものと言えそうだ。
「トイレ掃除について学んで、それから、トイレ掃除がいつも同じではないことを学ぶ。すると、同じということはあり得ないことを学ぶ。映画を通して、徐々に、あらゆることが初めて起こることなんだと学ぶ。それが平山の生き方です。(中略)この気づきこそが、『PERFECT DAYS』で私が本当に大切に思っていることです」と、熱弁をふるっている。
インタビュー動画全6本は、公開初日の22日より公式サイト(https://twitter.com/perfectdays1222)で公開。まさに映画の学校のような楽しみと学びを得ることができ、本作をより深く楽しむため、必見の内容となっている。また、主人公・平山の「映画にはならなかった日々」の353日をDAYS OF HIRAYAMAというオリジナルコンテンツとして公開。触れるたびに表情を変える不思議な「スクロール・ブック」と合わせて、主人公平山の世界を存分に感じることができるサイト(企画・制作:mount)となっている。
インタビューは、映画の制作直後にベルリンのヴィム・ヴェンダースのオフィス「ROAD MOVIES」にて収録された。当初15分程度を予定していたが、徐々に熱を帯び、映画がどのように生まれたか、シナリオづくりのときに何をイメージしていたか、一緒に制作していたチームにも、演じる役所広司にも伝えなかった思いを、ヴェンダースはゆっくりと告白するように語り、あっという間に1時間半が過ぎていた。
長編映画並みのボリュームになったインタビュー映像を、共同脚本の高崎卓馬がテーマを設けて6本の短尺動画に編集。本記事で紹介するのはそのうちの1本、「どう撮ればいいのかわからない それが理想」というテーマでまとめられたインタビュー動画。映画監督を志したきっかけ、思い、そしてその情熱が一本の道となり『PERFECT DAYS』に辿り着くまでを、自らの言葉で語っている。
■本当は画家になりたかった!?
インタビューでヴェンダースは、子どもの頃から将来、何の仕事につくか、いろいろ興味が湧く中で、「人生のうちだいぶ長いこと、画家以外の何者にもなりたくないと考えていました」と明かす一方、「50年代や60年代のドイツでは、映画監督になるなんて、考えとして問題外でした。まったく検討対象ではなかった。学校もなかったし、映画のカルチャーもなかった。映画監督になるというのは、選択肢として手札になかったし、頭をよぎりすらしなかった」と告白する。
しかし、フランス・パリで絵の勉強をするうちに、映画と出会うことになる。そのきっかけというのが、「暮らしていた部屋があまりにも寒くて、暖房もなく、どこか暖かいところに行く必要があった」と、毎晩シネマテークに通うようになり、季節が変わっても通い続けた。「一年間、毎日、午後と深夜にシネマテークに通い、映画を千本くらい観てから気がついたんです、これも仕事になり得るんだと」。結果、映画監督になったことで、「それまでなりたいと思っていたものすべてになった」と語る。
■映画づくりは「常に、ゼロから」
そして、タイムレスな名作を何本も生み出している今となっても、「映画を撮るときはいつも初めての作品のようにやっています。映画を作りたいと思えるのは、その作り方がいまいち分からないからです。『PERFECT DAYS』なんて、特にそうです。日本でどうやって映画を撮ったらいいのか、わかりませんでした。私にとって、それは映画を撮り始めるにあたって理想的なことです」と、モチベーションの源泉を明かす。
映画づくりは「常に、ゼロから始めないといけない」と言うヴェンダースは、その理由を「映画が既製品になってしまったら、観客がそういう風に受け止めてもがっかりする資格はありません。それは、商品だから。私は、映画を商品とみなしてはいません。映画は、経験とプロセスなんです。プロセスというのは、受け渡すことができます。映画は、プロセスを見せます。プロセスを見せることで、観客はその内へ入っていき、その一部になることができるんです」と説明。
■『PERFECT DAYS』への思い
その考え方に当てはめると、『PERFECT DAYS』は東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所)の経験とプロセスを描いたものであり、まさに映画そのものと言えそうだ。
「トイレ掃除について学んで、それから、トイレ掃除がいつも同じではないことを学ぶ。すると、同じということはあり得ないことを学ぶ。映画を通して、徐々に、あらゆることが初めて起こることなんだと学ぶ。それが平山の生き方です。(中略)この気づきこそが、『PERFECT DAYS』で私が本当に大切に思っていることです」と、熱弁をふるっている。
インタビュー動画全6本は、公開初日の22日より公式サイト(https://twitter.com/perfectdays1222)で公開。まさに映画の学校のような楽しみと学びを得ることができ、本作をより深く楽しむため、必見の内容となっている。また、主人公・平山の「映画にはならなかった日々」の353日をDAYS OF HIRAYAMAというオリジナルコンテンツとして公開。触れるたびに表情を変える不思議な「スクロール・ブック」と合わせて、主人公平山の世界を存分に感じることができるサイト(企画・制作:mount)となっている。
2023/12/11