『東京モーターショー』から名称を変え、自動車業界だけでなく、さまざまなモビリティ関連企業・団体が一堂に会した大型イベント『Japan Mobility Show 2023』(ジャパンモビリティショー)。4年ぶりに開催され、111.2万人が来場した本イベントには、車だけでなくさまざまなタイプのモビリティを展示。メディアなどでも報道されている通り、各社新型のスポーツモデルを発表が多かった。一方で、運転の楽しみを味わえるそれらとは対局といっていい、空間(時間)を楽しむ車も出展された。
空間(時間)を楽しむ車というと、古くから「ショーファーカー/ショーファードリブン」という言葉がある。これは、オーナーではなくお抱えの運転手がその車を運転し、運転席よりも後部座席の居住性、快適性を第一に考えられた車のことをいい、日本では先ごろ新型も発表された『トヨタセンチュリー』、近年では『トヨタアルファード/ヴェルファイア』などがその役割を担ってきた。これらの車は、その快適性ゆえ車両本体価格も高めで、運転手を雇えるほどの余裕のある富裕層向けとなっている。
今回、本イベントに出展されたのは、そんな運転手とオーナーという関係性ではなく、車に乗るすべての人がその空間を快適に楽しく過ごせるように作られた車。
日産自動車(以下/日産)が発表した『ニッサン ハイパー ツアラー』は、おもてなしの精神や上質さと自動運転などの先進技術を融合した、プレミアムEVミニバン。小型化したさまざまな部品と、全固体電池によって、広い室内空間を実現し、360度回転するフローティングしたシートによって、完全自動運転モードで走行中には、運転席と助手席を後部座席と向かい合わせにすることで、乗員同士が対面での会話を楽しむことができるようになっている。
本田技研工業(以下/ホンダ)は、GMとクルーズとの共同で自動運転専用車両『クルーズ・オリジン』を開発。この車には、自動運転レベル4相当の自動運転技術が搭載されており、運転席がない。そのため、最大6人まで搭乗可能な室内空間を広く使うことができるもの。また、乗り降りしやすいように、低床プラットフォームを採用するとともに、量産車として世界初となる、左右両側の両開きスライドドアを実現している。2026年初頭には、都内で自動運転タクシーサービスを開始することを目指して、現在開発を進めている。
また、自動車メーカーではないが、パナソニックグループ(以下/パナソニック)のブースでは、「未来のモビリティ体験」として、2035年に向け、「より良いくらしのために快適・安心・エコな未来のモビリティ」を提案。自動運転によって、まるでリビングのように家族と一緒にくつろげるような車室空間を疑似体験できる『Mobile Living Room』などの展示を行った。
これらの車の説明/解説を見てみると、“移動体験”というキーワードが共通して使われている。ここでいう“移動体験”とは、車を運転することに価値を見出すのではなく、車に乗っている移動時間を有効活用するというものだろう。自動運転によって運転することから解放され、ビジネスパーソンであればパソコンを片手に仕事もできるし、家族や友人で全員が顔を見合わせながら、話はもちろん食事やゲームなども可能。それらを行う車自体もEVのため、従来の車のようなエンジンが搭載されていないので大きな音が出ずに静粛性に優れ、振動も少なく乗り心地もいい。車内空間をより快適に過ごせるという利点もある。
ホンダ取締役代表執行役の三部敏宏社長は、『クルーズ・オリジン』の自動運転タクシーサービスについてのリリースで「ホンダが目指すのは『自由な移動の喜び』の創造です。今回のクルーズとGMとの協業による自動運転タクシーサービスを通じて、日本のお客様に新たな移動の価値を体験いただき、人々の移動の質を高め、移動の喜びを環境負荷ゼロで、さらにより安全に提供します。これは、先進モビリティ社会の実現に向けた大きな一歩です。この新しい価値創出の実現にむけ、クルーズとGMと邁進してまいります」と話している。
これまでの車同様の“走りの楽しみ”を継承しそれを現代に昇華させたスポーツモデルとともに、車自体ではなく車内で快適に自分の好きなことをやることに価値を見いだす“移動体験”に特化した車も発表された本イベント。「車での移動」をどうとらえるか。特に後者は、“タイパ”を重んじる現代の人々に向け、大きな需要があるといえそう。今回発表のなかったメーカーも含め今後どうなっていくのか、注視したい。
空間(時間)を楽しむ車というと、古くから「ショーファーカー/ショーファードリブン」という言葉がある。これは、オーナーではなくお抱えの運転手がその車を運転し、運転席よりも後部座席の居住性、快適性を第一に考えられた車のことをいい、日本では先ごろ新型も発表された『トヨタセンチュリー』、近年では『トヨタアルファード/ヴェルファイア』などがその役割を担ってきた。これらの車は、その快適性ゆえ車両本体価格も高めで、運転手を雇えるほどの余裕のある富裕層向けとなっている。
今回、本イベントに出展されたのは、そんな運転手とオーナーという関係性ではなく、車に乗るすべての人がその空間を快適に楽しく過ごせるように作られた車。
日産自動車(以下/日産)が発表した『ニッサン ハイパー ツアラー』は、おもてなしの精神や上質さと自動運転などの先進技術を融合した、プレミアムEVミニバン。小型化したさまざまな部品と、全固体電池によって、広い室内空間を実現し、360度回転するフローティングしたシートによって、完全自動運転モードで走行中には、運転席と助手席を後部座席と向かい合わせにすることで、乗員同士が対面での会話を楽しむことができるようになっている。
本田技研工業(以下/ホンダ)は、GMとクルーズとの共同で自動運転専用車両『クルーズ・オリジン』を開発。この車には、自動運転レベル4相当の自動運転技術が搭載されており、運転席がない。そのため、最大6人まで搭乗可能な室内空間を広く使うことができるもの。また、乗り降りしやすいように、低床プラットフォームを採用するとともに、量産車として世界初となる、左右両側の両開きスライドドアを実現している。2026年初頭には、都内で自動運転タクシーサービスを開始することを目指して、現在開発を進めている。
また、自動車メーカーではないが、パナソニックグループ(以下/パナソニック)のブースでは、「未来のモビリティ体験」として、2035年に向け、「より良いくらしのために快適・安心・エコな未来のモビリティ」を提案。自動運転によって、まるでリビングのように家族と一緒にくつろげるような車室空間を疑似体験できる『Mobile Living Room』などの展示を行った。
これらの車の説明/解説を見てみると、“移動体験”というキーワードが共通して使われている。ここでいう“移動体験”とは、車を運転することに価値を見出すのではなく、車に乗っている移動時間を有効活用するというものだろう。自動運転によって運転することから解放され、ビジネスパーソンであればパソコンを片手に仕事もできるし、家族や友人で全員が顔を見合わせながら、話はもちろん食事やゲームなども可能。それらを行う車自体もEVのため、従来の車のようなエンジンが搭載されていないので大きな音が出ずに静粛性に優れ、振動も少なく乗り心地もいい。車内空間をより快適に過ごせるという利点もある。
ホンダ取締役代表執行役の三部敏宏社長は、『クルーズ・オリジン』の自動運転タクシーサービスについてのリリースで「ホンダが目指すのは『自由な移動の喜び』の創造です。今回のクルーズとGMとの協業による自動運転タクシーサービスを通じて、日本のお客様に新たな移動の価値を体験いただき、人々の移動の質を高め、移動の喜びを環境負荷ゼロで、さらにより安全に提供します。これは、先進モビリティ社会の実現に向けた大きな一歩です。この新しい価値創出の実現にむけ、クルーズとGMと邁進してまいります」と話している。
これまでの車同様の“走りの楽しみ”を継承しそれを現代に昇華させたスポーツモデルとともに、車自体ではなく車内で快適に自分の好きなことをやることに価値を見いだす“移動体験”に特化した車も発表された本イベント。「車での移動」をどうとらえるか。特に後者は、“タイパ”を重んじる現代の人々に向け、大きな需要があるといえそう。今回発表のなかったメーカーも含め今後どうなっていくのか、注視したい。
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2023/11/08