• ORICON MUSIC(オリコンミュージック)
  • ドラマ&映画(by オリコンニュース)
  • アニメ&ゲーム(by オリコンニュース)
  • eltha(エルザ by オリコンニュース)
ORICON NEWS

特別な体験で得る感動を軸にした「ホスピタリティプログラム」 ぴあが提案する新たな観戦スタイル

 観戦券に上質な飲食やエンタテイメントを組み合わせ、特別な体験を得られる高品質な商品、ホスピタリティプログラム。国内では「ラグビーワールドカップ2019」で初めて本格的に導入されて以降、新たな観戦スタイルとして広がりつつある。チケット販売大手ぴあは今年、集客エンタテインメント業界における同市場に参入。5月20日に東京・国立競技場において行われた「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 プレーオフトーナメント決勝」を皮切りに、日本代表選手も所属する欧州の強豪サッカーチーム、セルティックFCのジャパンツアー(2試合)や、マンチェスター・シティFCを迎えた「明治安田Jリーグワールドチャレンジ2023(JWC)」など、海外チームの招聘試合を中心に、ホスピタリティプログラムを販売している。

「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 プレーオフトーナメント決勝」表彰式

「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 プレーオフトーナメント決勝」表彰式

写真ページを見る

【写真】その他の写真を見る


■日本でも徐々に利用が広がりつつあるホスピタリティプログラム 国際大会では収入の核に

 特別席で観戦し、試合前後にラグジュアリーなサービスを受けられると聞くと、招待者やスポンサー対象の限定的なサービスのように感じるが、こういった観戦スタイルは、国際大会をはじめとする大規模な大会において、欧米を中心にすでに広く普及しているという。企業等にとって取引先とのより良い関係を構築する場として活用されており、欧米ではその価値が認識されているからだ。ぴあでホスピタリティプログラムのプランニングを手掛けるPIA DAIMANI Hospitality Experience Corporation(PDHX)Business Planning部長・田中啓太氏は次のように説明する。

「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 プレーオフトーナメント決勝」ホスピタリティラウンジ

「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 プレーオフトーナメント決勝」ホスピタリティラウンジ

写真ページを見る

「19年のラグビーワールドカップでは180万枚のチケットを販売し、389億円の収益がありました。比べてホスピタリティプログラムは6万枚で100億円の売上でした。それもあり、国際大会では収入の核として、まずはここから考え始めることが一般的になっています」

 割り当てられる席数は会場全体の1〜2割程度だが、その収益はチケット収入の大きな割合を占める。そうすると、一般販売されるチケット価格も抑えることができるため、より広い層が観戦を楽しめるという側面もある。代表的な存在である「フォーミュラ1 パドッククラブ」を筆頭に、欧米では長い歴史があるホスピタリティプログラムだが、アジアでの浸透度合いが低かったのにはいくつか理由があるという。1つは、サービスを提供する設備が整っていないこと、もう1つは大規模な国際大会がアジアであまり行われてこなかったことだ。

 海外のスタジアム・アリーナには、ホスピタリティのためのさまざまな施設が整備されているが、国内ではそういった施設を備えた会場は少ない。しかし近年では、北海道日本ハムファイターズの本拠地である「エスコンフィールドHOKKAIDO」(北海道北広島市)や、今年「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」が開催された「沖縄アリーナ」など、ホスピタリティプログラムを組み込んだ設計のある会場が徐々に増えつつある。

 来年24年には「パリオリンピック」の開催、そして国内では、25年に「世界陸上競技選手権大会」、「大阪万博」、26年には「アジア競技大会」、27年には「花博」と一大イベントが目白押しだ。この1〜2年で、体験や理解が広がり、設備の改修にもドライブがかかっていくのでは、と田中氏は期待している。

■快適な滞在に加え特別な体験で得る感動も提供 ぴあならではのプログラム

「木下グループジャパンオープンテニスチャンピオンシップス2023」オンコート写真撮影

「木下グループジャパンオープンテニスチャンピオンシップス2023」オンコート写真撮影

写真ページを見る

 海外では快適な滞在に重きが置かれているホスピタリティプログラムだが、ぴあでは、欧米で実績のあるスタイルをそのまま輸入するのではなく、日本独自にカスタマイズしたホスピタリティプログラムを提供したいと考えている。それが特別な体験によって得られる感動だ。これまでに実施した内容で、手応えのあったアクティビティは何だったのか。

「まずはゲスト(選手)と触れ合える特別な体験ですね。8月に行った『名古屋グランパス対アルビレックス新潟戦』で10年ぶりにグランパスの試合に来場したストイコビッチさんと交流できる観戦プランを販売しました。1人当たり30万円の商品でしたが、募集数の倍以上の申し込みとなり抽選を行うほどの人気でした。もう1つは、普段入れない場所に入れるという体験です。“選手入場の見送り”や、ピッチに入ることができる“ピッチウォーク”なども特別感があると好評です」

 現在、東京・有明コロシアムで開催中の「木下グループジャパンオープンテニスチャンピオンシップス2023」(〜22日)では、テニス界に深い関りを持つ石黒賢氏や松岡修造氏、国枝慎吾氏といったゲストが日替わりでラウンジに登場してトークショーを行い、サプライズで出場選手の登場も予定されている。また、普段は入れないバックステージツアーや試合前のコイントス、コート入場時に選手とともに入場できる、といった特別な体験も提供されている。

「テニスで本格的にホスピタリティプログラムを提供するのは初めてです。ラグビーやサッカーは1試合に向けて、1日を楽しむという時間の過ごし方ですが、テニスは1日3試合を観戦できて滞在時間が長いので、ゆったりとゴージャスに楽しめるよう工夫し、前菜、メイン、デザートという形のコース料理を用意しました。そういう意味で、これまで実施したラグビーやサッカーとは、ひと味違った楽しみ方ができると思います」

「フォーラムエイト・ラリージャパン2022」表彰式の模様 (C)WRC Promoter GmbH

「フォーラムエイト・ラリージャパン2022」表彰式の模様 (C)WRC Promoter GmbH

写真ページを見る

 11月16日〜19日には、世界最高峰の「WRC(世界ラリー選手権)」の日本ラウンド「フォーラムエイト・ラリージャパン2023」が、愛知県と岐阜県をまたいで開催される。競技区間となる山村区間のスペシャルステージに加え、今回はラリーカーを整備するサービスパーク会場となる豊田スタジアム内に特設コースが設けられ、迫力あるラリー競技が楽しめる内容になっている。販売されるホスピタリティプログラムの中には、レジェンド・ドライバーであるペター・ソルベルグ氏が参加するものもあり、特別な体験ができるほか、サービスパークを各チームの広報がツアーし、ドライバーやメカニックをより間近に見ることができるプランも準備されているという。

「コンテンツホルダーに近い立ち位置の利点を活かして、ぴあだから提供できる特別な体験で得る感動を、ホスピタリティプログラムの軸にしていきたいと考えています。お客さまの表情を見ていて、私たちのやるべきところはそこだと確信しました。快適なご滞在の品質を担保したうえで、私たちは“特別な体験”を盛り上げていきたいと考えています」(PIA DAIMANI Hospitality Experience Co. (PDHX)・野崎匠剛氏)

■特別な時間を共有する価値は今後いっそう高まる ホスピタリティプログラムの可能性

『名古屋グランパス対アルビレックス新潟戦』ベンチで記念撮影

『名古屋グランパス対アルビレックス新潟戦』ベンチで記念撮影

写真ページを見る

 欧米では、ホスピタリティプログラムの利用は、前述したように企業によるビジネスユースが盛んだが、プライベートでの利用も増えているという。国内でも、基本的にはビジネスユースでの利用が多いが、その内容もまだまだ発展の余地があると田中氏は考えている。普段は忙しくてなかなかゆっくり話せない人を招き、ゆったりした時間を共に過ごしながら、コミュニケーションを深めていく。

「ホスピタリティプログラムの説明をすると、そういう場所欲しいよねって言う話はよく出ますが、交際接待費としてなかなか支払える金額ではないため、ちゅうちょされる方も多い。そういう方たちに向けて、スポンサーとまではいかなくても、例えばその部屋を企業のロゴで仕立てるなどしてブランディングして、企業のお客さまを招くなど、企業ユースに向けた作り方とお金の出し方を僕らも提案しなければならないと思っています」(田中氏)

 その一方で、今回の「ラグビーワールドカップ2023フランス大会」に出かけた田中氏は、現地で、ぴあと業務資本提携したDAIMANI Holding AG(本社 スイス・チューリッヒ) のホスピタリティプログラムを購入して観戦する日本人グループに出会い、プライベートでの利用が増えていることも実感したという。日本流の新たな観戦スタイルがどのように定着していくのか、今後もぴあの挑戦を注視していきたい。

文・葛城博子

関連写真

  • 「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 プレーオフトーナメント決勝」表彰式
  • 「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 プレーオフトーナメント決勝」ホスピタリティラウンジ
  • 「木下グループジャパンオープンテニスチャンピオンシップス2023」オンコート写真撮影
  • 「フォーラムエイト・ラリージャパン2022」表彰式の模様 (C)WRC Promoter GmbH
  • 『名古屋グランパス対アルビレックス新潟戦』ベンチで記念撮影
  • 『名古屋グランパス対アルビレックス新潟戦』ストイコビッチ氏によるトークイベント
  • 『名古屋グランパス対アルビレックス新潟戦』ホスピタリティプログラム記念グッズ
  • 「木下グループジャパンオープンテニスチャンピオンシップス2023」コートエンド前列席で観戦
  • 「木下グループジャパンオープンテニスチャンピオンシップス2023」ホスピタリティタウンジ
  • 「フォーラムエイト・ラリージャパン2022」の模様 (C)WRC Promoter GmbH
  • 「フォーラムエイト・ラリージャパン2022」山間地SSもホスピタリティエリアで快適観戦 提供:ラリージャパン2023実行委員会
  • 「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 プレーオフトーナメント決勝」ホスピタリティエリア専用エリア入場パス

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

 を検索