韓国で開催された「第28回釜山国際映画祭」(10月4日〜13日)のニューカレンツ部門に選出された映画『福田村事件』(英題:SEPTEMBER 1923)が、13日に行われた授賞式で、ニューカレンツ賞(ニューカレンツ部門の最優秀作品賞)を受賞した。
ちょうど100年前の1923年9月1日に発生した関東大震災の後、千葉県福田村で起こった、行商団9人が地震後の混乱の中で殺された事件の実話に基づいた劇映画。
ニューカレンツ部門は、アジアの新人監督(1〜2作目が対象)が参加するコンペティション。監督を務めた森達也は、『A』『A2』、そして『i 新聞記者ドキュメント』といったドキュメンタリー作品を手掛けてきたが、本作で初めて劇映画の監督に挑戦した。
授賞式で森監督は「21年前にこの事件を知ってから、何とか作品にしたいとテレビ局や映画会社に働きかけたけれど、結果的にはすべてダメでした。でも3年前に今のチームと出会い、多くの方からクラウドファンディングで資金協力をしてもらい、さらには素晴らしい俳優たちも参加してくれて、ようやく映画にすることができました。この映画の重要なポイントは、当時の大日本帝国と、植民地化されていた朝鮮です。その二つの国で公開することができ、多くの人に観てもらっている。とても幸せです。ありがとうございます」と、スピーチでこれまでを振り返り、喜びを語った。
同映画は、9月1日より公開され、10月12日までの観客動員数は15万人超えの15万1051人、興行収入は2億円超え(2億255万6542円)を記録。これまで133劇場で上映されている。同映画祭で上映される以前より、韓国内での関心も高かったようで、会期中、3回あった上映は、いずれも大盛況。森監督が上映後のQ&Aに参加した9日と11日はどちらも満席となった。
Q&Aでは比較的若い観客から手が挙がり、映画製作過程についての質問を投げかけられると、統括プロデュ―サーの小林三四郎氏は「関東大虐殺100周年の2023年9月公開を目指して3〜4年前から動いていたが、本作に賛同し援助をしてくれる会社と出会うことは困難だった」といい、「クラウドファンディングを通じて資金を集め2400人以上の方が支援をしてくださり、3500万円以上集まった。これは歴代映画関連クラウドファンディングで最も多い募金額で、この支援者の方々がいてくれたから、その後本作に支援をしてくださる会社が増え、今を迎えられた」と答えた。
森監督は「人は失敗と挫折を繰り返しながら成長します。それを忘れたり、忘れたふりをして自分の成功だけを覚え続ける人がいたら、その人がどうなるか想像してみてください。いまの日本は失敗と挫折は完全に忘れて、成功した経験だけを覚えています。本来であれば教育やメディア、そして映画も、どんな失敗と挫折をしたのか、加害行為を犯したのか、負の歴史をしっかりと見てもらえればと思っています」と、不幸だった歴史に直面するというのは韓国にも、日本にも重要なことだとして、今後の韓国での劇場上映への強い期待の言葉を残した。
今回の受賞を受けて、主演の井浦新、田中麗奈からも祝福のコメントが届いている。
■井浦新のコメント
この作品が立ち上がった最初、俳優部は私ひとりだけでした。多様な考え方があるので、もしかしたらキャストが集まらないかもしれない、撮影までたどり着けないかもしれない、不安はありましたが動き出したら猛者たちが集う素晴らしい組が出来上がりました。しかし、やはり撮影は過酷で、各部魂を擦り減らし生きている実感を味わいながら皆んなで夢中になって、無事にとはいかないけれどなんとか撮り終えることができました。
今では全国のミニシアターで満席が続き、ご好評をいただけてるだけでも、それだけでも充分ありがたく光栄な事なのに、作品がこのような賞を受賞する事ができ、大変うれしく思います。 この作品に関わって下さった方々、観て下さった方々、選んで下さった方々に、心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。
■田中麗奈のコメント
最初にこの朗報を聞いた時、うれしさと同時に驚きもありました。それは韓国の方にこの作品がどのように受け止めていただけるのか、、。少し不安もあったからです。ですが、映画という芸術の世界できっと伝わるはずだという希望を抱き、淡い期待も持っていたのも本音です。
この作品は、大正時代、朝鮮の方々が日本に移り住み踏ん張って暮らしている中、関東大震災という未曾有の事態での混乱の後に起きた出来事。この事実を、韓国の方と共有出来たこと。どんな意見だとしても、私はそれがとても価値のある事だと思います。
一人の俳優として、この映画に参加できたことを誇りに思います。これからも、私たちは映画というフィールドを通して何かを起こせる。そう実感できた、大きな受賞だと思います。釜山からの素晴らしいお知らせをありがとうございました。
ちょうど100年前の1923年9月1日に発生した関東大震災の後、千葉県福田村で起こった、行商団9人が地震後の混乱の中で殺された事件の実話に基づいた劇映画。
ニューカレンツ部門は、アジアの新人監督(1〜2作目が対象)が参加するコンペティション。監督を務めた森達也は、『A』『A2』、そして『i 新聞記者ドキュメント』といったドキュメンタリー作品を手掛けてきたが、本作で初めて劇映画の監督に挑戦した。
授賞式で森監督は「21年前にこの事件を知ってから、何とか作品にしたいとテレビ局や映画会社に働きかけたけれど、結果的にはすべてダメでした。でも3年前に今のチームと出会い、多くの方からクラウドファンディングで資金協力をしてもらい、さらには素晴らしい俳優たちも参加してくれて、ようやく映画にすることができました。この映画の重要なポイントは、当時の大日本帝国と、植民地化されていた朝鮮です。その二つの国で公開することができ、多くの人に観てもらっている。とても幸せです。ありがとうございます」と、スピーチでこれまでを振り返り、喜びを語った。
Q&Aでは比較的若い観客から手が挙がり、映画製作過程についての質問を投げかけられると、統括プロデュ―サーの小林三四郎氏は「関東大虐殺100周年の2023年9月公開を目指して3〜4年前から動いていたが、本作に賛同し援助をしてくれる会社と出会うことは困難だった」といい、「クラウドファンディングを通じて資金を集め2400人以上の方が支援をしてくださり、3500万円以上集まった。これは歴代映画関連クラウドファンディングで最も多い募金額で、この支援者の方々がいてくれたから、その後本作に支援をしてくださる会社が増え、今を迎えられた」と答えた。
森監督は「人は失敗と挫折を繰り返しながら成長します。それを忘れたり、忘れたふりをして自分の成功だけを覚え続ける人がいたら、その人がどうなるか想像してみてください。いまの日本は失敗と挫折は完全に忘れて、成功した経験だけを覚えています。本来であれば教育やメディア、そして映画も、どんな失敗と挫折をしたのか、加害行為を犯したのか、負の歴史をしっかりと見てもらえればと思っています」と、不幸だった歴史に直面するというのは韓国にも、日本にも重要なことだとして、今後の韓国での劇場上映への強い期待の言葉を残した。
今回の受賞を受けて、主演の井浦新、田中麗奈からも祝福のコメントが届いている。
■井浦新のコメント
この作品が立ち上がった最初、俳優部は私ひとりだけでした。多様な考え方があるので、もしかしたらキャストが集まらないかもしれない、撮影までたどり着けないかもしれない、不安はありましたが動き出したら猛者たちが集う素晴らしい組が出来上がりました。しかし、やはり撮影は過酷で、各部魂を擦り減らし生きている実感を味わいながら皆んなで夢中になって、無事にとはいかないけれどなんとか撮り終えることができました。
今では全国のミニシアターで満席が続き、ご好評をいただけてるだけでも、それだけでも充分ありがたく光栄な事なのに、作品がこのような賞を受賞する事ができ、大変うれしく思います。 この作品に関わって下さった方々、観て下さった方々、選んで下さった方々に、心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。
■田中麗奈のコメント
最初にこの朗報を聞いた時、うれしさと同時に驚きもありました。それは韓国の方にこの作品がどのように受け止めていただけるのか、、。少し不安もあったからです。ですが、映画という芸術の世界できっと伝わるはずだという希望を抱き、淡い期待も持っていたのも本音です。
この作品は、大正時代、朝鮮の方々が日本に移り住み踏ん張って暮らしている中、関東大震災という未曾有の事態での混乱の後に起きた出来事。この事実を、韓国の方と共有出来たこと。どんな意見だとしても、私はそれがとても価値のある事だと思います。
一人の俳優として、この映画に参加できたことを誇りに思います。これからも、私たちは映画というフィールドを通して何かを起こせる。そう実感できた、大きな受賞だと思います。釜山からの素晴らしいお知らせをありがとうございました。
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2023/10/13