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濱口竜介監督、ベルリンに続いてベネチアでも“銀”の快挙 “金”への意欲は「少しもない」

 イタリアで開催された「第80回ベネチア国際映画祭」(8月30日〜9月9日)で最高賞・金獅子賞に次ぐ“銀獅子賞”審査員大賞を受賞した映画『悪は存在しない』(2024年公開予定)の濱口竜介監督のコメントが到着。今回、日本映画から唯一メインコンペティション部門に選出された同映画。現地時間9日に行われた授賞式には、濱口監督と主演を務めた大美賀均が登壇した。

「第80回べネチア国際映画祭」銀獅子賞(審査員大賞)のトロフィーを手にする濱口竜介監督(右)と主演の大美賀均

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 授賞式で濱口監督は「本当にありがとうございます。このような素晴らしい賞をいただけるとは、この企画が始まった時は思いもよりませんでした。音楽の担当でもありこの企画の発案者でもある石橋英子さんに感謝をしたいと思います」と切り出した。

 今回の映画は、『ドライブ・マイ・カー』(2021年)で初タッグを組んだ濱口監督と石橋の共同企画となっている。石橋がライブパフォーマンスのための映像を濱口に依頼したところ、濱口は音楽ライブ用の映像を制作する過程で作り上げたのが、106分の長編劇映画『悪は存在しない』だった。

 続けて濱口監督は「彼女の音楽が、私を今まで体験したことがないところへ導いてくれました、そして主演の大美賀均さん、そこで(客席を指差し)カメラを構えている撮影の北川喜雄さん、この3人で脚本を書く前に一緒にドライブをして、薪割りをして、この映画をどのようなものにしようかと考えていました。この旅をしながらここまで来られてうれしく思っています。そしてキャスト、スタッフ全ての力があってこのような素晴らしい賞をいただけたと思ってます」と、映画に携わった人すべてを称えた。

 大美賀は「私からは一言だけ。石橋英子さん!獲りました。ありがとうございました」と授賞式に立ち会えなかった石橋にメッセージを送った。

「第80回べネチア国際映画祭」授賞式後の公式カンファレンスの様子

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 授賞式後の公式カンファレンスではタイトルについて質問され、濱口監督は「まず、石橋英子さんの音楽にどのような映像をつけるか?というお題をいただきました。その音楽に合うモチーフを探して自然を撮ることになりました。自然に向き合っている時にふと浮かんだのが『悪は存在しない』という言葉だった。自然の中に悪意を見出すことは難しく、一方でこの映画全体として本当に悪がないということを表現しているかというとそうではなくて、それはわからないと思います。そこには自然だけがあるわけではないからです」と返答。

 また、制作体制についての質問には、「この映画はアートハウス系の映画でかつ非常に小規模のチームで作られました。小規模で自由に作った映画がこのように評価を受けるということは、映画制作の見方そのものを変えるきっかけになるのではないかとは思います」と、答えた。

「第80回べネチア国際映画祭」銀獅子賞(審査員大賞)のトロフィーを手にする濱口竜介監督(右)と主演の大美賀均

「第80回べネチア国際映画祭」銀獅子賞(審査員大賞)のトロフィーを手にする濱口竜介監督(右)と主演の大美賀均

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 その後、囲み取材で改めて受賞した心境を聞かれ、濱口監督は「本当に素晴らしい賞をいただいて信じられない気持ちです。企画を始めた当初は、海のものとも山のものともつかないような企画ではあったので、ここまでたどり着けたことも素敵だと思いますし、それは本当に関わってくださった皆さん、特に発案者でもある石橋英子さんの力はとても大きいと思います。そして、キャストスタッフの皆さんの力があったおかげで、ようやくこういう結果に結実するようなそういう映画ができました」と授賞式のスピーチと同じことを繰り返し、壇上では「胸がいっぱいになった感じがした」と明かした。

 大美賀は「先ほど濱口監督がお話されていましたが、すごく小さなチームから始まりました。濱口監督、撮影の北川喜雄さんと自分と3人でシナハン(=ロケハンの前の脚本を書くために現地を回ること)に回っていたんですが、そこからスタッフが徐々に増えていき、撮り終わった頃には、本当にこんなにちゃんと撮るなんて思ってもみなかったです。その頃の想像よりはるかにすごいところまで連れてきていただいてありがとうございます。またスタッフさんはじめ、キャストの皆さん、現地で協力してくれた方々に本当に感謝しています」と話していた。

 濱口監督は『偶然と想像』で「第71回ベルリン国際映画祭」(2021年)銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞したことがあり、今回は“銀獅子賞”で、銀(準優勝)が続いており、金(最高賞)への意欲を聞かれると、「そういう思いは、本当に少しもないです(笑)。そもそもこうやってコンペに選ばれるとも思ってなかったですし、こうやって賞をいただくことも思ってもみなかったので。そういう気持ちもそもそもないですね。それが正直なところです。自分たちにとっては一番いいものをいただいたという感じです」と、謙虚に受賞を喜んでいた。

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