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推しの著者に会いに行っちゃおう 100回読むよりずっと記憶に残って学べる「本との付き合い方」

 「本を読んでも、すぐに内容を忘れてしまう」「せっかく読書をしても、記憶に残っていない」「すごくおもしろかったのに、少し時間がたつと内容が思い出せない」。「読んだのに覚えてない」という悩みに対し、精神科医である樺沢紫苑氏が脳科学的な裏付けをもとに「記憶に残す、どんどん頭がよくなる読書術」をまとめた書籍『読書脳』から、一部抜粋、再構成して掲載する。

『読書脳』の著者 樺沢紫苑氏

『読書脳』の著者 樺沢紫苑氏

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■著者に会いに行って、好きになる

本をたくさん読んでいくと、必ず好きな著者、お気に入りの著者ができるはずです。そんな「好きな著者」ができたなら、著者に会いに行ってほしいと思います。

例えばその著者が登壇するセミナーや講演会に参加するといいでしょう。新刊の発売直後は、多くの著者が「新刊発売記念講演会」などを開催しています。小説家は別として、ビジネス書の作家の場合、多くの方が講演活動を行っています。

有名な著者の場合は参加費が高いこともありますが、書店と提携して行われる場合などは、「本を購入すれば無料」という講演会もたくさんあります。その著者の公式ホームページをチェックすれば、そうした講演会情報は、簡単に得られます。

ではなぜ、著者に直接会いに行くといいのでしょうか? それは、直接会うことによって、その人の書いた本の内容が、スポンジに水が染み込むように、自分の中に浸透するからです。

コミュニケーションには、「言語的コミュニケーション」と「非言語的コミュニケーション」があります。表情、視線、まなざし、姿勢、雰囲気、動作などは全て非言語的コミュニケーションに含まれます。

仮に、その人と言葉を交わさずとも、その人の前にいるだけで、非言語的な多くのメッセージを受けとることができるのです。言葉にはならない、言葉を超えた理解。心と心の対話……。直接会うことで、そうした非言語的対話が可能になるのです。

本で文字として書き切れなかった非言語的メッセージを受けとることで、本の内容を何倍も深く理解できるようになります。

そして、単に理解できるだけでなく、それは何倍も記憶に残ります。実際、私もよく著者仲間の出版記念講演会に参加しますが、講演で聞いた話は、5年たっても忘れません。

「百聞は一見にしかず」ということわざがありますが、本を100回読むよりも、著者に1回会ったほうが、より生き生きとした、生の情報が得られるのです。

そして何より重要なのが、講演で話を聞くことで、すなわち著者と会うことで、実際に「著者の人となり」が理解できるということです。

「人となり」がわかると、なぜその著者がその本を書いたのか、あるいは、どういう「思い」でその本を書いたのか、といった本を読むだけではわからないことを、直感的に理解することができるのです。

会う前と比べて、その本の内容を圧倒的に深いレベルで理解し、自分のものにすることができます。いわば著者の生の声で本の解説をされるわけですから。

そして、その著者をより「好き」になるはずです。

この「著者に会いに行って、好きになる」というのは、その後もその著者の本を読むたびに、記憶増強効果を発揮してくれるはずです。なぜならば、「好き」「楽しい」は、脳を刺激し、記憶に残りやすくするからです。

おそらく、あなたも「大好きな著者」に関しては、その著者の本を全て議論できる水準で読み込んでいるのではないでしょうか? 「好きな著者」が「大好きな著者」になることで、その後もその著者の新刊を手にするたびに、よりワクワクする。よりたくさんのドーパミンが出て、より楽しく、より記憶に残るようになるのです。

著者を自分のメンターにする

好きな著者に会いに行こうというのが、「百聞は一会にしかず読書術」です。「それって、読書術じゃないじゃないか」というツッコミも入りそうですが、「読書」を「本を読む」ことだけに規定すると、学びの幅が物すごく狭くなってしまいます。

「読書」というのは、インプットの入り口であり、その著者からの学びの入り口でもあります。

1冊おもしろい本を見つけたら、その著者の他の本を読んでみて、著者の経歴や人となりを知り、その人の考え方を全て吸収し、講演やセミナーに参加して、直接会って、直接学ぶのが、最高の学び、総合的な学びだと思います。

本を読むことに端を発し、著者と会い、リアルに学ぶというのは、「学び」として連続している。ですから、本をきっかけに著者と会うこともまた、読書の楽しみであり、読書術といっていいでしょう。

好きな本をたくさん読み、講演会に参加して著者に実際に会う中で、「自分もそうなりたい」「自分もこんな人になりたい」という敬意が生まれてくる。そうなると、「好きな著者」からあなたの「メンター」になっているかもしれません。

「そうなりたい」という憧れや敬意を持ってメンターに何度も会うと、メンターの言葉や行動が自分に染み込んで、実際に自分もメンターに近づいていきます。

それは心理学でいうところの「モデリング」です。私たちは、「そうなりたいと思う人」に尊敬の念を抱きますが、それだけで、「モデリング」が、無意識のうちに発動します。

自分が尊敬する人の考え方や行動、その他全てをまねることで、いつのまにか学んでしまう。これが「モデリング」です。赤ちゃんが、お母さんやお父さんの言葉や動作、一挙手一投足をまねるのも、「モデリング」です。

尊敬する人の本を読むだけでも「モデリング」は起こりますが、実際に「会う」ことによって、その「モデリング」の効果は、何十倍にも高まるのです。

■私のメンター、栗本薫さんに会いに行った!

『読書脳』の著者 樺沢紫苑氏

『読書脳』の著者 樺沢紫苑氏

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私を読書好きに変えた本が、栗本薫さんの『グイン・サーガ』シリーズで、そのときから、栗本薫さんは私のメンターとなりました。

「自分もこんな文章を書けるようになりたい!」「自分も栗本薫さんのように、年に何冊も本を出せるようになりたい!」と。

『グイン・サーガ』には、毎回「あとがき」が書かれており、彼女の近況や赤裸々な思いが自己開示されていて、私はこれを大変楽しみにしていました。また執筆や創作の秘密なども書かれていて、作家・栗本薫の仕事のスタイルや生き様までもが自分にインストールされていったわけです。今、私が作家として本を出しているのは、栗本薫さんの影響なしでは考えられません。

「一度でいいから、栗本薫さんに直接会いたい!」とずっと思っていましたが、私は長年北海道に住んでいましたので、そのチャンスはありませんでした。2004年から3年間、アメリカシカゴに留学した私は、その後「作家になろう!」と一念発起し、2007年に帰国してから、出版のチャンスが多い東京に住むようになりました。

私がアメリカから帰国した数ヶ月後のことです。横浜で開催される世界SF大会で、栗本薫さんのトークセッションがあるという情報を得たのです。「何という絶好のチャンス、これは行くしかない!」ということで、会いに行きました。

彼女が『グイン・サーガ』の作家として公の場に出ることは滅多にありません。そのトークセッションも、これほど大規模なものははじめてとのことでした。

最前列に座り、彼女の話に耳を傾けます。

はじめてお会いした栗本薫さんは、私のイメージ通りの人でした。「あとがき」の栗本薫、そのものがそこに存在していました。「あとがき」で書かれていた語調そのままで、やさしく語りかける栗本薫さん。

『グイン・サーガ』の創作の秘密についてもたくさん聞けて、夢のような時間を過ごしました。トークセッション終了直後、2ショット写真もとらせていただき、サインもいただき、言葉を交わすこともできました。

ちょうどその頃は、私が作家活動を本格的に始めようと思い立った時期でもありました。
憧れの作家と出会い、言葉を交わしたことで「栗本薫さんのような作家になりたい」という思いをさらに圧倒的に強めたのでした。

それから、わずかに数ヶ月後のこと。彼女は膵臓(すいぞう)がんとなり、闘病生活に入ったことが、『グイン・サーガ』の「あとがき」で語られました。何という、衝撃。もう、『グイン・サーガ』は読めなくなるのか……。

それから2年後に彼女は亡くなりましたが、横浜の世界SF大会が彼女が公の場に出た最後の機会となったのでした。

あなたが尊敬するメンターに会えるチャンスがあるのなら、万難を排して会いに行きましょう。大物になればなるほど、会えるチャンスは滅多にあるものではありません。私の栗本薫さんとの出会いのように、本当に「一生に一度のチャンス」ということもあり得ます。

「会う」ための「絶好のチャンス」を逃してはいけません。

■著者:樺沢紫苑プロフィール
精神科医、作家。1965年札幌生まれ。札幌医科大学医学部卒。2004年から米国シカゴのイリノイ大学精神科に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信によるメンタル疾患の予防」をビジョンとし、YouTube(46万人)、メールマガジン(12万人)など累計100万フォロワーに情報発信をしている。著書45冊、累計発行部数230万部のベストセラー作家。シリーズ累計90万部の『アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)をはじめ、『神・時間術』(大和書房)、『ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)、『言語化の魔力』(幻冬舎)など話題書多数。読書については本書が唯一の書籍である。

『読書脳』書影

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精神科医・樺沢紫苑の著作
『読書脳』

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  1. 1. 「読んだのに覚えてない」悩みを解決 脳科学的に裏付けされた“本当の読書”で記憶と学びを最大化
  2. 2. 「おもしろそう!」と思った本はすぐに読む もったいないと言える“脳科学的な根拠”
  3. 3. 推しの著者に会いに行っちゃおう 100回読むよりずっと記憶に残って学べる「本との付き合い方」
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