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川口春奈・目黒蓮主演『silent』音のない世界で“想い”を伝える仕掛けと演出

 2022年10月の放送開始と同時にまたたく間に話題を集め、動画配信サービス「TVer」で歴代最高再生数を記録したドラマ「silent」。川口春奈目黒蓮が演じる高校時代の恋人同士が8年後に再会し、悩み苦しみながら再び恋に落ちるまでを描いたラブストーリーが、8月25日にBlu-ray&DVD BOXとなって発売された。ロケ地となった小田急線の世田谷代田駅周辺や渋谷の「TOWER RECORDS SHIBUYA」などへファンが「聖地巡礼」に訪れ、SNSでの「考察」が恋愛ドラマでは珍しいほどの盛り上がりを見せるなど、大きな社会現象ともなった作品だ。

音のない世界で想と“出会い直す”青羽紬(川口春奈)(C)フジテレビジョン

音のない世界で想と“出会い直す”青羽紬(川口春奈)(C)フジテレビジョン

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■音を失った恋人と再会したヒロインの恋の行方を丁寧に描き出す

 高校時代、誰もが羨むカップルだった青羽紬(川口)と佐倉想(目黒)。しかし、想は一方的に紬に別れを告げ、湊斗(鈴鹿央士)ら友だちの前からも姿を消した。8年後、上京してレコードショップで働く紬は、想の親友だった湊斗と交際中。しかしある日、思いがけず想と再会してしまう。手話で自分の思いをぶちまける想に何も伝えることができない紬だが、湊斗の勧めもあって手話を習得。紬を傷つけたくない一心で彼女と別れた想は、手話で語りかけてくる紬に心を動かされるが…。

 紬の目線で過去から現在までの3人の関係を描く1話に続き、2話は想の目線で、3話は湊斗の目線でストーリーが展開。真っ直ぐで切ない3人それぞれの恋を序盤でしっかり描いた上で、物語は3人を取り巻く人々の関係へと広がりを見せていく。想に手話を教えたろう者の奈々(夏帆)、紬の手話の先生の春尾(風間俊介)、紬の弟の光(板垣李光人)と想の妹の萌(桜田ひより)。物語は11話かけて、それぞれの登場人物が幸せへの一歩を踏み出すまでを、丁寧に綴っていった。

■切なさをより深化させた 恋する2人に恋する2人

 拙い手話で自分の思いを真っ直ぐ想に届けようとする紬と、彼女を幸せにしたいと思い悩む想。2人が「聞こえない」という壁をどう乗り越え、新たな関係を築いていくのかという恋のてん末も見応えがあるが、この物語を誰もが共感できるものにしたのは、2人に想いを寄せる湊斗と奈々の存在だろう。

 想の親友で、ずっと前から紬に恋をし続けてきた湊斗。彼は、想がろう者になったという現実から逃げることなく、手話を学ぶ紬を複雑な思いで応援し続ける。そんな湊斗が一番恐れているのは、紬が自分と別れ想を選ぶことではない。自分の「声」が想に二度と届かないという事実を、受け入れることができない自分自身だ。紬のことも、想のことも同じくらい大切に思っている湊斗が下す決断と、その後、想と再び友情を築いていく様子は、紬と想の恋と同じくらい切ない余韻を残す。

 また、友達のいない想の一番の理解者で、彼に想いを寄せ続けてきた奈々が、紬に「一番」の座を奪われ、なりふり構わず自分を守ろうとする姿も、どこまでも切ない。生まれたときから耳が聞こえない奈々と、中途失聴の想、そして聴者の紬。「聞こえない」という共通点で結ばれている自分と想は、紬とは「違う」と思いたがる奈々だったが、彼女自身も想から「自分とは違う」と言われて傷ついた過去を持つ。奈々の存在は、聴者もろう者も「同じ」という少々乱暴な「正しさ」に物語を陥らせることなく、「聞こえる」「聞こえない」という「違い」に限らず、立場が変われば見え方も感じ方も変わるという「当たり前」を提示し続けた。

■連ドラ初挑戦の新人脚本家が放つ ストレートで胸を打つセリフの数々

 連続ドラマとして楽しめるのはもちろんだが、1話1話が1編の短編映画のような趣を持つのも、本作の魅力だ。たとえば、紬の手話の先生であり湊斗の飲み友達でもある春尾が、時折見せる諦めのような表情の秘密が明らかになる8話。聴者とろう者の理解を深めようと日々尽力している春尾だが、一方で、聴者とろう者は決してわかり合えないと悟っているようでもある。彼には一体何があったのか…。春尾と奈々の過去の接点が明かされるこの回で、春尾役の風間俊介と奈々役の夏帆は屈託のない笑顔を見せる過去と、癒せない心の傷を持つ現在の表情を見事に演じきり、それぞれのキャラクターに一層の深みを与えた。

 脚本を担当したのは、21年の「フジテレビヤングシナリオ大賞」を受賞した新人・生方美久。助産師から脚本家に転身するという異色の経歴を持つ彼女にとって、本作は初めての連続ドラマの脚本にしてオリジナル作品という大挑戦となった。生方の脚本は、過去と現在をシームレスに繋ぎながら、それぞれのキャラクターの「今」の思いを丁寧に描出していく。

 たとえば、1話で想が紬に向かって放つ「うるさい」というセリフ。冒頭の高校生のシーンでは紬への思いで溢れている言葉が、聴覚を失って再会したシーンでは正反対の意味で響く。恋人、友達、親子など様々な関係性を描く中で、生方の脚本は「耳が聞こえる/聞こえないに関係なく、分かり合えないことは絶対にある」というテーマを、ストレートに紡ぎ出していった。音楽という共通の趣味を持つ紬と想を結びつけ、また隔てることにもなるアイテム=イヤホンや、奈々の「恋への憧れ」を象徴する青いハンドバッグといった小道具の使い方も巧みで、本編ではカットされた未公開シーンのシナリオなどを収録した『silentシナリオブック完全版』(扶桑社)は発売前に5度の重版を重ね、2023/1/9付 オリコン週間“本”ランキング(集計期間:2022/12/26〜2023/1/1)のBOOKランキングで2位、ジャンル別「文芸書」およびジャンル別「テレビ番組関連本」で1位を獲得した。

 タイトル通り「音」を最小限に抑えた演出も印象的だが、本編で抑えに抑えた「音」が一気に弾けるのが、毎話のエンディングを飾った主題歌、Official髭男dismによる「Subtitle」だ。紬と想のもどかしさに寄り添った歌詞と、ドラマティックな展開の曲調が多くのファンに愛され、オリコン週間デジタルシングル(単曲)ランキングで10週連続1位(22/11/14付〜23/1/16付)、ストリーミングランキングでは17週連続1位(22/10/31付〜23/2/20付)となり、10週連続「デジタル2冠」を達成。ドラマのために書き下ろされた楽曲へのお礼のように、サビの歌詞にあるキーワードが最終回で回収されるのだが、その見事な仕掛けは是非本編で確認してほしい。

 8月25日に発売されるBlu-ray&DVD BOXは、全11話のディレクターズカット版のほか、特典映像も封入。特典映像には、クランクインからクランクアップまでの撮影の裏側と、川口春奈、目黒蓮、鈴鹿央士らキャストが作品に込めた思いなどを語ったインタビューが収録されている。

文・須藤美紀

Blu-ray&DVD-BOX『silent -ディレクターズカット版-』
全11話/2023年8月25日発売

『silent -ディレクターズカット版- Blu-ray BOX』

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■『silent -ディレクターズカット版- DVD-BOX』
品番:TCED-6787/価格28,600円(税込)
7枚組(本編ディスク6枚+特典ディスク1枚)
■『silent -ディレクターズカット版- Blu-ray BOX』
品番:TCBD-1387/価格35,035円(税込)
4枚組(本編ディスク3枚+特典ディスク1枚)

『silent -ディレクターズカット版- Blu-ray BOX』

『silent -ディレクターズカット版- Blu-ray BOX』

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【特典映像】
■Making of “silent”
撮影の裏側、キャストインタビュー、クランクイン、オールアップなど、未公開映像を含むオリジナルメイキング映像
【封入特典】
■フォトブック(60P)
「silent」の世界を味わえるスペシャルフォトブック。ボリューム満載の計60ページ
■佐倉想 作文「言葉」(レプリカ)
劇中登場の“想の作文「言葉」”の全文をレプリカで封入

【キャスト】
川口春奈 目黒 蓮(Snow Man)
鈴鹿央士 桜田ひより 板垣李光人
/ 夏帆 / 風間俊介 篠原涼子

【スタッフ】
脚本:生方美久
音楽:得田真裕
主題歌:「Subtitle」Official髭男dism(ポニーキャニオン/IRORI Records)
プロデュース:村瀬 健
演出:風間太樹 高野 舞 品田俊介
制作協力:AOI Pro.
制作著作:フジテレビ

発売元:フジテレビジョン
販売元:TCエンタテインメント
(C)フジテレビジョン

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