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濱口竜介監督最新作『悪は存在しない』ベネチア国際映画祭コンペ出品

 映画『ドライブ・マイ・カー』(2021年)の監督・濱口竜介と、音楽・石橋英子の共同企画による新作長編劇映画『悪は存在しない』が、イタリアでの「第80回ヴェネチア国際映画祭」コンペティション部門に正式出品されることが決定。現地でワールドプレミア上映されることになった。世界中で話題になった『ドライブ・マイ・カー』以降、濱口監督にとっては長編映画最新作となる。

濱口竜介(左)監督最新作『悪は存在しない』第80回べネチア国際映画祭出品決定(コンペティション部門ワールドプレミア上映)右は音楽を担当した石橋英子

濱口竜介(左)監督最新作『悪は存在しない』第80回べネチア国際映画祭出品決定(コンペティション部門ワールドプレミア上映)右は音楽を担当した石橋英子

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 はじまりは、石橋がライブパフォーマンスのための映像を濱口に依頼したことで、濱口はこれを快諾。2人による「音楽×映像」プロジェクトがスタートした。その音楽ライブ用の映像を制作する過程で、106分の長編劇映画『悪は存在しない』が完成した。

 本作と共通の映像素材からつくられた石橋の音楽ライブ用サイレント映画『GIFT(ギフト)』は、10月にベルギーで開催されるゲント国際映画祭でお披露目される予定。以降、石橋によるライブ・パフォーマンスとともに世界各地での上映が予定されている。

 今回のベネチア国際映画祭は、審査員長に『ラ・ラ・ランド』や『バビロン』のデイミアン・チャゼル監督、昨年度の同映画祭で銀獅子賞と新人監督賞を受賞した『サントメール ある被告』のアリス・ディオップ監督、マーティン・スコセッシが製作総指揮を務めた『チャンブラにて』のジョナス・カルピニャーノ監督を迎え、現地時間8月30日〜9月9日に開催される。

 ワールドプレミア上映及び記者会見には、濱口、石橋、出演の大美賀均(おおみか・ひとし)、西川玲(にしかわ・りょう)、小坂竜士(こさか・りゅうじ)、渋谷采郁(しぶたに・あやか)らが参加予定となっている。

■「第80回ベネチア国際映画祭」出品についてのコメント

▼濱口竜介監督
 『悪は存在しない』は元々、石橋英子さんからのライブパフォーマンス用映像依頼を受けたことをきっかけに制作が始まりました。石橋さんとデモ的な音楽と映像をやり取りするうちに、「ミュージックビデオのようなものは自分には撮れない、普段やっているように映画として演出しないと石橋さんの音楽に太刀打ちできない」という思いが固まり、物語映画の脚本を書き下ろしました。その物語映画のフッテージからライブ用映像を作ろうと考えたのです。

 3月に長野・東京での撮影を終えて、非常に強い手応えを感じました。出演者一人ひとりの声やありようが、私が想像していたものを遥かに越えていたからです。結果として『悪は存在しない』は、石橋さんの美しい劇伴音楽とともに一本の独立した映画として完成しました。今はべネチア国際映画祭が、この奇妙な成り立ちの映画の魅力を受け止めて、コンペティション部門に選出してくれたことを心からうれしく思っています。この場を借りて、キャスト・スタッフの素晴らしい仕事にも感謝します。

 また共通の映像素材から生まれた『GIFT』は、『ドライブ・マイ・カー』で石橋英子さんに「ディスカバリー・オブ・ザ・イヤー」賞を授与したベルギーのゲント国際映画祭で、石橋英子さんのライブパフォーマンスとともにお披露目されます。私自身も、石橋さんの一ファンとして、この夢のような機会を心から楽しみにしています。

▼石橋英子
 2年前、海外のプロモーターの方から、”映像と一緒にライブをやってみる気はないか?”という漠然とした提案をいただきました。

 私はジャンルや演奏をする場所にこだわりをあまり持たずに活動してきたこともあり、そのアイデアが自分を面白い場所に連れて行ってくれるのではないかと、これも漠然とした単純な期待から本気で考えてみることにしました。

 多くの素晴らしい実験映像作品、アート映像作品と言われている作品もありますし、おそらく最初にプロモーターが提案したのはこういった作品を作っている作家をイメージしたのではないかと推測しますが、私は一緒にお仕事して楽しかった人にお願いしたいと思い、まだ授賞式ラッシュなどでお忙しかった濱口さんにだめもとでご相談させていただきました。『ドライブ・マイ・カー』でご一緒させていただいた経験がとても素晴らしかったからです。

 物語を紡ぐ才能の持ち主であると同時に、「東北記録映画三部作」のドキュメンタリー作品等からみられるように音楽的詩的な作り方をされていて、あらゆる制限から自由を渇望しつつも思いやりと洞察力にあふれた濱口さんとなら何か一緒に面白いことができるのではないかと思いました。

 素晴らしい作品になることは最初からわかっていてもなお、脚本や映像を共有していただくにつれ、これは凄いことになってきたぞ、、と私が当初考えた事を遥かに超えた作品が出来上がって行くのを目の当たりにし、その事に驚きながら音楽を作りました。今もまだ驚いています。

 そして一つの独立した映画作品になり、こうしてべネチア国際映画祭に出品されることをとても嬉しく思います。”悪は存在しない”、ライブ用サイレント映画『GIFT』が今後どんな旅をしていくのか、とても楽しみです。

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