俳優のトム・クルーズの来日が急きょ取りやめになった。今月17日と18日にトムが主演する映画『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(7月21日公開)のPRイベントが行われる予定だったが、アメリカの俳優約16万人が加入する労働組合(全米俳優組合=SAG-AFTRA)が現地時間14日午前0時(日本時間14日午後4時)よりストライキに入ったことを受けて中止となった。アメリカで、何が起きているのか?
■俳優たちは何を求めている?
現地時間13日、SAG-AFTRAは、6月30日から7月12日まで行われていた映画会社などの団体(全米映画テレビ制作者協会=AMPTP※)との交渉が失敗に終わったことを受け、 43年ぶりにストライキに入ると発表。その後、実行に移され、14日にはニューヨークやロサンゼルスで抗議活動も行われた。
SAG-AFTRA側が求めているのは、動画配信サービスの急速な拡大に伴う報酬制度の見直し(視聴者数に基づく報酬の引き上げなど)や、生成AIを通じた肖像の不正使用に対する規制づくりなど。
1万1000人余りが所属するアメリカ脚本家組合(WGA)も今年5月から同じような要求を掲げたストライキを行っており、2つの組合が同時にストを行うのは1960年以来、63年ぶりとなった。
一方、AMPTP側は同13日に、「報酬の増額、年金と健康保険料の上限の大幅引き上げ、オーディション保護、シリーズオプション期間の短縮、俳優のデジタル上の肖像を保護する画期的なAI提案などの我々の提案を却下した」と声明を出し、SAG-AFTRAが交渉を延長しないことを「非常に遺憾に思う」と述べ、「この業界に生計を依存している何千人もの人々の経済的困難をさらに深刻化させる方向に導いた」と付け加えた。
※=Amazon、Apple、ディズニー、NBCユニバーサル、Netflix、パラマウント、ソニー・ピクチャーズ、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーなど
■ストライキによる影響は?
SAG-AFTRAはストライキ中、組合員の俳優に対し、カメラの前での演技や、歌ったり踊ったりする仕事を行わないことや、声の出演、撮影のための航空機の操縦、人形操演、パフォーマンスキャプチャやモーションキャプチャの作業などを行わないよう求めている。
これでは、テレビ番組や映画の制作を停止せざるを得ない。マーベルの『デッドプール3』、リドリー・スコットの『グラディエーター』の続編、トム・クルーズの『ミッション:インポッシブル』8作目など、ハリウッドの映画や動画配信のドラマなどの撮影の延期、制作の一時停止が続くことになりそうだ。
さらにストライキ中には、AMPTPとの契約に基づいて行われたプロジェクトの宣伝のために、コンベンション、ファンエキスポ、フェスティバルへの出演、インタビューを受けるなどのプロモーション活動も行わないよう求めている。これを受けて、トム・クルーズの来日も中止となってしまった。8月11日公開の『バービー』では、マーゴット・ロビーらの来日が予定されていたが、こちらも影響が出ることは避けられない見込みだ。
今月19日から開催されるサンディエゴ・コミック・コンベンション(コミコン)に、マーベル・スタジオをはじめ、ソニーやユニバーサル、配信系のHBO、Netflixなどが不参加を表明したのは、脚本家のストライキにより、数々の新作が進行していないことが主たる理由だが、これに俳優たちのストライキも加わったとしたら、イベント側にとっては大打撃。コミコンに集まる人たちをあてにしていたサンディエゴのレストラン、宿泊施設など地域経済にも影響はおよび、何より、楽しみにしていたファンはがっかりだろう。
8月30日に開幕するイタリア・ベネチア国際映画祭(7月25日にラインナップ発表予定)の代表は「映像業界全体の利益のために、両当事者が速やかに合意に達することを望んでいる」とコメント。カナダ・トロント国際映画祭(9月7日開幕)など秋のフェスティバルシーズンを控え、影響・懸念は世界規模だ。
■日本への影響は?
昨年、トム・クルーズが来日してプロモーションした『トップガン マーヴェリック』は、日本でも大ヒット(累計興行収入135.7億円)し、コロナ禍以降、厳しい状況にあった映画業界が活気を取り戻す起爆剤となった。今回のストライキによるトムの来日中止を惜しむ声はファンだけでなく、映画業界およびその周辺の関係者からもあがっている。
また、SAG-AFTRAが訴える「ビジネスモデルそのものが動画配信やデジタル、AIで変わってしまった。いま断固たる態度をとらなければ私たちの仕事は機械と大企業に奪われてしまう危機」も、対岸の火事ではない。
■俳優たちは何を求めている?
現地時間13日、SAG-AFTRAは、6月30日から7月12日まで行われていた映画会社などの団体(全米映画テレビ制作者協会=AMPTP※)との交渉が失敗に終わったことを受け、 43年ぶりにストライキに入ると発表。その後、実行に移され、14日にはニューヨークやロサンゼルスで抗議活動も行われた。
1万1000人余りが所属するアメリカ脚本家組合(WGA)も今年5月から同じような要求を掲げたストライキを行っており、2つの組合が同時にストを行うのは1960年以来、63年ぶりとなった。
一方、AMPTP側は同13日に、「報酬の増額、年金と健康保険料の上限の大幅引き上げ、オーディション保護、シリーズオプション期間の短縮、俳優のデジタル上の肖像を保護する画期的なAI提案などの我々の提案を却下した」と声明を出し、SAG-AFTRAが交渉を延長しないことを「非常に遺憾に思う」と述べ、「この業界に生計を依存している何千人もの人々の経済的困難をさらに深刻化させる方向に導いた」と付け加えた。
※=Amazon、Apple、ディズニー、NBCユニバーサル、Netflix、パラマウント、ソニー・ピクチャーズ、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーなど
■ストライキによる影響は?
SAG-AFTRAはストライキ中、組合員の俳優に対し、カメラの前での演技や、歌ったり踊ったりする仕事を行わないことや、声の出演、撮影のための航空機の操縦、人形操演、パフォーマンスキャプチャやモーションキャプチャの作業などを行わないよう求めている。
これでは、テレビ番組や映画の制作を停止せざるを得ない。マーベルの『デッドプール3』、リドリー・スコットの『グラディエーター』の続編、トム・クルーズの『ミッション:インポッシブル』8作目など、ハリウッドの映画や動画配信のドラマなどの撮影の延期、制作の一時停止が続くことになりそうだ。
さらにストライキ中には、AMPTPとの契約に基づいて行われたプロジェクトの宣伝のために、コンベンション、ファンエキスポ、フェスティバルへの出演、インタビューを受けるなどのプロモーション活動も行わないよう求めている。これを受けて、トム・クルーズの来日も中止となってしまった。8月11日公開の『バービー』では、マーゴット・ロビーらの来日が予定されていたが、こちらも影響が出ることは避けられない見込みだ。
今月19日から開催されるサンディエゴ・コミック・コンベンション(コミコン)に、マーベル・スタジオをはじめ、ソニーやユニバーサル、配信系のHBO、Netflixなどが不参加を表明したのは、脚本家のストライキにより、数々の新作が進行していないことが主たる理由だが、これに俳優たちのストライキも加わったとしたら、イベント側にとっては大打撃。コミコンに集まる人たちをあてにしていたサンディエゴのレストラン、宿泊施設など地域経済にも影響はおよび、何より、楽しみにしていたファンはがっかりだろう。
8月30日に開幕するイタリア・ベネチア国際映画祭(7月25日にラインナップ発表予定)の代表は「映像業界全体の利益のために、両当事者が速やかに合意に達することを望んでいる」とコメント。カナダ・トロント国際映画祭(9月7日開幕)など秋のフェスティバルシーズンを控え、影響・懸念は世界規模だ。
■日本への影響は?
昨年、トム・クルーズが来日してプロモーションした『トップガン マーヴェリック』は、日本でも大ヒット(累計興行収入135.7億円)し、コロナ禍以降、厳しい状況にあった映画業界が活気を取り戻す起爆剤となった。今回のストライキによるトムの来日中止を惜しむ声はファンだけでなく、映画業界およびその周辺の関係者からもあがっている。
また、SAG-AFTRAが訴える「ビジネスモデルそのものが動画配信やデジタル、AIで変わってしまった。いま断固たる態度をとらなければ私たちの仕事は機械と大企業に奪われてしまう危機」も、対岸の火事ではない。
2023/07/16