『第47回 講談社漫画賞贈呈式』が5日、都内のホテルで開催された。今回は、少年部門を『シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜』（以下、シャンフロ）、少女部門を『あの子の子ども』、総合部門を『スキップとローファー』（以下、スキロー）が受賞した。

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　『シャンフロ』（漫画：不二涼介氏）は、小説投稿サイト「小説家になろう」の同名ライトノベル（作：硬梨菜氏）を原作とした作品で、現在『週刊少年マガジン』（講談社）で連載中。“クソゲー”をこよなく愛する男・陽務楽郎が、総プレイヤー数3000万人の“神ゲー”『シャングリラ・フロンティア』に挑むというゲーム冒険譚。今年10月からはテレビアニメ化も決定している。

　受賞した硬梨菜氏は「歴史ある賞をいただけたことに、まずは感謝を言わせてください。夢なんじゃないかと思っていましたが、この場に立って実感がわき、覚悟が決まったというか」とし、「書き始めた頃はこの作品で上がっていこうというつもりはなく、ただ自分の物語や世界観を表現するために始めた」と告白。そして「それを見つけて、漫画にしませんかと誘ってくれた編集部の担当さん、そして不二さん、たくさんの人のおかげでいただけた賞です」と感謝した。

　不二氏は「この賞はほとんど硬梨菜さんの賞。アニメ、ゲーム、そして漫画賞…とすごい船に乗せていただいたなと思っております」と感謝。続けて「今回の受賞で、もともとこの作品のファンである編集部の担当さんからの“圧”が少しは軽減すればいいなと思っています。とはいえ、原稿の締切が明日なので、きょうのところは早く帰りたい。ゆっくりできるのはもう少し先になります」と笑いを誘った。

　『あの子の子ども』（作：蒼井まもる氏）は、高校生の妊娠をテーマとした作品で、現在『別冊フレンド』（講談社）で連載中。福（さち）は幼なじみの宝（たから）と交際中の女子高生。ある日、福は自分の身体に異変が起きていることに気付く。実は数日前に避妊に失敗していた2人は…。周囲の大人たちと2人の葛藤を描いたヒューマンドラマ。

　蒼井氏は「私はずっと少女漫画のトリコで、恋に恋い焦がれた少女でした。それが一児の母となり、恋愛に身を投じる子どもたちにも目を向けるようになりました」と同作を描いた経緯を説明。そして「若齢妊娠に取り組むさまざまな職業の方にお話を聞きました。この賞をいただけたことで、改めて協力してくださったみなさんにも恥じないよう、私なりにこのテーマに最後まで向き合っていこうと思いました」と決意した。

　『スキロー』（作：高松美咲氏）は、現在『月刊アフタヌーン』（講談社）で連載中のスクールライフコメディー。過疎地から東京の高偏差値高校に首席入学した主人公・岩倉美津未は、勉強はできるけれど距離感が独特でちょっとズレている存在。その天然っぷりにクラスメイトたちは柔らかに感化され、十人十色の個性がいつしか重なっていく…というストーリー。今年4月よりテレビアニメが放送された。

　高松氏は「少女漫画の文脈にありつつ、青春群像劇になっている。さまざまなキャラクターを描くため、私だけの視点では足りず、現役の学生や友人など、いろいろな方に話を聞いた」と取材も回顧。続けて今年のアニメ化などにも感謝を述べつつ、「読者のみなさまが『日々は喪失と後悔の繰り返しなんじゃないか』と思ってしまったときに、この作品が友だちのように側で寄り添う存在であればうれしいです」としみじみ語り、「今回の賞を期待と激励の証と受け止めて、気を引き締めて完結まで一話一話描いていきたい」と目を輝かせた。