大河ドラマ『どうする家康』、TBS系連続ドラマ『王様に捧ぐ薬指』への出演に続き、映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』で、高橋一生演じる主人公・岸辺露伴の若かりし頃を演じている、人気グループ・なにわ男子の長尾謙杜(20)。「漫画原作の実写化作品に出演することがひとつの目標」と語っていた長尾にとって「大好き」だという漫画家・荒木飛呂彦氏の作品だけに、感慨もひとしおだという。長尾の胸の内を聞いた。
■大好きな作品ゆえの不安や怖さを感じた
2020年にドラマ化された『岸辺露伴は動かない』(NHK)は、荒木飛呂彦氏の人気コミック『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する漫画家・岸辺露伴を主人公にしたスピンオフシリーズの実写化作品。3期に渡りドラマ化されると大きな反響を呼び、荒木が読み切りとして描き下ろしていたエピソード『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が劇場版として製作されることになった。本作では、露伴が青春時代に経験した出来事が物語に大きな影響を与えており、その若き日の露伴を長尾が演じている。
長尾は「僕は元々、荒木先生の『ジョジョの奇妙な冒険』が大好きな作品なんです」と語る。「絵のタッチや、作品に出てくる登場人物の顔や衣裳がすごく独特。もちろん物語もとてもおもしろく、日本のカルチャーを絡めて異様な空気感を漂わせているところなどに惹かれていました」と、その理由を説明する。
大好きな作品の実写化へのオファーが来たときは「僕は漫画の実写化作品に出演することがひとつの目標でした。それが叶う喜びと、さらに大好きな荒木先生の作品ということで…最初は信じられないくらいうれしくて…感激でした。非常に光栄です」と大きな喜びを感じたというが、一方で「好きだからこその不安や怖さもありました」と役を全うすることへの不安もあった。
渡辺一貴監督からは「一生さんを意識しないでほしい」と声を掛けられたという長尾。自らイメージする露伴像をしっかり持ちながら、渡辺監督と話をしていくなかで、最初に抱いていた不安は徐々に解消されていった。「露伴はジョジョシリーズの第4部に出てくるキャラクターなので、原作を読み返したのですが、青年期がたくさん描かれているわけではないんです。小さくても手掛かりになるものを見つけて、深く思考を巡らせ、膨らませていきました」と“自分なりの露伴”を監督、スタッフとともに丁寧に作り上げていったという。
難しかったのは、これまで長尾が演じたことがないタイプのキャラクターだったこと。「僕はどちらかというと優しさにあふれた人物や、気の弱いキャラクターを演じることが多かったんですよね。その癖が出てしまっていたのか、渡辺監督からは『もっと堂々としていてほしい』と言われることも多かったです。最初は難しかったですね」。
■露伴の生き方に感銘「憧れであり尊敬できる人物」
露伴を演じてみて、自分のパーソナルな部分に影響を受けることもあった。「露伴ってすごくフットワークが軽いですよね。あれだけの有名漫画家なのに、手を抜かずにリアルを追求するために時間を使う。そういう部分を見習いたいです」と憧れであり尊敬できる人物として露伴を捉えているという。
「露伴のセリフのなかで『指摘されたからには意見を受け入れる必要がある』という言葉があるのですが、あれだけプライドが高くて自分を信じている人間でも、受け入れるところはしっかりと耳を傾ける。人の意見を聞くことって大切なんだなと、露伴の言葉の中で改めて思いました」と学ぶことが多い人物であることを明かしていた。
また、劇中対峙することが多かった謎の女性・奈々瀬役の木村文乃に対しては「役柄についてはあまり深く話せないのですが…」とネタバレを気にしつつ、「露伴が惹かれる女性ということで、2人のシーンには注目していただきたいですね」と期待を煽る。
■デビュー当時は笑顔が苦手だった
長尾と言えば、なにわ男子のメンバーとして活動する一方、俳優活動も精力的に行っている。2023年は、本作以外にもTBSドラマ『王様に捧ぐ薬指』、大河ドラマ『どうする家康』など話題作への出演が続いている。
この状況に長尾は「自分でもびっくりしています」と笑顔を見せると「出演作品が発表されるたびに反響をいただき、とてもうれしいですし、僕が個人で作品に参加させていただくことで、グループにもつながればいいなという思いで活動しています」と語る。
「ひとつひとつ丁寧に」と作品に向き合う姿勢を述べた長尾。積み重ねることで、作品に向き合うアプローチ方法も選択肢が広がった。
「『HOMESTAY』(2022年・Amazon Prime Video)という映画では、シーンごとに監督とすごく長い時間お話をさせていただきながら撮影に挑みました。素敵な作品に出会って成長させていただいているなと感じます」と、振り返る。
「自分から“こうしたい”ということは言わない方だったのですが、『となりのチカラ』(2022年・テレビ朝日系)というドラマで脚本と演出を務めた遊川和彦さんから『もっと自分の思っていることを伝えた方がいい。君がBという意見で、監督がAという意見だったら、それが混じり合うことでCというアイデアが生まれるかもしれない』とアドバイスいただいたんです。しっかりコミュニケ―ションを取ることが作品にとって良いことなら積極的に関わっていきたいと思いましたね」。
その時々の気持ちを正直に表現する――長尾が目指す俳優像だという。「その瞬間、演じている人間になって、嘘のないように演じていきたい。そんな俳優になりたいです」。
長尾が演じた青年期の露伴は、かわいい女の子を描くのが苦手という漫画家としてのウィークポイントを持っている。長尾は「僕もデビューしてすぐは笑顔が苦手で『笑え、長尾!』とよく怒られていました。自分では頑張っていたつもりなんですけれどね」と苦笑いを浮かべると、「いまはしっかり笑えるようになりましたし、自分の明るさはひとつの武器になっていると思います」とキラキラの笑顔を見せる。
目標であった漫画実写化作品への出演と、それが大好きな荒木飛呂彦氏の作品という、2つの大きな喜びを感じることができた長尾。「もちろん運もあると思いますが、好きなものをより好きになることで、夢は叶っていくのかなと思います。俳優のお仕事が楽しいと感じている今、今後もしっかりと丁寧に取り組んでいきたいです」と未来に思いを馳せていた。
取材・文/磯部正和
写真/MitsuruYamazaki
■大好きな作品ゆえの不安や怖さを感じた
2020年にドラマ化された『岸辺露伴は動かない』(NHK)は、荒木飛呂彦氏の人気コミック『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する漫画家・岸辺露伴を主人公にしたスピンオフシリーズの実写化作品。3期に渡りドラマ化されると大きな反響を呼び、荒木が読み切りとして描き下ろしていたエピソード『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が劇場版として製作されることになった。本作では、露伴が青春時代に経験した出来事が物語に大きな影響を与えており、その若き日の露伴を長尾が演じている。
長尾は「僕は元々、荒木先生の『ジョジョの奇妙な冒険』が大好きな作品なんです」と語る。「絵のタッチや、作品に出てくる登場人物の顔や衣裳がすごく独特。もちろん物語もとてもおもしろく、日本のカルチャーを絡めて異様な空気感を漂わせているところなどに惹かれていました」と、その理由を説明する。
大好きな作品の実写化へのオファーが来たときは「僕は漫画の実写化作品に出演することがひとつの目標でした。それが叶う喜びと、さらに大好きな荒木先生の作品ということで…最初は信じられないくらいうれしくて…感激でした。非常に光栄です」と大きな喜びを感じたというが、一方で「好きだからこその不安や怖さもありました」と役を全うすることへの不安もあった。
渡辺一貴監督からは「一生さんを意識しないでほしい」と声を掛けられたという長尾。自らイメージする露伴像をしっかり持ちながら、渡辺監督と話をしていくなかで、最初に抱いていた不安は徐々に解消されていった。「露伴はジョジョシリーズの第4部に出てくるキャラクターなので、原作を読み返したのですが、青年期がたくさん描かれているわけではないんです。小さくても手掛かりになるものを見つけて、深く思考を巡らせ、膨らませていきました」と“自分なりの露伴”を監督、スタッフとともに丁寧に作り上げていったという。
難しかったのは、これまで長尾が演じたことがないタイプのキャラクターだったこと。「僕はどちらかというと優しさにあふれた人物や、気の弱いキャラクターを演じることが多かったんですよね。その癖が出てしまっていたのか、渡辺監督からは『もっと堂々としていてほしい』と言われることも多かったです。最初は難しかったですね」。
■露伴の生き方に感銘「憧れであり尊敬できる人物」
露伴を演じてみて、自分のパーソナルな部分に影響を受けることもあった。「露伴ってすごくフットワークが軽いですよね。あれだけの有名漫画家なのに、手を抜かずにリアルを追求するために時間を使う。そういう部分を見習いたいです」と憧れであり尊敬できる人物として露伴を捉えているという。
「露伴のセリフのなかで『指摘されたからには意見を受け入れる必要がある』という言葉があるのですが、あれだけプライドが高くて自分を信じている人間でも、受け入れるところはしっかりと耳を傾ける。人の意見を聞くことって大切なんだなと、露伴の言葉の中で改めて思いました」と学ぶことが多い人物であることを明かしていた。
また、劇中対峙することが多かった謎の女性・奈々瀬役の木村文乃に対しては「役柄についてはあまり深く話せないのですが…」とネタバレを気にしつつ、「露伴が惹かれる女性ということで、2人のシーンには注目していただきたいですね」と期待を煽る。
■デビュー当時は笑顔が苦手だった
長尾と言えば、なにわ男子のメンバーとして活動する一方、俳優活動も精力的に行っている。2023年は、本作以外にもTBSドラマ『王様に捧ぐ薬指』、大河ドラマ『どうする家康』など話題作への出演が続いている。
この状況に長尾は「自分でもびっくりしています」と笑顔を見せると「出演作品が発表されるたびに反響をいただき、とてもうれしいですし、僕が個人で作品に参加させていただくことで、グループにもつながればいいなという思いで活動しています」と語る。
「ひとつひとつ丁寧に」と作品に向き合う姿勢を述べた長尾。積み重ねることで、作品に向き合うアプローチ方法も選択肢が広がった。
「『HOMESTAY』(2022年・Amazon Prime Video)という映画では、シーンごとに監督とすごく長い時間お話をさせていただきながら撮影に挑みました。素敵な作品に出会って成長させていただいているなと感じます」と、振り返る。
「自分から“こうしたい”ということは言わない方だったのですが、『となりのチカラ』(2022年・テレビ朝日系)というドラマで脚本と演出を務めた遊川和彦さんから『もっと自分の思っていることを伝えた方がいい。君がBという意見で、監督がAという意見だったら、それが混じり合うことでCというアイデアが生まれるかもしれない』とアドバイスいただいたんです。しっかりコミュニケ―ションを取ることが作品にとって良いことなら積極的に関わっていきたいと思いましたね」。
その時々の気持ちを正直に表現する――長尾が目指す俳優像だという。「その瞬間、演じている人間になって、嘘のないように演じていきたい。そんな俳優になりたいです」。
長尾が演じた青年期の露伴は、かわいい女の子を描くのが苦手という漫画家としてのウィークポイントを持っている。長尾は「僕もデビューしてすぐは笑顔が苦手で『笑え、長尾!』とよく怒られていました。自分では頑張っていたつもりなんですけれどね」と苦笑いを浮かべると、「いまはしっかり笑えるようになりましたし、自分の明るさはひとつの武器になっていると思います」とキラキラの笑顔を見せる。
目標であった漫画実写化作品への出演と、それが大好きな荒木飛呂彦氏の作品という、2つの大きな喜びを感じることができた長尾。「もちろん運もあると思いますが、好きなものをより好きになることで、夢は叶っていくのかなと思います。俳優のお仕事が楽しいと感じている今、今後もしっかりと丁寧に取り組んでいきたいです」と未来に思いを馳せていた。
取材・文/磯部正和
写真/MitsuruYamazaki
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2023/05/23