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「絶対に手放さないこと」父との約束で倉庫に眠ったボロボロのオールドベンツ “復活プロジェクト”始動

 4月14日から16日にかけて、ヘリテージカーから最新のものまで“クルマ文化を愉しむ”をコンセプトに、千葉・幕張メッセで開催された『AUTOMOBILE COUNCIL 2023』(オートモビル カウンシル)。歴史を感じさせる個性豊かな車が揃う中、ひときわ目を引いたのが、今年初出展のマツシマホールディングスが展示した1965年式のメルセデス・ベンツ220SB(W111)だ。

レストアプロジェクトが始動した1965年式のメルセデス・ベンツ220SB(W111) 撮影/逢坂聡

レストアプロジェクトが始動した1965年式のメルセデス・ベンツ220SB(W111) 撮影/逢坂聡

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 メルセデス・ベンツSクラスの原型とも言われるこのW111が誕生したのは、1959年。アメリカ車に影響を受けたとされる後部形状から「フィンテール」の愛称がつけられ、縦目のヘッドライト、二重バンパーという個性的なキャラクターとともに、乗用車の衝突安全性に大きな改革をもたらしたフルモノコックのボディ構造でも注目を集めた。

 しかし当時の日本は、自動車の輸入制限がありW111は手の届かない存在。輸入が完全自由化されたのは、それから6年後の1965年のことだったが、それでも日本に輸入される数は限られ、お金があってもなかなか入手できない状態だった。

 そんななか貴重な1台を手に入れたのが、製本機器メーカー・ホリゾン創業者である堀八郎氏。現オーナーであり、同社社長である息子の堀英二郎氏にとって、W111は大学生の時にドライバーデビューを果たした最初の車。かつ「絶対に手放さないこと」と言い残した父との思い出が詰まった大切な車になったという。

 その後、乗らなくなってからは長いこと滋賀県北部の倉庫に眠っており、保存状態も決してよくないなかで、英二郎氏の「もう一度乗りたい」というたっての希望を受け、京都に本社を置くマツシマホールディングスが、レストアプロジェクトを始動。そこには、英二郎氏が大切に守り続けて来た父との約束と思い出、そして、70年近くにわたって新車・中古車の販売とメンテナンスを手掛けてきた同社の「ガレージに眠っている車を、街に戻したい」という熱い思いがあった。

「日本には『仕舞う』という文化がありますが、京都には、先人が大切にしてきた思い出の車などがたくさん眠っていると思います。そういった車をよみがえらせて、再び京都の街を走ってもらいたいと思っています。このプロジェクトは、その始まりともいえます。まだスタートしたばかりなので、これからこのベンツをどういう方向でレストアしていくのか、オーナーと相談しながら進めていきたいと思っています」(同社サービスアドバイザー 中嶋春桜氏)

 このW111が繋いだ親子の物語に導かれるレストアプロジェクトを契機に、同社では今後クラシックカーの事業を展開していくことを発表。これまでの輸入車・国産車10ブランドの正規ディーラーとしてのサービスに加え、クラシックカーの販売・メンテナンスおよびレストアを行っていくという。

「今後、電気自動車が増えていきますが、クラシックを求めるお客様は今も多いですし、所有者の方々からは、新車ディーラーでは断られるなどメンテナンスが厳しくなってきたというお声をたくさんいただいています。弊社はベンツの販売店になってから30年、技術の伝承も行ってきましたので、クラシックを愛する皆様の思いにお応えしていけたらと思っています」(同氏)

文/河上いつ子
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