俳優の沢村一樹がゲスト声優として参加した劇場版第26弾『名探偵コナン 黒鉄の魚影（くろがねのサブマリン）』が公開。灰原哀に黒ずくめの組織が迫るエピソードに、早くも話題沸騰となっている。『名探偵コナン』TVアニメシリーズが放送開始された1996年に俳優デビューして以来、沢村もまた数々の刑事・探偵ドラマに出演し、数えきれないほどの難事件を解決してきた。そんなミステリー慣れしている沢村が「アクションやスリル、犯人探しを描くミステリーとしても見応えがあって、エンタテインメントとして一級品」と本作を絶賛。「（興行収入）100億円を超える価値がある」と太鼓判を押す。

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――沢村さんが演じるのは、物語の舞台となるインターポールの海洋施設「パシフィック・ブイ」の局長・牧野洋輔。今回のオファーは「寝耳に水」とコメントされていましたね。

【沢村】そうなんですよ。家で息子たちが観ていた作品だったので。しかも、声優の仕事は2010年発売のゲームソフト『龍が如く4 伝説を継ぐもの』以来、約13年ぶりということもあって、プレッシャーが大きかったです。

――アフレコはいかがでしたか？

【沢村】すごく緊張しましたが、楽しかったです。監督とはこの作品の世界観の中での牧野の立ち位置を相談しながら演じました。初めて試写を観た時は、自分の声が聞えてくるのがなんだか不思議で、気になってしょうがなかったです。逆に、僕の方から皆さんに聞きたいです、「大丈夫でしたか？」って。

――完成披露試写会でコナン役の高山みなみさんは「牧野はとある新技術のテストを進める責任者として緊張感と焦燥感の中にいる人物。すごくぴったりで、すてきでした」と絶賛でした。

【沢村】いやぁ〜、プロの声優さんたちはすごいです。やっぱり声の仕事は難しい。ただアフレコのことを考えずに台本を読んだ時に思ったのは、“自分、ミステリー慣れてるな”って（笑）。光彦くんもいるし（笑）。何より、完成した作品を見て、“こんなに面白いの!?”という驚きがありました。元々子ども向けだと思ってたところがあったから、大人が夢中になるのも納得というか。光彦くんだけでなく、小五郎さんもいますし、阿笠博士やもちろんコナンくんもなじみがあるというか…。

――沢村さんといえばTBS系で放送された「内田康夫サスペンス 浅見光彦シリーズ」で2000年から12年にかけて浅見光彦役を演じてましたし、アガサ・クリスティ原作のドラマにも出演されてますね。刑事ドラマも重厚なシリアス系からコミカル系までいろいろ。1月期の『Get Ready！』（TBS系）は医療ものでしたが、沢村さんは次期警視総監候補の副総監にまで出世されてましたね。

【沢村】コナンくんに負けないくらい数々の事件を解決してきているので、ミステリーは任せてください（笑）。

――本作の脚本は、刑事ドラマの『相棒』や『科捜研の女』なども手がけている櫻井武晴さんなんです。劇場版名探偵コナンシリーズでは『絶海の探偵』（13年）から参加して6作目です。

【沢村】ダイナミックなアクションやスリル、犯人探しを描くミステリーとしても見応えがありますし、キュンキュンとするところもあって、いろいろな意味のドキドキが詰まった、エンタテインメントとして一級品だと思います。ミステリーやサスペンスは好きだけど、『名探偵コナン』はアニメだし、子ども向けだと思って触れてこなかったという人がまだまだたくさんいるんじゃないかな。そういう人たちが劇場に足を運んでくれるといいな、と思います。そのために、僕がゲスト声優に呼ばれたのかもしれない。

――沢村さん世代の客層を取り込めたら、劇場版シリーズ初の100億円突破は間違いなしだと思います。昨年4月に公開された劇場版第25弾『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』が興行収入97.8億円（※ハロウィン再会（リバイバル）上映含む）だったので。

【沢村】100億円を超える価値があると思います。超えてほしいな。トム・クルーズのスパイ・アクション映画みたいな作品を日本で作るのはなかなか難しいと思っていたけど、アニメだったら世界中の人が観て楽しめる作品を作れるんだな、と改めて思いました。ハリウッド超大作にも全然負けてないと思います。

――光彦以外に気になるキャラクターはいましたか？

【沢村】蘭ちゃんのアクションはすごかったですね。でも、今回はシェリー、灰原哀ちゃんかな。見た目は子どもですが、中身は洗練された大人の女性。凛々しさもあり、奥ゆかしさもあり、色っぽくもあり、すてきな女性だと思います。

――コアファン層ではないファン層に向けて、もう一押しすると？

【沢村】いろんなところに伏線があるので、1度観ただけでは見逃してしまっていることが多々あると思います。犯人が誰か、結末がわかっても2度、3度、何度でも観たくなる。それに、間違いなく今回の作品は最先端のアニメーション作品です。前作よりも1年分、いろいろなところで進化しているはず。世界に誇れる日本のアニメーション映画の最先端に触れてほしいです。コロナ禍が続いて映画館にしばらく行っていない、と言う人も多いと思いますが、やっぱり劇場で観る映画は、映像もすごいんですが、音がすごくいいんですよね。耳だけでなく、皮膚からも音を感じて、五感をフルに使って楽しんでもらいたいです。僕も試写室で1度観ただけなので映画館に観に行こうと思っています。気づかれて、「キャー」とか言ってもらえるかな？

――きっとモテモテだと思います！

■『名探偵コナン 黒鉄の魚影』

　東京・八丈島近海に建設された、世界中の警察が持つ防犯カメラを繋ぐための海洋施設「パシフィック・ブイ」。本格稼働に向けて、ヨーロッパの警察組織・ユーロポールが管轄するネットワークと接続するため、世界各国のエンジニアが集結。
そこでは顔認証システムを応用した、とある『新技術』のテストも進められていた―。

　一方、園子の招待で八丈島にホエールウォッチングに来ていたコナンたち少年探偵団。するとコナンのもとへ沖矢昴（赤井秀一）から、ユーロポールの職員がドイツでジンに殺害された、という一本の電話が。不穏に思ったコナンは「パシフィック・ブイ」の警備に向かっていた黒田兵衛たち警視庁関係者が乗る警備艇に忍び込み、施設内に潜入。すると、システム稼働に向け着々と準備が進められている施設内で、ひとりの女性エンジニアが黒ずくめの組織に誘拐される事件が発生…！

　さらに、彼女が持っていたある情報を記すUSBが組織の手に渡ってしまう…。海中で不気味に唸るスクリュー音。そして八丈島に宿泊していた灰原のもとにも、黒い影が忍び寄り…。