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押井守、アニメーションを語る場になれば 「第1回新潟国際アニメーション映画祭」

 カンヌ、東京、新潟の3都市同時中継記者会見を開いて発表された「第1回新潟国際アニメーション映画祭」が、3月17日より開催される。長編商業アニメーションにスポットを当てたコンペティション部門を設けたことが、ほかのアニメーション映画祭にない特徴の一つ。そのコンペティション部門の審査委員長を務める押井守氏が、本映画祭に抱いた希望とは?

「第1回新潟国際アニメーション映画祭」(3月17日〜22日に開催)コンペティション部門の審査委員長を務める押井守氏 (C)ORICON NewS inc.

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――今回、審査委員長を引き受けられたのはなぜですか?

【押井】そんな大げさなことでもなかったんだけれどさ、プロデューサー(ジェネラル・プロデューサー・真木太郎氏)とはつきあいも長くて、世話になったし、なんとなく断りづらかった(笑)。誰にでも断りづらい相手というのはいるものでしょう(笑)。映画祭の審査員はこれまでにも何度かやったことがあるんだけど、そんなに楽しいものでもないわけ。自分も現役の監督だから、現役の監督が、現役の監督の作品を審査するのってどうなのよ、と思うところもあるわけ。

――横浜で開催していた「シネマジャンクション」という映像コンペティションで、審査員をされていたことがありましたね。

【押井】それはアクション映画でショートムービーが対象だったから、自分とバッティングしていなかったらよかったの。アクション映画好きだし、活性化につながればいいな、と思ったから。今回は、長編商業アニメーションを対象にするというのを聞いて、心が動いた。

 アニメーション映画祭といえば、短編がほとんどなわけ。短編アニメなら、作家性の高い、多様性のある作品がたくさん集まるし。裏を返せば、短編しか作れないということでもあるわけ。やっぱりお金がかかるから。長編アニメを作るには資金が必要で、商業的にならざるを得ないし、絶対に利益を出さなければならない。誰でも作れるものではなかったんですよね。

 だけど、いま、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、中東、オセアニアまで、世界中でこれまでの歴史にない量の長編アニメーションが制作されるようになって、日本が先陣を切ってやるのはいいことだな、と思った。

 問題は作品を出してくれるか。やっぱり出す側にもメリットがあるから映画祭に参加するわけで、始まったばかりの映画祭で賞を取ったとして、どれくらい宣伝になるかもよくわからないし。私が審査委員長っていうのもさ、業界内で問題にならないかな?という懸念もあるわけ。この業界狭いから(笑)。すごく難しいことをやろうとしているのはわかるから、続くかどうかもわからないけど、自分にできることだったら協力するよ、という気持ちですね。

■アニメーションに携わっている人を顕彰する場に

「第1回新潟国際アニメーション映画祭」(3月17日〜22日に開催)コンペティション部門の審査委員長を務める押井守氏 (C)ORICON NewS inc.

「第1回新潟国際アニメーション映画祭」(3月17日〜22日に開催)コンペティション部門の審査委員長を務める押井守氏 (C)ORICON NewS inc.

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――昨年11月1日より作品を募集して、日本をはじめ、フランス、米国、アルジェリアなど世界15ヶ国から21作のエントリーがありました。選考委員たちによる審査の結果、10本の作品でコンペをすることになりました。「新潟国際アニメーション映画祭」に期待していることは?

【押井】アニメーションは、漫画もだけど、サブカルチャーって言われてきたじゃない、オタク文化とか。でもさ、もはやサブでもなんでもない堂々たるカルチャーだよね。全世界的に一般的なエンターテインメントになっている。そんな中で、日本のアニメーションはある種の独特の文化を作ってきたことは間違いない。それがちゃんと評価されたことってあるかな、と思うと、これもあんまりないな、と思ったんだよね。日本が作り出した文化なんだから、それに見合おうようなアニメーションに携わっている人を、「よくやりました」と顕彰する場にもなったらいいよね。

――それが【大川=蕗谷賞】ですね。第二次大戦後の日本のアニメーション文化の立上げに大きな役割を果たした、新潟出身でもある大川博と蕗谷虹児、二人の名を冠した【大川=蕗谷賞】を、『犬王』、『漁港の肉子ちゃん』、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』、『THE FIRST SLAM DUNK』、『劇場版 呪術廻戦 0』のスタッフに贈ることが発表されています。

【押井】国際映画祭のいいところは、世界から作品と監督や作り手たちが集まって、映画についていろいろ語り合えるところだと思うわけ。叩くか、けなすか、だけじゃなくて、「面白かった」「かっこよかった」「泣けた」ってだけじゃなくて、その作品の何が素晴らしかったのか、どういう視点で観たら面白かったのか、どういうところが残念だったのかを語ることが大事。

 僕は語られない映画は、映画にならないと思っているわけ。作られたフィルムやデータが映画なんじゃなくて、観た人が語ることによって作品は完成し、語られる限り映画は生き続ける。コンペティションをやる意義の半分は語ることであって、なぜこれをグランプリに推すのか語ることになるし、ほかの人が語ることにも耳を傾ける。そういうことから始めて、アニメーションの魅力を発信できたらと思います。
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「第1回新潟国際アニメーション映画祭」(3月17日〜22日に開催)

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 同映画祭は、コンペ部門のほか、招待作品を上映するイベント、近年の観るべき作品を集めた世界の潮流、作家・ムーブメントの再評価をするレトロスペクティブ、オールナイト上映など会期中は約50本の作品の上映を行う。

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  1. 1. 「第1回新潟国際アニメーション映画祭」3・17開幕 コンペ参加作品発表
  2. 2. 「第1回大川=蕗谷賞」『犬王』『漁港の肉子ちゃん』『鬼滅の刃』『SLAM DUNK』『呪術廻戦 0』スタッフが受賞
  3. 3. りんたろう監督の14年ぶり新作短編アニメ初上映決定 大友克洋がキャラクターデザインで参加
  4. 4. 大友克洋の実写映画『童夢』幻のパイロットフィルムの上映が決定
  5. 5. 「新潟国際アニメーション映画祭」渡辺信一郎監督&森田修平監督の2本がオープニング作品に決定
  6. 6. 押井守、アニメーションを語る場になれば 「第1回新潟国際アニメーション映画祭」
  7. 7. 「第1回新潟国際アニメーション映画祭」押井守審査委員長が総括「かなり画期的」
  8. 8. 『第2回新潟国際アニメーション映画祭』長編コンペ審査員決定
  9. 9. 「第2回新潟国際アニメーション映画祭」『かぐや姫の物語』『火垂るの墓』など高畑勲作品を特集上映
  10. 10. 「第2回新潟国際アニメーション映画祭」長編コンペのほか多岐にわたるプログラムを紹介
  11. 11. 片渕須直監督『つるばみ色のなぎ子たち』進捗、緻密な時代考証を経て脚本づくりへ
  12. 12. 片渕須直監督、東京国立博物館で講演会&最新作『つるばみ色のなぎ子たち』制作資料展を開催

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