『仮面ライダーギーツ』(日曜午前9時/テレビ朝日系)に出演中のイギリス人俳優トム・コンスタンタイン。子どもの頃から『仮面ライダー』や『スーパー戦隊』シリーズに憧れ、8年前に29歳で一念発起して来日。15年来の夢を叶えて、同作で“変身シーン”を演じた喜びのツイートは、Twitterのトレンド入りを果たした。幼少時代からの日本アニメオタクを自認する彼が、日本で俳優活動をスタートしてから4年。これまでの道のりを振り返りながら、外国人アクション俳優の現実を語った。
◆子どもの頃から日本アニメオタクだった
――『仮面ライダーギーツ』で鞍馬祢音(仮面ライダーナーゴ/星乃夢奈)を護衛するSPのジョン役を演じられていますが、彼も仮面ライダーであることが先日明かされました。その放送後のトムさんの「15年前、僕に日本語を学ぶきっかけをくれた作品に出演することができて、しかも、あの神聖な言葉を言うことができたなんて、本当に信じられない」というツイートがTwitterトレンド入りし、反響を呼びました。トムさんの『仮面ライダー』との出会いを教えてください。
【トム・コンスタンタイン】 僕はイギリス・ロンドンで生まれ育ちましたが、子どもの頃に日本のスーパー戦隊をベースにしたアメリカのテレビシリーズ『パワーレンジャー』にハマりました。そこから『機動戦士ガンダム』『ドラゴンボール』『美少女戦士セーラームーン』『ポケットモンスター』といった日本アニメが大好きなオタクになりました(笑)。
――イギリスでも、日本のアニメ番組が放送されていたのでしょうか?
【トム・コンスタンタイン】 当時、イギリスで日本アニメはほとんど放送されていませんでした。15年前にたまたま『仮面ライダー555』を観る機会があって、そこから『仮面ライダー』の大ファンになったんです。主人公がスーパーヒーローの『仮面ライダー』になる変身シーンにずっと憧れていました。
――日本語はアニメを観るために勉強したのですか?
【トム・コンスタンタイン】 そうです。日本に来る前にはレッスンを受けましたが、当時はアニメから独学で勉強しました。家族は皆サッカーが大好きですが、僕だけ全く興味がなくて、いつも日本のアニメを観ていました。好きが高じて大学時代には、日本アニメ部を設立しました。
◆ゲーム業界から転職で15年来の夢を実現 プレッシャーもあるけれど外国人ファン代表としての気持ちを胸に
――大学卒業後、イギリスでは俳優をしていたのですか?
【トム・コンスタンタイン】 大学卒業後はゲーム会社に就職して、ゲームデザイナーになりました。でも、ワーキングホリデービザを使って日本に行きたいとずっと思っていました。30歳までの年齢制限があるので、29歳の時に、思い切って仕事を辞めて日本に来ました。
――俳優活動は来日してからなのですね。
【トム・コンスタンタイン】 18歳までドラマスクールに参加して演技を学んでいて、その後も趣味で芝居は続けていました。でも、来日前は仕事としての俳優経験はありません。ボクシングと武道はやっていましたが、アクション俳優としての経験値は、ほぼゼロの状態でした。
――日本でいきなり俳優活動を始めたのでしょうか?
【トム・コンスタンタイン】 8年前に来日して、始めは業界経験のあるゲームの仕事がメインでした。コジマプロダクションのゲーム『デス・ストランディング』のローカライゼーションを手がけたりしています。俳優は副業になればいいと思ってエキストラの仕事から始めて、『パワーレンジャー』や『仮面ライダー』シリーズを手がける坂本浩一監督の撮影現場で、英語が得意なアクション俳優の方と知り合いになりました。そこから演技やアクションのレッスンを受けながら、人脈を広げていきました。
――日本で俳優活動を続けて出演作も増えるなか、ついに『仮面ライダーギーツ』で夢だった変身シーンを演じました。
【トム・コンスタンタイン】 東映撮影所で台本を受け取って、エレベーター前でチラっと読んだら、僕が演じるジョンも『仮面ライダー』のひとりで変身するシーンが書かれていて。「えっこれは現実?」と初めは何が起こっているのか理解できませんでした。それから周りに誰もいないことを確認して、思いっきりガッツポーズしました(笑)。
――家族や友人も喜んでくれたのでは?
【トム・コンスタンタイン】 友人たちに自慢したかったのですが、ジョンが『仮面ライダー』であることは明かされていなかったので、それから放送まで2ヵ月くらい誰にも話せなくて。でも、放送前日に「今週は大事だから絶対観て」と友人に連絡しました(笑)。オンエア後はスマホがずっと鳴りっぱなしで、皆すごいって驚いて、一緒に喜んでくれて。15年来の夢が現実になりました。
――世界中の『仮面ライダー』ファンの憧れや目標の存在になったのではないでしょうか。
【トム・コンスタンタイン】 放送後の反響は予想以上に大きかったです。SNSのフォロワーも増えました。ただ、まだまだ俳優として活躍しているわけではないので、注目されたり期待されたりすることは嬉しいのですが、同時にプレッシャーも感じています(笑)。“仮面ライダー外国人ファン”の代表としてこれからも頑張りたいです。
◆日本での外国人俳優は、役柄が少なく、役のタイプが限られること
――現在は『仮面ライダー』のほかにもドラマや映画に広く出演されています。転機はあったのでしょうか?
【トム・コンスタンタイン】 『牙狼-GARO- 神ノ牙-KAMINOKIBA-』(2018年)に出演させていただいて、そこから少しずつ仕事が増えていき、『仮面ライダー』や『スーパー戦隊』シリーズにつながりました。米津玄師さんの「KICKBACK」(2022年)のミュージックビデオにも出演させていただきましたが、その後もいろいろなお話をいただくことが増えています。
――日本で俳優活動をされているなかで、外国人であることの壁を感じることはありますか?
【トム・コンスタンタイン】 一番は言葉の壁です。求められる日本語能力のハードルが高いこと。それを超えると次は外国人の役が少ないことです。その役もほとんどがストーリーの本筋には関係がなく、セリフも一言二言だけの端役であることが多い。外国人の役柄があっても、ちょっと間の抜けたキャラクターだったり、コメディタッチのシーンの役回りになったり、という作品が多くを占めていることも感じます。
――多様性がうたわれる時代になり、ハリウッド映画では幅広い人種の枠が設けられるようになっています。日本の外国人役の枠に変化はありますか?
【トム・コンスタンタイン】 『仮面ライダーギーツ』では序盤から登場するキャラクターの2人が外国人であり、僕はそこに参加することができました。そういう意味では増えているのかもしれません。ただ、まだまだ変わっていく過程です。もっと多様性のある外国人のキャラクターがストーリーの中心に登場して、いろいろな外国人が出演する機会が増えると嬉しいです。
――日本語を話せる外国人のアクション俳優はどのくらいいるのでしょうか?
【トム・コンスタンタイン】 ちゃんとしたアクションができて、しっかりとした日本語を話せる外国人俳優はそれほど多くいない。顔や身体のビジュアルイメージさえ合えば、アクションはできなくても、本来はアクション俳優が必要な役に起用されるケースも多くあります。僕の仕事が増えるのはありがたいのですが、その後に続く人がたくさん出てきてほしい。それによってそういう役が増えていくのと同時に、よい作品がたくさん生まれていくことにつながるのではないでしょうか。
◆現在は、外国人アクション俳優の発掘や育成、マネジメントも
――2020年に外国人スタントマングループ「Rival Stunts」を設立し、代表を務めています。その背景にはそういった思いがあるのでしょうか?
【トム・コンスタンタイン】 ハリウッド映画『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』(2021年日本公開)の撮影が日本であり、そのときに出演していた外国人俳優で一緒にチームを作ろうという話になりました。そこからです。やはり個人よりグループで協力した方が、仕事の幅が広がります。先日はイギリス人の元軍人を講師に招いたガンアクション・レッスンを実施しましたが、外国人アクション俳優の発掘や育成、マネジメントを行っています。
――日本での俳優活動から伝えたいことはありますか?
【トム・コンスタンタイン】 夢と目標があって、そこに向かって不眠不休でがんばっていく熱量を持ち続けたから、僕は夢を実現できました。人はいつまででも成長できます。現状に満足せず、挑戦を続けていくことが大事です。それを感じていただけたら嬉しいです。
――次の目標や夢を教えてください。
【トム・コンスタンタイン】 たくさんあります。また新しい『仮面ライダー』に出演して変身したいですし、『スーパー戦隊』シリーズにも出たいです。僕は、昭和時代の顔出し幹部ような役をやってみたいです(笑)。何年経っても観客の心に残るような印象的な役柄を演じることが夢ですね。
――日本での俳優活動はこれからも続けていくのでしょうか?
【トム・コンスタンタイン】 日本が好きで、これからもずっと日本に住んで俳優を続けていきたいと思います。最近は犬を飼い始めたこともあり、美味しいエサを与えられるように一生懸命頑張ります!(笑)
(文/武井保之)
◆子どもの頃から日本アニメオタクだった
――『仮面ライダーギーツ』で鞍馬祢音(仮面ライダーナーゴ/星乃夢奈)を護衛するSPのジョン役を演じられていますが、彼も仮面ライダーであることが先日明かされました。その放送後のトムさんの「15年前、僕に日本語を学ぶきっかけをくれた作品に出演することができて、しかも、あの神聖な言葉を言うことができたなんて、本当に信じられない」というツイートがTwitterトレンド入りし、反響を呼びました。トムさんの『仮面ライダー』との出会いを教えてください。
――イギリスでも、日本のアニメ番組が放送されていたのでしょうか?
【トム・コンスタンタイン】 当時、イギリスで日本アニメはほとんど放送されていませんでした。15年前にたまたま『仮面ライダー555』を観る機会があって、そこから『仮面ライダー』の大ファンになったんです。主人公がスーパーヒーローの『仮面ライダー』になる変身シーンにずっと憧れていました。
――日本語はアニメを観るために勉強したのですか?
【トム・コンスタンタイン】 そうです。日本に来る前にはレッスンを受けましたが、当時はアニメから独学で勉強しました。家族は皆サッカーが大好きですが、僕だけ全く興味がなくて、いつも日本のアニメを観ていました。好きが高じて大学時代には、日本アニメ部を設立しました。
◆ゲーム業界から転職で15年来の夢を実現 プレッシャーもあるけれど外国人ファン代表としての気持ちを胸に
――大学卒業後、イギリスでは俳優をしていたのですか?
【トム・コンスタンタイン】 大学卒業後はゲーム会社に就職して、ゲームデザイナーになりました。でも、ワーキングホリデービザを使って日本に行きたいとずっと思っていました。30歳までの年齢制限があるので、29歳の時に、思い切って仕事を辞めて日本に来ました。
――俳優活動は来日してからなのですね。
【トム・コンスタンタイン】 18歳までドラマスクールに参加して演技を学んでいて、その後も趣味で芝居は続けていました。でも、来日前は仕事としての俳優経験はありません。ボクシングと武道はやっていましたが、アクション俳優としての経験値は、ほぼゼロの状態でした。
――日本でいきなり俳優活動を始めたのでしょうか?
【トム・コンスタンタイン】 8年前に来日して、始めは業界経験のあるゲームの仕事がメインでした。コジマプロダクションのゲーム『デス・ストランディング』のローカライゼーションを手がけたりしています。俳優は副業になればいいと思ってエキストラの仕事から始めて、『パワーレンジャー』や『仮面ライダー』シリーズを手がける坂本浩一監督の撮影現場で、英語が得意なアクション俳優の方と知り合いになりました。そこから演技やアクションのレッスンを受けながら、人脈を広げていきました。
――日本で俳優活動を続けて出演作も増えるなか、ついに『仮面ライダーギーツ』で夢だった変身シーンを演じました。
【トム・コンスタンタイン】 東映撮影所で台本を受け取って、エレベーター前でチラっと読んだら、僕が演じるジョンも『仮面ライダー』のひとりで変身するシーンが書かれていて。「えっこれは現実?」と初めは何が起こっているのか理解できませんでした。それから周りに誰もいないことを確認して、思いっきりガッツポーズしました(笑)。
――家族や友人も喜んでくれたのでは?
【トム・コンスタンタイン】 友人たちに自慢したかったのですが、ジョンが『仮面ライダー』であることは明かされていなかったので、それから放送まで2ヵ月くらい誰にも話せなくて。でも、放送前日に「今週は大事だから絶対観て」と友人に連絡しました(笑)。オンエア後はスマホがずっと鳴りっぱなしで、皆すごいって驚いて、一緒に喜んでくれて。15年来の夢が現実になりました。
――世界中の『仮面ライダー』ファンの憧れや目標の存在になったのではないでしょうか。
【トム・コンスタンタイン】 放送後の反響は予想以上に大きかったです。SNSのフォロワーも増えました。ただ、まだまだ俳優として活躍しているわけではないので、注目されたり期待されたりすることは嬉しいのですが、同時にプレッシャーも感じています(笑)。“仮面ライダー外国人ファン”の代表としてこれからも頑張りたいです。
◆日本での外国人俳優は、役柄が少なく、役のタイプが限られること
――現在は『仮面ライダー』のほかにもドラマや映画に広く出演されています。転機はあったのでしょうか?
【トム・コンスタンタイン】 『牙狼-GARO- 神ノ牙-KAMINOKIBA-』(2018年)に出演させていただいて、そこから少しずつ仕事が増えていき、『仮面ライダー』や『スーパー戦隊』シリーズにつながりました。米津玄師さんの「KICKBACK」(2022年)のミュージックビデオにも出演させていただきましたが、その後もいろいろなお話をいただくことが増えています。
――日本で俳優活動をされているなかで、外国人であることの壁を感じることはありますか?
【トム・コンスタンタイン】 一番は言葉の壁です。求められる日本語能力のハードルが高いこと。それを超えると次は外国人の役が少ないことです。その役もほとんどがストーリーの本筋には関係がなく、セリフも一言二言だけの端役であることが多い。外国人の役柄があっても、ちょっと間の抜けたキャラクターだったり、コメディタッチのシーンの役回りになったり、という作品が多くを占めていることも感じます。
――多様性がうたわれる時代になり、ハリウッド映画では幅広い人種の枠が設けられるようになっています。日本の外国人役の枠に変化はありますか?
【トム・コンスタンタイン】 『仮面ライダーギーツ』では序盤から登場するキャラクターの2人が外国人であり、僕はそこに参加することができました。そういう意味では増えているのかもしれません。ただ、まだまだ変わっていく過程です。もっと多様性のある外国人のキャラクターがストーリーの中心に登場して、いろいろな外国人が出演する機会が増えると嬉しいです。
――日本語を話せる外国人のアクション俳優はどのくらいいるのでしょうか?
【トム・コンスタンタイン】 ちゃんとしたアクションができて、しっかりとした日本語を話せる外国人俳優はそれほど多くいない。顔や身体のビジュアルイメージさえ合えば、アクションはできなくても、本来はアクション俳優が必要な役に起用されるケースも多くあります。僕の仕事が増えるのはありがたいのですが、その後に続く人がたくさん出てきてほしい。それによってそういう役が増えていくのと同時に、よい作品がたくさん生まれていくことにつながるのではないでしょうか。
◆現在は、外国人アクション俳優の発掘や育成、マネジメントも
――2020年に外国人スタントマングループ「Rival Stunts」を設立し、代表を務めています。その背景にはそういった思いがあるのでしょうか?
【トム・コンスタンタイン】 ハリウッド映画『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』(2021年日本公開)の撮影が日本であり、そのときに出演していた外国人俳優で一緒にチームを作ろうという話になりました。そこからです。やはり個人よりグループで協力した方が、仕事の幅が広がります。先日はイギリス人の元軍人を講師に招いたガンアクション・レッスンを実施しましたが、外国人アクション俳優の発掘や育成、マネジメントを行っています。
――日本での俳優活動から伝えたいことはありますか?
【トム・コンスタンタイン】 夢と目標があって、そこに向かって不眠不休でがんばっていく熱量を持ち続けたから、僕は夢を実現できました。人はいつまででも成長できます。現状に満足せず、挑戦を続けていくことが大事です。それを感じていただけたら嬉しいです。
――次の目標や夢を教えてください。
【トム・コンスタンタイン】 たくさんあります。また新しい『仮面ライダー』に出演して変身したいですし、『スーパー戦隊』シリーズにも出たいです。僕は、昭和時代の顔出し幹部ような役をやってみたいです(笑)。何年経っても観客の心に残るような印象的な役柄を演じることが夢ですね。
――日本での俳優活動はこれからも続けていくのでしょうか?
【トム・コンスタンタイン】 日本が好きで、これからもずっと日本に住んで俳優を続けていきたいと思います。最近は犬を飼い始めたこともあり、美味しいエサを与えられるように一生懸命頑張ります!(笑)
(文/武井保之)
2023/01/16